俊成卿女 よしさらば | わたる風よりにほふマルボロ

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梅花留袖

 

よしさらば軒端のむめはちりもせよ匂をうつせ手枕のそで

 

俊成卿女

通親亭影供歌合10 五番右勝

 
 
 
【現代語訳】
 
ままよ、それが定めだというならば
軒端の梅は散りもせよ。
ただし、散り際にせめて
その懐かしい匂いを移し置けよ、
我が手枕の袖に。
 
(訳:梶間和歌)

 
【本歌、参考歌、本説、語釈】
 
よし:仕方ない、ままよ。
 「よし」と仮に許可することから。
 漢字表記する際は「縦し」。
 
さらば:それならば、そうだとしたら。
 自動詞「然(さ)り」の
 未然形「然ら」に
 仮定の「ば」の付いた形。
 「よしさらば」と続けて
 「それならば、ええい、ままよ」
 などの気持ちを表すことも多い。
 
むめ:梅。中古(平安時代)以後は
 ふつう「むめ」と表記する。
 
手枕のそで:枕にする腕の袖。
 「手枕」は、多く
 男女が共寝する場合に言うが、
 独り寝を恨んで
 「自分で手枕をして袖が濡れた」
 などと表すこともある。

 

 

 

建仁元年(1201年)三月、

「通親亭影供歌合」五番右勝。

 

題は「梅花留袖」、

番えられた五番左は定家の

むめの花ありとやそでのにほひさへやどにとどまるうぐひすの声

 

 

 

声に出し耳で聴いた時の句切れと

実際の句切れのずれがおもしろい。

 

よし/さらば軒端のむめはちりもせよ/匂をうつせ/手枕のそで

 

意味上の句切れかと思いますが、

 

歌や散文で「よし」と「さらば」が

セットで使われることも多く

 

よしさらば/軒端のむめはちりもせよ/匂をうつせ/手枕のそで

 

と聞こえなくもない。

 

 

どちらにしても句切れ多め、

命令形が多用されていて、

あまり見ない形ですね。

 

命令形は「ちりもせよ」「うつせ」。

 

一首に命令形が複数

というのは、珍しいかな。

 

 

 

梅の香というアイテムが

多かれ少なかれ

『伊勢物語』をはじめとした

恋物語や恋の和歌を

連想させますし、

 

手枕の袖も

共寝にせよ独り寝にせよ

恋を前提として用いられる語

ということで、

 

恋歌の得意な俊成卿女の

本領発揮という感じ。

 

俊成卿女の歌は、

季節の歌であっても

恋の風情を配したものに

成功例が多く見られますからね。

 

 

 

このあたり、特に。

 

 

複数の命令形が成功しているか

は議論できそうですが、

 

アイテムの選択は

俊成卿女らしくて良いな、

と感じられます。

 

 

よしさらば軒端のむめはちりもせよ匂をうつせ手枕のそで

 

 

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梶間和歌の評論の掲載された

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「現代短歌社賞」応募作8首抄

掲載された『現代短歌』

2020年1月号

 

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