俊成卿女 風かよふ | わたる風よりにほふマルボロ

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new第7回「現代短歌社賞」

選考結果の載った

『現代短歌』2020年1月号に、

梶間の8首抄が掲載されました。 

「梶間和歌の歌の載っている1月号を」

と言い添えてご注文いただけますと

とても有難いです。

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new『短歌往来』2020年4月号に

評論を執筆しました。

3月半ばの発売です。

「梶間和歌の評論の載っている4月号を」

と言い添えてご注文くださいませ。

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千五百番歌合に

風かよふ寝ざめの袖の花の香にかをるまくらの春の夜の夢

俊成卿女
新古今和歌集春下112

 


 
 
【口語訳】

寝覚めの床(とこ)に吹き通う風。
覚えのない私の袖には

花の香りがする。
さて、これは夢なのか、現実なのか、
花香の匂う枕、

夢でも花が散ったのだろうか。

花の香に香る枕に

まどろむ春の夜の、夢……。
いや、やはりこれは夢なのか。

(訳:梶間和歌)

 

 

【本歌、参考歌、本説、語釈】

 

曲驚楚客秋絃馥 夢断燕姫暁枕薫

和漢朗詠集巻上 秋 蘭
「蘭氣入輕風」 橘直幹

 

花の香:元の歌合では梅の花の香、

 『新古今集』入集時には

 散る桜の配列とされ

 桜の香とされた。

 

 

 

建仁元年(1201年)詠進の

「千五百番歌合」百二十番、

顕昭の詠と番(つが)えられ

勝となりました。


 
元の「千五百番歌合」では
「袖の花の香」すなわち

梅の花として詠まれた歌です。

 

番えられた顕昭の歌も

もちろん梅の歌。

それが、『新古今集』入集時に
風に散る夜桜としての

配列になったとのこと。

 

 

配列ひとつで
詠み手の想定しなかった概念、
しかし歌自体の喚起する概念を、
読み手はその歌に見ることになる。

 

興味深いですね。

 

まあ、私には、散る夜桜の歌より

袖に香りの触れた梅の歌として

読んだほうが

風情があるように感じられますが。

 

好みでしょうか、どうでしょうか。

 

 

また、こちらは配列ではなく

詞書マジックですが

しののめの空きり渡りいつしかと秋のけしきに世はなりにけり

紫式部 玉葉和歌集秋上449

は恋歌として詠まれた歌が

勅撰集入集時に

立秋の歌に変わった例です。

 

詳しくはリンク先をご覧くださいね。


 

 

俊成卿女は、新古今歌人のなかでも

特に新古今的な特徴を備えた歌を

詠む歌人です。

 

新古今和歌のイデアを

最も純度高く歌に起こしたのが

定家と俊成卿女だった、

と私は考えます。

 

 

この歌……訳は無理でしょう。

私の訳のつまらなさをご覧くださいよ。笑

 

言い訳ではなく、

これは、無理ゲーですから。

一応、ライティングも本業にしている身、

詩歌は10年以上

仕事にしてきた身ですから、私。

 

 

日本語の曖昧さや多義性、

語と語のつながりの曖昧さを

かえって活かした新古今和歌は、

 

訳すものではありません。

解説するものでもありません。

 

本来は、黙って味わうものです。

 

 

ただ、

そのまま「どうぞ」と見せたところで

ポカーンとしてしまう人の多い現実、

 

最高級のチーズを

味わう舌を持たない人間でも

せめて「おいしい」と言えるよう、

チーズタルトにする手間を

パティシエが割くような

イメージでしょうか、このブログは。

 

 

 

 

風かよふ寝ざめの袖の花の香にかをるまくらの春の夜の夢

 

 

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「現代短歌社賞」応募作8首詠の

掲載された

『現代短歌』1月号はこちら

「梶間和歌の歌の載っている……」

の一言もぜひお願いします^^

 

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