神から人へ。
神から人へ、伝えしことの全てのことを、残し広めて、教えてゆけよ。
信じぬ者も、信じる者も。
縁なき者も、縁ある者も。
いずれも同じ、神の前には、無力の哀れな、枯れ葉の如く、あらがう術なく風に飛ばされ、自然の前にて、朽ち果てる、儚(はかな)き衆生(しゅじょう)をいかに救わん。
さにて本日何を問いたき。
(善と悪についてお教え下さい)
さても人の世、善悪分けて、人は善をと求めるなれど、悪なき世にて生まれしことを、先ずは悟れよ、わきまえよ。
悪には悪の働きあれば、悪のなからば善もなし。
善のみならば、いかにして、悪の働き、意味を知らん。
なれど悪との闘いあらば、人は善のありがたさ知り、悪をなくさん、滅ぼさんと、己の修練、鍛錬(たんれん)積みて、己を磨くことも能(あた)わん。
悪なく、我なく、罪なくば、人には修行も必要なからん。
なれどさにてはこの世も要らぬ。
ただ平穏と安らぎのみの、静かで穏やか、平らかなるらん。
人の願いも容易に叶い、充たさるらめど、さにあらず。
人は進歩を、変化を求めて、必ず悪や、秩序を壊す、行い始まり、乱れゆきなん。
神の始めの願いとは、悪との闘いなくすにあらず。
悪と闘い、悪を知り、悪を憎みて、善を尊ぶ、表と裏とを読み取る力。
善の尊さ、難しさ知り、さにても、尚かつ善を求めて、一人一人が努力を重ね、困難苦難を乗り越えて、人との平和を保たんとする。
それこそ真の価値ある平和。
豊かに進歩し、変化を続ける、神の願いの世ならずや。
人に善のみ、和のみにあらば、人は迷わず、苦しみもせず、ただ平凡に、生を終え、生きても死にても、何も生まれず、何も作らず、進歩もなからん。
人はさらなる向上目指し、さらなる昇華を求めるべけれ。
何の障害、妨害なくば、努力もせずに留まりて、日々の安穏(あんのん)貪(むさぼ)るのみなり。
人の貴重な生涯を、さらに輝き磨かすためには、幾多の苦難も必要なるらん。
己の能力全てをかけて、己の限界定めずに、諦(あきら)めるなく、ただ営々(えいえい)と、なれど無欲に無心に歩む、愚かな努力を 神は愛(め)づ。
愚直(ぐちょく)に、誠意の溢(あふ)るる行い。善も悪も区別なし。なれど善には善のみの、働き、輝き、尊さのあり。
人の幸せ、繁栄祈りて、己の犠牲を捧げて行う。
それこそ善なれ、悪にはあらず。
悪とは、人を害するにあらず。
人の幸せ犠牲にしても、己の利得を得んとすること。
神への感謝を忘れ果て、己の執着、迷妄に、迷いて失う神の み光。
悪にも悪の意味あらばこそ、人の全てが悪人ならずや。
なれど修行を重ねることにて、己の罪を減らしつつ、神へのご縁を深めゆく。
さにてようやく、汚れも取れて、神の国へと戻るを許さる。
驕(おご)るなかれよ。
己一人は、罪人(つみびと)ならずとあやまつなかれ。
全てが罪人(つみびと)、汚れし生よ。
悪を備えて生まれれしなれば、御霊(みたま)磨きの行積みて、曇り汚れを禊ぎ浄めよ。
善と悪とを分けるなかれよ。
二つは紙の裏表。
善もあるらん、悪もあり。
なれば二つを分けんとしても、無駄な努力よ。囚(とら)われよ。
二つを合わせて、さらに高めよ。
次元を上げて、昇華せば、二つは同じ。区別なし。
人の行い、人には裁けず。
悪を悪とていがみ合い、己一人が正しいと、相手に押しつけ、無理強(むりじ)いせなば、必ずその者、悪に堕(お)ちん。
己の正義は、人には悪なり。
さなる危うき善悪なれば、先ずは悟れよ。違いのなきを。
己に正しく、人にも正しき、そは霊行ならん。神の行い。
人は行え、霊行を。
神に近付き、魂(たま)磨くため。それのみ間違い、あやまりなければ。
さにて。
~神誥記 :今日の話題社: 新装版 (2007/02)ひふみ ともこ より~
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