2007年10月14日。

この日、五週にわたって戦われた我々の本年度リーグ戦が、ついに幕を閉じた。


今、私は例年の如く、ある種の虚脱感に襲われているのである。


リーグ戦は、我々弓道部員にとって、一年の総決算である。
リーグ戦に優勝して、その先にある王座決定戦の出場権を獲得し、そして、王座を奪還することが、我等弓道部の悲願であり、目標なのである。


我々が、遊ぶ間もなく一年間ひたすら稽古をしているのは、一重にこのリーグ戦に勝つためなのである。我々が、授業が終わったら喫茶店なんぞには脇目もふらず道場に直行早歩きなのは、そのためなのである。我々がリーグ戦期間中、本キャンで浮きまくるのもいとわず学ランで生活しているのも、そのためなのである。下級生諸君が、毎晩親指をヒリヒリさせながら的張りをするのもそのためだし、気合いを入れすぎて失神するほどの天晴れな心意気で鳴き看をするのもそのためである。日大の部員達がボコボコにされながらそれでも弓を引くのもそのためだし、法政の部員達が丸坊主になりながら弓を引くのもそのため、また慶應の部員達がジャングルを踊りながらそれでも弓のことを忘れないのもそのためである。


リーグ戦というものは、我等学生弓道人が青春の血肉を捧げて戦う、中りか外れか、英雄か戦犯か、勝つか負けるかを懸けた、本気と本気の大勝負、意気地と意気地のぶつかりあい、全身全霊を以てぶちあたるに足る、正真正銘の大舞台なのである。


一人ニ十射計八名、合計百六十射の総的中を競い合うリーグ戦は、百六十射という矢数の多い勝負でありながら、しかし、白熱の大接戦をしばしば演出する。一本差で勝負がつく試合、二本差、三本差の試合、あるいは、同中で一手競射にもつれこむ試合さえ、実力拮抗のリーグにおいては珍しいものではないのだ。



的中の度に、絶叫に近い大音声を上げて応援をする男たちを、皆さんは見たことがあるだろうか。手が真っ赤に腫れるほど拍手をする大学生達を、皆さんは見たことがあるだろうか。接戦に敗北し、号泣する大の男達を、見たことがあるだろうか。


選手は、心臓がギュッと握られるような緊迫感の中、ただただ今まで己が磨いてきた技術を出しきることに全精力を傾注する。手伝いは、チームを勝ちに導くために全速力で走り回り、気力をサポートに集中する。


リーグ戦を戦う者達の顔は、敵も味方も、選手も応援も、先輩も、同期も、後輩も皆、血走るほどに真剣である。


正選手のほとんどが的中率九割超の射手ばかりである都学一部リーグにおいて、学生時代の全てを弓に捧げている者達が、勝敗を分ける一矢を必ずや的に叩き込むと決意して弓を引くとき、その射が如何に凄絶なものとなるか、それは、我々のリーグ戦を実際に目のあたりにした者以外には、判るべくもないことであろう。





…とまあ、そんぐらいすげぇリーグ戦を一ヶ月以上戦って、我が部は二勝二敗で都学一部リーグ第三位、ニ部リーグに落ちる心配はもちろんないが、しかし王座に出場することもできない、という順位で本年度のリーグ戦を終えるに至ったのである。


そんなわけで、心身共に、特に心の方を擦り減らしながら戦ってきたリーグ戦が終わったと思ったら、私は突然それまで張り詰めていたものが急激に弛緩し、先に述べたような虚脱状態に陥ってしまったわけなのである。


お陰で、昨日は華やかな本キャンで授業だというのに、ヒゲは一週間生やしっぱなしのボーボー状態、寝癖も天を衝くが如くにぼっさぼさ、しかももう制服で登校する必要はないというのに、私服を選ぶのがめんどいので結局制服で登校するという一人羞恥プレイを展開したのであった。


本キャンの奴らのあのいぶかしげな目。教室に入った時に私に向けられる好奇の視線。


「…え?なにアレ。高校生?え?でもなんかすごいヒゲなんだけど。ていうかあれ学生なの?変な人じゃないの?まじひくんですけどぉー」


という声が聴こえてくるようです。



…けっ!ざけんな!!このチャラ学生共が!!!チャラ男チャラ子めじろおしの淫乱軍団が!!!

てめぇらにはわかるめぇ!!この無精ヒゲの陰にどんなドラマが隠されているのか!この制服と、どんな熱戦を共にしてきたか!!


てめぇらみてぇな奴らにわかってほしいとも思わねぇけどな!!ばーかばーか、でーぶ、ぶーす、うーんこうーんこ。






















でも、わかってくれる女の子募集中です!!




いや、というかわかってくれなくてもいいから僕の彼女になってくれる女の子、募集中です!!!
女の子「へぇ~弓道部なんですか~!かっこいいですね!」



弓手師「ほんとですか?いやぁありがとうございます。」



女の子「でもほんとに奇遇ですね~!こんなところで同じ学校の人に会えるなんて!」



弓手師「そうですねぇ~。僕も心細かったんですよ。知り合い誰もいないし、同年代の人すら少ないじゃないですか。(笑)」



女の子「うふふ、ですよね~。あたしも弓手師さんに会えて良かったですよ!誰とも仲良くなれなかったらどうしようかと思ってたんです!…あ、じゃああたし帰りこっちなんでここで!今日はありがとう!」



弓手師「いえいえ、こちらこそ!…あ!せっかくですからアドレス、教えてもらえませんか?」



女の子「…は?いやですよ。



弓手師「…え?…あ、そうですか…。」













という夢で今朝は目覚めました。
はい、ヤマ外れました~


いや、もうヤマどころか島を間違えたね、いや、というかむしろ降り立つ星を間違えたね。





玉砕~





けぃふぉーGYOKUSAI~



























まあそんなわけなので、誰か僕の彼女になりなさい。









いや、嘘です。なってください。なってくださいませ。


まじで。いや、まじで。もうほんとお願いします。なんかもうすいませんでした。今までなんかわかんないけどほんとすいませんでした。ほんとごめんなさい。だからお願いします。まじで。いや、まじで。







いやいや、まじで。













いやいやいや、まじで。
どうも、皆さんおはようございます。弓手師でございます。


昨日はあれから20ページ読み進んで寝ました。



















………。




































まあそんなわけなので、誰か僕の彼女になりなさい。
ああぁー今日は徹夜だな…


明日は刑法の試験。
でもまだ教科書あと120ページ読み終わらずに残ってる。


五日も前から読み始めてるのに…なんで!?



なんでって…そりゃ僕が追い詰められないとなあんもできない子だからですよ。


直前にならないと教科書読んでても進まないんですよ。

五日前は2ページ読んだ。四日前は5ページ読んだ。三日前は2ページ読んだ。二日前は5ページ読んだ。昨日は50ページ読んだ。今日は大体100ページ読んだ。で、これからあと120ページ読む。つもり。




まあまあ、夜はまだまだこれからだし。うん、いけるよね、うん。まあ読んだからって点取れるとは限らないけどね。でもまあ読まないよりはましだよね。うん。



それにしても、最近徹夜多いな…。まあ僕が悪いんですけどね…。


はあ、なんで刑法なんか取っちゃったんだろ…





まあそんなわけなので、誰か僕の彼女になりなさい。

弓手師は、飛び出しそうになる自分の右拳を必死で抑えていた。


この拳は、怒りにまかせて人を殴るための拳じゃないから。人を幸せにするための拳だから。守るための拳だから。弱い者を。正義を。あいつとの、約束を。









店長のいびりには、もう慣れたはずだった。


それなのに、今日はそれが殊更苦痛で、胸底から激しい怒りが沸き上がってくる。


それはきっと、今朝のあの嫌な夢のせいだろうと、弓手師は思った。


そう、彼女を失った、あの夜の夢だ。









そもそもこの店長という人物は、店員のアラを探して裏へ呼び出し、罵詈雑言を吐きかけて自分のストレスを発散するタイプの人間で、弓手師はこのコンビニに入った当初から、そのターゲットであった。


はじめこそ苛立ちを覚えたものの、最近ではそれにも慣れてしまって、ほとんど何も感じなくなっていた。


だから、店長の理不尽に拳を震わすほどの怒りを覚えるのは初めてに近いほど久しぶりに感じられたし、それは、弓手師が未だにあの夜のことを克服できていないという、証でもあった。









「なんでそんなこともわかんないの?そういうのが一番イラつくんだよ!!」



堪えろ。堪えるんだ。



「なんでわかんねぇくせに勝手にやんだよ。わかんねえんだったらすぐ俺んとこ聞きに来いよ!!」



我慢だ。頑張れ。



「無駄金払うために雇ってんじゃねぇんだぞ!!お前はほんとに使えねえな!!」



我慢しろ。怒るな。手を出しちゃいけない。それだけはダメだ。あいつとの、まさよとの約束のためにも。












まさよ、お前がいなくなってから、俺は抜け殻みたいだ。

あんなに幸せだったのに、こんなに早く俺の前からいなくなってしまうなんて。つらいよ。悲しいよ。

でもお前は、今は、幸せにやっているよな?お前の人生はつらいことばかりだったかもしれないけど、今は、全部忘れて、幸せだよな?そうだろ?そうあってほしい。そう、信じてる。










そう、まさよはいなくなってしまった。俺を残して。独りぼっちにして。


単調だった俺の生活は、まさよと出会ってから、それまでが嘘だったみたいに輝きだしたんだ。


まさよと過ごす時間は、楽しかった。


まさよも俺も、いつも店長に怒鳴られてばかりだったけど、そんなの、なんでもなかった。


幸せだった。


まさよの人生は、信じられないほど不幸だった。でもあいつは、そんなこと気にもしないみたいに、いつも明るく、笑っていた。


幸せにしてやれると思った。あいつを不幸から救ってやれると、そう思っていた。


でも、できなかった。あいつは死んでしまった。あの夜、俺の目の前で。











まさよ、今でも俺は、お前と出会ったこのコンビニから離れられずにいるよ。


お前と一緒に働いたこのレジや倉庫に、お前が使ったボールペンやハサミに、今でもお前のぬくもりを感じるような気がするんだ。いや、今でもお前が生きているような気がするんだよ。


覚えているかい?約束したよな。ずっと一緒だって。


だから、このコンビニにお前を感じるうちは、俺はまだ、ここを離れられない。


まさよ。でもお前は、もう俺のことは忘れていいよ。もう、幸せになってくれ。


俺のことは大丈夫。お前と出会う前よりは、たぶん、強くなれてるから。












弓手師は堪えていた。店長の悪態は、まさよとの思い出と相まって毒のように彼の心を苦しめたが、弓手師は堪えていた。まさよと、これからも一緒にいるために。












「なんだ?その目は?お前、今怒られてるんだぞ?わかってんのか?じゃあなんだそのツラはよ?何か言いたいことでもあんなら言ってみろよ!!お前、いつからそんな反抗的になった?まさよが入ってきてからじゃねえか?あいつにいいところでも見せたかったのか?え?じゃあよかったなあ!あいつが勝手におっ死んでくれてよお!!」



















・・・・・・・・・・・・・・・・。





















我に返ったときには既に、弓手師の右拳は店長の鼻頭を殴り飛ばしていた。













あの夜から必死に築き上げてきた心の堤防が、ガラガラと音を立てて崩れ落ちた。


今まで押し込めてきたものが、心の奥からどっと溢れ出してきた。


喪失の悲しみ。助けられなかった悔恨。約束を守れなかった後悔。店長への怒り。自分への怒り。まさよのいない、この世界への怒り。苦しさ。つらさ。みじめさ。虚しさ。切なさ。愛しさ。


涙が、とめどなく流れ出してきた。


弓手師は、泣いた。大人になってから出したこともないような大声で、わあわあと泣いた。










そのとき、客が来たことを知らせる自動ドアのチャイムの音が、入口のほうから聞こえてきた。


驚いて、慌てて涙を拭き、裏からレジへと出てみると、早朝六時のコンビニに、まだ客の姿は見当たらない。誰もいない店内に、ただ自動ドアだけがぽっかりと、口を開けていた。


そして、次の瞬間、その大きく開いた入口から、夏の朝の爽やかな風が吹き込み、弓手師の頬を撫でた。











「ほら、お客さん、来たわよ。」












まさよのそんな声が、聞こえたような気がした。















弓手師は、涙と笑顔が入り混じったような複雑な顔で、力いっぱい叫んだ。


















いらっしゃいませ、と。








































































とまあ、あまりのバイトウザさに、こんな妄想に耽ってしまっていたわけですが。


何か?

6月17日、日曜日。

2日間に渡った全関東学生弓道選手権大会が終わった。


笑いあり、涙あり、踊りありの、素晴らしい大会だったなあ。
いやあ、楽しかったなあ。


祝勝会は10時頃に終わり、家に帰り着いたのは12時。


明日、月曜はゼミ発表だ。

先週休んでるからね。高熱で。今回はしっかりやらなきゃもうやばいよね。二週連続すっぽかしはさすがにやばいよね。

徹夜の覚悟は、もう出来てる。そのために祝勝会も一杯しか飲まなかったんだ。きっとやれるさ。今回は本気だぜ?本気の狼をなめんなよ?絶対に終わらせてやる。絶対だ。




1時。早速パソコンに向かい、打ち始める。

大川周明は、一体どんな精神を根本的な思想の原則としていたのだろうか。

克己、愛人、敬天、アジア主義、日本主義、マホメット、竜樹菩薩論…俺の頭の中を、様々なインスピレーションが渦巻いてゆく……………………………Zzz。




















………………って、おぉぉぉいぃ!!!!

寝ちゃダメだっつってんだろぉぉがあぁぁ!!!


今何時だ?…二時か。


ふむ、さて、どうするか…。このまま頑張っても、やっぱり眠すぎて寝てしまうのではないかな?
なんつっても今週は酷かった。ゼミ発表に8000字のレポ2本。そいつらに追われて俺は3日も徹夜(っぽいこと)をしなきゃいけなかったんだぜ?おまけに全関だぜ?そりゃ厳しいでしょ。疲れるでしょ。てかタイミング悪く全部集中しすぎでしょ。




弓手師は、決断した。

5時まで、しっかり寝よう。今から三時間しっかり眠って、それからすっきりした気分でササッと片付けてしまおう!そうしよう!絶対そのほうがはかどるもん。こんな十秒も満足に目を開けてられないほどの眠気のなかで、論文なんか書けるわけがないよ。疲れるだけでなんもメリットないよ。絶対進まないよ。そうだそうだ。絶対そうだ。




よし、そうと決まれば目覚まし時計を5時にセットゥして、さあ、おやすみなさい、栄光の朝まで。……Zzzz。






















……………………っは!!!


今、何時!?…4時半…!


ホッ…。まだ余裕だ~よかった~…。


………ん?


え…?あれ?これ………














………この目覚まし時計…止まってね…?













え…これ止まってるよ…明らかに止まってるよ、4時半を指したままピクリとも動かないよ…え?じゃあ今のほんとの時間は?



え?9時?えぇぇぇぇぇぇーーーー…





急げぇぇぇーーー!!また間に合わなくなるぞぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーー二週連続はダメだぁぁぁー指を動かせぇぇーー修羅の如く指を動かすのだぁぁぁーーーーカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタZzzz…。























………………あ。

え?今何時?あ、15時?ゼミが始まるのが16時20分だからー、あ、ふーん、そうかー。



















「報告が遅れて申し訳ありません。先週の発熱の件なのですが、病院に行きましたところ、麻疹かもしれないということなので、今検査をしてもらっています。そのため現在登校を自粛しておりますので、今日のゼミも欠席させて下さい。二週続けてこのような形になり、本当に申し訳ありません。」








送信。








「わかりました。 幹事」































………。
どうでもいい話だが、俺はバイト中、ふつ~に屁をこきながら仕事をしている。


もちろん、バレないように周囲に人のいない時を見計らって事に及ぶわけであるが、悲しいことに、そんな俺の努力は、いつも虚しく打ち砕かれることとなる。




というのも、バイトの先輩の中に一人だけ、俺が屁をこく度にタイミング悪く俺の方に近寄ってくる人がいるからである。
























………。
















まさか………屁フェチ?

試合から家に帰り着いたのは、夜20時。明日のゼミは5限からだから16時からだ。まだ20時間ある。余裕だ。20時間あれば、10000字の作品だって書けちまうぜ。

しかし、徹夜か・・・。やっぱ徹夜しないとさすがに無理だよな・・・。寝ちゃったらきっと終わんないよな・・・。あ~どうしてもっと早くやっておかなかったんだよ。コツコツやっとけよコツコツ。ほんとによー。試合後はただでさえ疲れてるのに、おまけに昨日は三時寝六時起きだよ。それで今日徹夜って・・・絶対すんげー疲れるよ。ああーやだなー。まじやだなー。

とりあえずパソコンを起動。俺のゼミ発表ファイルを開く。

3日くらい前に書き始めた、俺の第一回ゼミ発表、「大川周明」。

6月11日に発表することは、もうずいぶん前から決まっていた。そして、大川周明をやるということもかなり前に決まり、本もちゃんといっぱい借りて読み始めていた。

しかし、文章自体はまだ、「はじめに  私が大川周明を調べようと考えたのは、」という一文にも満たない文章しか書かれていない。

・・・・。いや、いけるさ。だからまだ20時間もあるって言ってんだろ。余裕だよ。余裕。

さて、じゃあ書くか・・・。どういう論理構成にもっていこうかな・・・。えーとー、そうだなー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Zzz・・・。

・・・・・・・・・・・・・はっ!!

え!?寝てた!!?うそうそ!!まじ!!?今何時!?0時!?

なあーんだ。まだ0時かよ~。まだ16時間もあるよ~。余裕だよ余裕~~~。

あ、夕飯食べなきゃ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Zzzz・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・ぶはっ!!!

え!!?また寝た!!?何時!!?えっ4時!!?

いや、まだいけるまだいける。あと12時間もある。残念ながら3・4限は切らねばならないが、しょうがない。うん頑張れ弓手師。負けるな。まだ時間はある。一時間に400字のペースでも4800字も書けるよ。いけるいける。簡単簡単、楽勝らくsy・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Zzzzz・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぶほわっ!!!!!!

ああああ!また寝てたあああああ!!何時!!?7時!!?

朝になっちまった!だがまだ大丈夫!がんばれ!!飛ばせばまだまだいけるぞおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Zzzzzzzz・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぐっはああああああ!!!!!

まただああ!!また寝てしまったああ!!なぜだあ!!なぜなんだあああ!!リポビタンきかねええええ!!!

何時!!?12時!?あと4時間でゼミが始まる!!まだ間に合うかもしれない!!頑張れ!書け!!!書くんだ!!!!いけ!!!いくんだ弓手師!!!!

この時点で、つけっぱなしのパソコンの文章はまだ、「はじめに  私が大川周明を調べようと考えたのは、」で止まったままだった。

誰もが絶望のクライマックスを予想するだろう。

しかしこのような場面にまで陥っても、弓手師は諦めなかった。

そして、そんな彼の執念は、ここにおいて、すなわち最後のラストスパートにおいて、奇跡としか言いようがない、怒涛の追い上げを見せることとなるのである。

1ページ!2ページ!!3ページ!!!字数にして約1200字!!!!まだ12時から1時間しか経っていない!!!あと3時間!!!

いける!!!このペースなら確実に4000字くらいまではいけるぜ!!!がんばれ!!がんばるんだ!!!

うおぉぉーーーー書ける!!まだまだ書けるぜ!!!ふはははははははは!!!!!見たか!!!俺の底力を!!!!俺の土壇場力を以ってすれば最後の4時間で立派な超大作が出来上がっちまうぜ!!!!ふはははははははははははははは!!!!はぁーーーーーーーっはっはっはっはっはっはっはっh・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ZZZzzzzzzzzzz・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ。

え?今何時?あ、15時?

・・・・・。

「突然申し訳ありません。こんにちは。今日発表予定の弓手師です。申し訳ないのですが、昨日の夜から高熱が出ておりまして、今日のゼミには出られそうにありません。発表を来週にまわしていただけないでしょうか?」

送信。

「わかりました。    幹事」

・・・・・・・・・・・・・・・・誰もが予想したとおり、絶望のクライマックスでした。

俺にとって、お客様は神様ではない。
むしろ限りなく悪魔に近い人間である。
なるべくなら来ないでほしい。ウチの店潰れたってべつにいいから来ないでほしい。
というのも、やつらが大群をなしてやってくると、俺は仕事が終わらんからだ。

俺の早朝コンビニバイトにおける仕事は、大まかに4つである。1つ、揚げ物をする。2つ、検品をする。3つ、値付けをする。4つ、客の相手をする。

なあんだ、そんなもんかよ、と思った貴方。貴方はわかっていない。なあんもわかっていない。もうぜぇんぜん、微塵もわかっていない。


これが、ほんとに大変なのである。


何が大変って、在庫の数が膨大なのだ。

倉庫にウズ高く積み上げられたダンボールやらなんやらの箱の山、実に三十。
それを見ただけで、いや、無理だろ。値付けだけに専念してようやく終わるか終わらないかだろ。という感じの量の在庫である。

勤務は、早朝六時から九時までの三時間。時給は九百円。

その三時間で、俺はそいつらをレジまで運び、揚げ物を揚げつつ検品もしつつ客の相手もしつつ、たった一人で全部に値付けをしなければならない。



おまけにうちの店長は、すぐマジギレを起こすかな~り厄介な人物で、始めてから一ヶ月余りが経ったが、怒鳴られなかったためしがない。当番の度に、ほんのちょ~っとしたことでマジギレされるので、どちらかというと痛みに強いほうであるという噂の弓手師も、いささか心が疲れてしまう次第なのである。

最初の頃なんか、まだなんにもわからないのでその都度店長に聞きに行ってたら、「おめぇよ、ガキじゃねえんだからちょっとは自分で考えてやってみろよ!!!やってから聞きにこい!!!」と怒られたので、なるべく聞かないように自分の勘に頼って働くようにしたら、次の週には「おまえさ、まだどうせなんにもわかんねえんだからその都度俺んとこに聞きにこいよ!!!ったく使えねぇなあ!!!」とマジギレされ、どっちだよ!いぢわる!!おまえなんかうんことか踏んでろ!!という思いをしたものである。


そんなわけなので、早朝、店長とマンツーマンのコンビニで値付け終わんなかったりしたら、「俺なら三十分で終わるぞ。ほんとにおめぇはトロトロトロトロしてるよな!!」とキレられるので、んもぅ小心弓手師はびくびくしながらすげぇ急いで仕事をしているのだ。三時間働いた後には、Tシャツがぐっしょぐしょである。それほど朝っぱらから頑張っているのである。




さて、しかしそんな頑張りを見事に邪魔してくれるのが、お客様の奴らである。
奴らは自分を神だと思い込んだ悪魔である。

次から次へとやってきては、俺の仕事を邪魔するのを楽しんでいるかのようだ。


いや、もちろんお客様のお相手も俺の大事な仕事だし、大半のお客様は普通の、一般常識をしっかりと備えた方々なので、俺も別に文句はない。
しかし、三時間レジにいれば、その間に五人くらいは、ブログで顔写真とか公開しておもいっきり汚い言葉とか浴びせかけてやりたいくらいウザい客がやってくるものなのである。


特に最悪なのは、ババア共である。

いや、ほんとにババアは終わっている。




レジで無理難題をふっかけてくるのは、大抵ババアである。コンビニでスーパー並の買い物をしてレジを混雑させるのもいつもババアだし、自分で時間のかかる仕事をさせておいて「早くしてよ」とか言っちゃうのもいっつもババアである。それからわけのわからん商品券を出してくるのもババアだし、よくわからんチケットを買おうとするのもババア、なんやかんや注文をつけて店員を困らせるのも常にババアである。ひどい例としては、混んでるというのにわざわざレジで時間を聞いてくるババアさえいる。そこに時計かかってんだろうがぁぁ!!


俺は新米なので、そういうババア共のイレギュラーな仕事に惑わされ、テンパり、ついには店長に聞きに行き、「お客さん待たせんなよ!!」とマジギレされ、ババアに「早くしてよ」と言われ、その上その間にレジは混み、次から次へと客が来て、いつの間にやらレジに付きっきり状態となり、その間値付けは長時間中断し、ふと裏を見ると店長は寝ており、ね、寝てるーーー!!うそー俺こんなに忙しいのに寝てるー!!となり、ようやく客が途切れたと思って値付けを再開したらまたすぐババアに宅急便を頼まれ、その手続きをしていたらまたレジが混み始め、また長時間値付けは中断し、ふと裏を見ると店長が寝ており、まだ寝てるーーー!!俺こんなに頑張ってるのにまだ寝てるー!!となり、ようやく値付け再開したらまた客が来て・・・・・。



と、まあそんなエンドレスな苦痛三時間が、俺のバイトである。ちなみに、今まで値付けを完遂出来たのは、たったの三回だけである。たまたま在庫がちょっと少なく、めんどくさい客も少なかった日に修羅の如く手を動かしてガチャガチャ値付けしまくったら、なんとかギリギリ終わったのであった。終わらなかった日は当然、目を覚ました店長に説教をされて帰ってゆくわけである。



いやぁ、お金稼ぐのって、つらいね。苦しいね。


でも、苦痛と逆境こそが人を強くし、挫折こそが人を大きくするんだ。きっとそうだ。


大学に入ってから長らく続いた欝なメンタリティは、はしか週間に悟得したこの信念のおかげでずいぶん楽になった。

今、俺の心は晴れわたる五月の青空のように、澄んでいる。


誰だって、雨に打たれれば冷たい。でも、毎日雨に打たれ続けたら、きっといつの間にかそれを冷たいとは感じなくなっているだろう。それは、きっとその人が強くなったということだろう。

それなら、苦痛は決して無駄じゃない。

俺は強くなっているのだ。まだまだ強くなれるのだ。

ニーチェは言った。「神は死んだ。」と。生とは善悪ではなく、単なる力であり、強弱に過ぎないと。



憂鬱な事ばかりが続いて、日常に歓びを見い出し得ず、人生のままならなさに戸惑い、嘆いている諸君へ。

今、諸君らが苦しんでいるのなら、それは諸君らが強くなっている証だ。そして諸君らがまだ強くなる余地のある証だ。

迷うことなどない。悲しむことなどない。
我等はただ、山頂への一本道を進んでいるだけなのだ。
山頂に立ったとき、我等は眼下に、己の辿ってきた山道を懐かしく眺めるだろう。我等はその時に知るだろう。あのつらい坂道があったからこそ、ここまで来れたのだ、と。


目を上げよ。歩みを止めるな。日本一になる、その日まで。





てかどうでもいいけど、今、美竹涼子見たよ。渋谷駅で。いや、絶対あれ美竹涼子だって。まあ俺そんなに彼女にはお世話になってないけど、男子を代表してお礼を言っておこう。いつもお世話になってます!頑張って下さい!!