前提事実捏造を犯した、筑波大NGT事件判決 | 平山朝治のブログ

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東京高等地方簡易裁判所合同庁舎

 

裁判の判決においては、当事者間に争いのない事実や、証拠及び弁論の全趣旨によって容易に認められる事実を「前提事実」と呼んでそれを大前提とし、さらに事実認定を加えたうえで法的評価を下す。しかし、本年3月27日付け東京地裁判決は、被告大学が事実として主張し、原告がそれを反証した虚偽を前提事実として採用するという過誤を犯している。

 

本件判決は「2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)」のひとつとして、以下のように記した。

 

(9)被告大学による本件論説のデータ削除

被告大学は、令和3年6月14日、本件論説のデータを本件リポジトリに係るサーバーから削除し、これにより本件リポジトリ上に本件論説のデータは存在しなくなった(乙20。以下「本件削除」といい、また、「本件公開停止」と併せて、「本件措置」という。)。

 

令和3年6月18日の本件提訴をNHK、時事通信、産経新聞、時事通信が被告大学にも取材したうえでその日のうちに報じた[1]後、同年6月21日に本件削除がなされていたことを原告は知り、それは提訴に対する報復措置ではないかと疑われたため、原告準備書面(1)原告陳述書(2)を提出したところ、被告大学準備書面(1)において、「令和3年6月14日付で非公開対応したもの」(15頁)と、担当事務責任者の陳述書(乙20)以外に裏付けとなる客観的な証拠がないまま主張した。それに対して、原告準備書面(8)の2の(4)、原告陳述書(6)5〜6頁、原告陳述書(7)1頁において、インターネットアーカイブの記録をもとに、本件削除が行われたのは提訴に関するニュース報道の直後である同年6月18日23時1分以降であることを示し、それらに対して被告大学は反論をしていないので原告の主張を暗黙のうちに認めたと思われる。にもかかわらず、判決は原告の主張を無視して被告大学準備書面(1)の主張を前提事実(9)としている。このように、前提事実(9)は原告と被告大学との間で争いがあるため前提事実の要件を満たさないのみならず、真実ではなく虚偽である。

 

被告大学が本件削除を提訴前の6月14日であると主張したのは、提訴に対する報復措置ではないかという原告陳述書(2)に記した疑いを否定しようとしただけでなく、そこでは明記していなかったが、被告大学内部に本件削除は違法ではないかという懸念があって、提訴の時点までその実行を躊躇っていたからではないかという疑いも払拭したかったのではないかとも思われる。いずれにしても、提訴の事実を知ってただちに本件削除を実行したのであるから、誰かがそれを決定し、その責任を負わなければならないことになる。

 

阿部附属図書館長はすでに同年3月に定年退職していた(乙13)ことや、稲垣副学長・コンプライアンス管理者もその職を離れて被告大学特命教授・学長特別補佐となっていた(乙12)ことからして、両者は提訴を知ってそれまで保留してきた本件削除を命じる立場にはなく、後任の附属図書館長や副学長・コンプライアンス管理者が本件を巡る複雑な事情を咀嚼した上で、提訴を知ってただちに決定を下すことは困難であり、責任をとれないため決定を保留すると思われるので、消去法によって、学長が何らかの形で本件削除を裁可したと推認できる。正当な法的手続きに従った提訴を知ってただちに本件削除を実行させたことは明らかに裁量権の逸脱濫用である。

 

したがって、本件削除が提訴前の6月14日であるという被告大学準備書面(1)の主張は、学長が関与して6月18日にその決定を下したことを隠蔽し、学長の責任をすでに退職している阿部元附属図書館長になすりつけるためのものだったのではないかと疑われる。

 

本件削除がいつ行われたかという根本的事実を巡って、原告と被告大学との間で上述のような対立があったにもかかわらず、判決文を作成する際それを3人の裁判官の誰もが見逃すということは、普通ならばありえず、虚偽を前提事実にすりかえるという虚偽公文書作成行使すらあえて犯すことを3人の裁判官に強いるような、何らかの強力な政治的圧力が存在することを暗示している。このことも、6月18日に本件削除を違法に実行した責任は学長にあることの間接証拠となる。

 


[1]「筑波大教授「NGT48」問題論文 大学ホームページから削除で提訴」

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210618/k10013092331000.html

https://www.dropbox.com/scl/fi/f1t0ng5gp3cn3e6qnzdhi/NGT48-NHK.pdf?rlkey=x1zygzp14cicl8rzjvlaeubwt&dl=0

「「削除は違憲」筑波大を提訴 アイドル暴行事件論文で教授 東京地裁」

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021061801059&g=soc

https://www.dropbox.com/scl/fi/o9il9d2fvi7whv963yf5v/.pdf?rlkey=6u8efoyl6jf2gjhvs8rv9hjq5&dl=0

「NGT48問題論文削除「学問の自由侵害」と提訴」

https://www.sankei.com/article/20210618-DLGFPBNVBNIIJGBRSXYDPDJNJE/

https://www.dropbox.com/scl/fi/soi85s6k9bfvzlujqtkhg/210618.pdf?rlkey=68jr3sph38s5ov8p4pbmm0xuq&dl=0