平山朝治のブログ

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出所:映画『開戦前夜』|7月31日(金)全国公開

 
2026年7月31日に封切られた『開戦前夜』は、内閣総理大臣直轄の総力戦研究会の模擬内閣が米国に戦争をしても日本に勝ち目はまったくないという結論を得ていたにもかかわらず、なぜ開戦に至ったという問題意識のもとに作られている。
 
映画サイトのトップページ’(カバー画像)には
 

真珠湾攻撃の4ヶ月前一一

すでに、「日本必敗」という結末が見えていた

 

と記されている。

 

しかし、総力戦研究所は『昭和十六年度初頭ニ於ケル總力戰的内外情勢判断』で、「日独伊対英米戦に於ては概ね 年以上の長期戦とならざる限り彼は対日勝算なかるべし」(113コマ)としていたので、1年未満の短期戦の勝利は可能としたうえで早期講和をめざすというのが彼らの提言だったのではなかろうか?

 

連合艦隊総司令長官山本五十六は「一貫して短期決戦の考えを持ち、真珠湾もミッドウェーも、敵艦隊撃滅で戦意を失わせ、講和に持ち込む腹で発案された。」(「山本五十六、説明努力怠る」、読売新聞オンライン『検証 戦争責任』)のであるから、上で示唆した総力戦研究所の提言に沿っていたことになり、ミッドウェーの敗戦でその目論見がはずれたということになる。短期決戦勝利・早期講和がなるか、それがならず長期戦化して壊滅的敗戦に至るかという賭けにおいて、総力戦研究所は短期決戦を是とし、山本の真珠湾・ミッドウエィ作戦立案を促したとみるべきではないのか?

 

開戦前、米英側は、〈日本が、南方を押さえて蘭印の石油などの資源を獲得し、アジアでの勢力圏固めを優先して持久戦に持ち込み、ドイツの欧州戦を眺めながら米英との直接対決は避ける〉という戦略をとることを警戒していた。(「あいまいな戦争目的」読売新聞オンライン『検証 戦争責任』)

 

対米英開戦を回避しつつ蘭印の石油などを確保することが、米英がもっとも恐れていた戦略だったということは、裏返せば、日本にとって最も合理的で、リスクも少ない戦略だったのではなかろうか?

 

このような提言の可能性の目を摘んだのは、机上演習において、「米国のフィリピン水域での中立宣言と日本軍用船撃沈」という仮想的情況を、1941年8月16日に研究所の統監部が模擬内閣に与えたことである。そして、8月18日に閣議が開かれ、陸軍大臣が対米開戦を提案、海軍大臣は長期消耗戦は日本必敗とし、対立の末、対米開戦が決定された(「総力戦研究所」、机上演習第7期)。

 

つまり、米国が蘭印から中国南部、台湾、日本への物資輸送を武力で阻止するという仮定を総監部が模擬内閣に与えた上で、対米開戦の是非について議論させたのであるが、実際のところ、米国にはそのような実力行使をする気はなかったのではなかろうか?

 

もし仮に、日本が対米開戦せずに蘭印を確保していても、米国は蘭印からの石油等資源輸送を武力で阻止しようとはせず、日本も対米開戦という、短期決戦成功の保証がない賭けに出る必要はなかったかもしれない。だとすれば、まず蘭印に進出して米英の出方を見るべきところだっただろう。その後も日本は、欧州戦のゆくえを睨みながら米英と外交交渉を続けることができたのではないかと思われる。