乃木坂46選抜メンバー決定基準の変遷①:草創期 | 平山朝治のブログ

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乃木坂46「ぐるぐるカーテン」選抜メンバー

 

AKBが2009年から2018年までの間、シングルの選抜メンバーなどを決めるため年に1度選抜総選挙を行い、2010年(総選挙選抜メンバーによるシングルは17th『ヘビーローテーション』82.2万枚)から2013年(32nd『恋するフォーチュンクッキー』133万枚)までの間の全盛期には国民的盛り上がりを示した。ちょうどその時期のただなか、2012年2月22日という2が4個も続く日にデビューシングル『ぐるぐるカーテン』をリリースして誕生した乃木坂46は、AKB48のシャドーキャビネット(二大政党制のイギリスで野党が作って政権交代に備える影の内閣


)として構想され、公式ライバルとして売り、デビュー日を2にこだわって決めたように、まずは女性アイドルグループとしてAKBに次ぐ位置に狙いを定めていたと思われ、選抜総選挙で売れたAKBの二番煎じとならないような差異化が大きな課題となっていた

 

ソニー関係者によると、

 

AKB48のシャドーキャビネットを作ることについて、もう一度ソニーミュージックから提案させてもらえないかとお願いし、1年弱、秋元先生のところに通いました。
ありとあらゆるアイデアを持って話し合いを続け、秋元さんの中に今の乃木坂の骨格的なものができあがっていきました。
それはのちに、『
16人のプリンシパル』(2012~2014年にPARCO劇場などで上演)という舞台につながっていくもので、1幕目を見たお客さんが投票で選んだ配役で2幕目を上演するものでした。

 

乃木坂自体の選抜人数も『16人のプリンシパル』同様初期は16人で固定され、1幕目→投票→2幕目に相当するものとして、nthシングルのメンバー配置→個別握手会成績→n+1thシングルのメンバー配置、というシステムが構想されたと思われる。

 

そこで、乃木坂のメンバーごとの個別握手会完売状況と次期選抜メンバーとの関係がどのように変遷してきたかを検討してみたい。

 

出所:「」(選抜状況は引用時加筆)

 

分数m/nは、個別握手会にn部参加してそのうち完売はm部だった、という意味だ。氏名欄の右横は1st『ぐるぐるカーテン』の選抜状況であり、Cはセンター、1は1列目、2は2列目、3は3列目を表わす。1列目3人、2列目4人、合わせて7人は AKBの神7に倣ったものだが、7福神と呼ばれ、1列目2列目の合計人数がn人に変わってもn福神と呼ばれるようになった。

 

1stで選抜入りしていたが2ndで選抜落ちしたメンバーは川村真洋、齋藤飛鳥、能條愛未の3人で、いずれも1stの完売部数はゼロだった。2ndではじめて選抜入りしたメンバーは、0/3の岩瀬祐美子、0/9の畠中清羅、0/3の宮澤成良だった。1stで完売が少なくとも1部あったメンバーは9人で、全員2ndで選抜入りした。

 

2ndで選抜入りしていたが3rdで選抜落ちしたメンバーは岩瀬、畠中、宮澤の3人であり、いずれも完売ゼロか1だった。3rdではじめて選抜入りしたメンバーは3人で、伊藤万理華は2ndで2/4、深川は1/8、若月は2/8だった。また、2ndで3部以上完売したメンバーは9人で、生田絵梨花10/10、生駒里奈4/10、斉藤優里4/8、白石麻衣10/10、高山一美4/10、中田花奈4/10、西野七瀬5/10、橋本奈々未10/10、村松沙友里10/10で、全員3rdで選抜入りしている。また、2部完売したメンバー4人のうち3人は選抜入りし、1部完売したメンバー4人のうち1人しか選抜入りしておらず、完売ゼロのメンバー15人のうち選抜入りしたのは2人である。以上から、ゼロ部で2/15、1部で1/4、2部で3/4、3部以上で9/9と、完売部数が高くなるほど選抜入りするメンバーの比率も高くなっていた。

 

以上から、1stと2nd個別握手会では、完売部数が多くなるほど選抜入りする率が高くなっていた。また、1stでは1部以上、2ndで3部以上完売していれば全員選抜入りしたので、各シングルの個別握手会において、選抜入りが必ず保証される最低部数があった。

 

なお、2ndで0/10の桜井玲香と0/4の星野みなみは3rdで1列目、2ndで2/6の永島聖羅は3rdで選抜外なので、AKBと同様、運営に推されたり干されたりするメンバーもいたことになる。桜井、星野は1stで0/9、0/15だったが2ndでは1列目、3列目だったように、一貫して運営に推されていた。桜井は3rd以降、星野は7thとりわけ10th以降完売状況が急激に改善してゆくが、運営に推されなければこうはならなかったのではなかろうか?

 

以上のように、乃木坂草創期の選抜決定においては、個別握手会の完売状況にみられるようなファンの支持と運営独自の判断や意向とのバランスがよくとられていたと評価できるだろう。

 

ジャニー喜多川の意向や判断が突出していたため性加害が長期にわたって蔓延したジャニーズと比べて、選抜総選挙や個別握手会・ミーグリの成績を介してファンの支持がかなり反映されるAKBや坂道のシステムがいかに優れており、パワハラやセクハラからメンバーの安全を保証しているかもわかる。運営に干されても個別握手会やミーグリの成績が向上すれば選抜入りの可能性が高まり、一定の基準を満たせば選抜入りが保証されたからである。

 

これらのことを一般化すれば、完売部数が低いほど選抜入りできない可能性が高くなり、また、選抜入りを保証するような完売最低部数も存在するため、選抜落ちを避けたり選抜入りを狙うためには、できるだけ多くの部で完売するよう、各メンバーとその推しは強く動機付けられることになったと思われる。