この記事では、おそらく皆さんをもっとも悩ませるハードボード、インフレータブルボードの選択について書いていきます。
スピードを出すための考察はこの記事に書いていますが、今回の記事もスピードに少し関わります。
ここからは、特に明記をしない限りハード、インフレータブルで同じサイズ(長さ、幅)を前提に話をします。
ハード、インフレータブルどちらを選ぶか
ハードボード、インフレータブルのそれぞれの良いところに着目しながら、もう一方ではどうなのか比較します。
私は現在ハードを使っていてインフレータブルを数年使ってから乗り換えてその良さを実感しています。
その立場から先にお伝えすると、収納さえできればハードボードをオススメします。
ですが、本当に「今の自分」にあっているかは、こちらの記事でインフレータブルのメリットをまとめていますので合わせてご確認いただくようにお願いします。
また、ハードボードは運搬か気になるところかもしれませんが、車さえあれば基本的に困ることはあません。
車にキャリアが付いていなくても、ソフトキャリアというものがあり、軽自動車だろうがコンパクトカーだろうがスライドドアだろうが基本的にはどんな車もハードボードを運ぶことができます。
安いですし使うときだけ付ければよく、とてもお手軽なのでこちら先に紹介します。
もう少し高い膨らませるタイプのも使いましたが、炎天下ですぐに使えなくなったので、私が使っている上記の商品をおすすめします。
なお、ソフトキャリアについても取り付け方から使用方法を別の記事でまとめています。
それでは、本題に入っていきます。
ハードボードのメリット
色々なところでハードボードのメリットは目にすることがあると思います。インフレータブルと比較しながら、なるべくここにしかない私の実体験や科学的な話をしたいと思います。
・安心して乗れる(不安が無くなる)
これが1番大きいです。インフレータブルで遠出をしていると、もし今バーストしたら···と考えることがありました。この不安がハードボードで無くなります。
そんな大げさと思われるかもしれませんし、バーストなんてたしかに滅多にあることではないのですが、それでもその時を考えると心の負担でした。
というのも私の場合は、陸から5km以上離れる場所まで遠出しますし周辺に気軽に上陸して帰れるような場所がないんです。
そうなるとバースト=遠泳 or 救助要請になり、荷物どうしようかなとか、バーストしたボードはゴミになるので捨てて帰れないよなとか、5km泳ぐのはさすがに辛いなとか、救助も迷惑をかけて嫌だなとか、やはり考えてしまいます。
特にインフレータブルは寿命があるため、長く使っているといつそうなるかわからず頻繁に考えるようになりました。
その一方で、ハードボードでしたら基本的に破損してもそのまま陸まで帰れます。また、名前のとおり材質が硬いため、海のうえで大きく破損することはありません。
ただ、インフレータブルには2気室のものがあるようで、1気室がバーストしても最低限の浮力を確保できるものがあるようです。そういったものであれば、そこまで心配はなかったかもしれません。
・感性に響く(スピードが出る)
これはなぜかあまり書いているのを見ないのですが、同じ長さ幅であれば一般的にハードボードの方がスピードが出ます。
なぜあまり書いていないのか不思議ですが、一概には言えないということや、言ってもインフレータブルで裾野を広げたい各ブランド得することが無いのであえて言わないのかもしれません。
なおスピードについてはレースでも出ない限り実際そこまで気にすることはないのですが、ここが大事でSUPに乗っている間ずっと何百回も漕ぐ一漕ぎ一漕ぎの漕ぎ味が違うんです。
では、どうして漕ぎ心地が違うのでしょうか。
ハードボードの表面に来る素材はレジン系の硬化してツルツルになるポリエステル樹脂やエポキシ樹脂です。
一方、インフレータブルはビニル系の折り曲げられる柔らかい素材です。このビニル系の折り曲げに強いような素材は、水とくっつきやすい特徴があります。
世の中の素材には特に表面加工をしない場合の素材自身がもつ親水性(接触角)というものが決まっていて、親水性が低い=撥水性が高い=水を弾きやすい=水面の移動が早くなるんです。
なお、難しい話をすると親水性が圧倒的に高いとまた異なった話になります。
水着などスピードが求められる世界では、親水性が高い素材が有利です。ですが、そういった素材は曲げや擦れに強い必要があるインフレータブルの表面素材としては使えません。
インフレータブルにたとえ親水性が高い水着のような素材を使っても何度か折りたたんでいるうちに劣化してしまいます。
そのため、ここではその説明を割愛します。
話を戻して先ほど説明したとおりハードボードの素材は、親水性が低く水を弾きやすいです。
ポリエステル樹脂やエポキシ系の硬化する樹脂では、撥水力を得ることができます。なお、ハードボードでしたら、表面に親水性の高い素材を利用することもできるかもしれませんが今のところそういったボードは見たことがないです。
上記の結果からハードボードの方があまり水とくっつかずに滑らかに水面を進むためハードボードのほうが一般的には滑らかな漕ぎ味を得ることができます。
ここまでのお話は材質によって変わる水との摩擦抵抗による話ですが、実はもう一点あります。
ハードボードは自由な形状でボードの設計ができます。同じボードの幅・長さであってもハードボードは安定性を高める工夫ができるため水面上におけるボードの安定性がインフレータブルより圧倒的に高いです。
いくつか例をあげると1つはダグアウトというボード上の重心を下げることができる形状です。ボードの安定性を左右する要素に、ボード上の重心の高さが関係しますが、この重心を大きく下げることができます。
もう1つあげるとボードの底面を凹状にすることでバランスを崩しにくくすることができます。コンケーブと呼んだりしますが説明は割愛します。
つまり同じ安定性を得る場合であってもハードボードのほうが幅を狭くできるんです。
結果的にハードボードは幅を狭くすることできるため細いボードが水の抵抗少なくスーッと進む心地よい感覚をひと漕ぎひと漕ぎ味わうことができます。
もちろん心地よいだけでなく減速しにくい安定したスピードを出すことができます。
・準備、片付けが楽
ハードボードは、車から下ろせばすぐに海に出発できます。一度や二度であれば大した差ではないと思いますが、これが何度もとなると膨らましたり縮めるのがインフレータブルでは面倒になります。
また、海から帰ってきたらざっと海水を流して滴らないくらいに水を拭きとれば片付けも終わりです。インフレータブルだとそうはいかず、折りたたむので水をかなり丁寧に拭かないといけません。
インフレータブルのメリット
インフレータブルからハードボードに変えましたが、インフレータブルにもメリットがあります。私は環境的にハードボードが許されるのですが、そうでない場合にはインフレータブル一択です。
先ほどはハードボードのメリットを書くさいインフレータブルを比較に出していましたが、今度は逆で書いていきます。
・スペースをとらず運搬も楽
これはインフレータブルの1番のメリットです。ハードボードは3m超のでかいものをどこに置いておくかという問題が大きく立ちふさがります。
私の場合は購入したときのダンボールにこの防水シートを巻いて屋外保管しています。
ですがボードは安い買い物では無いので私のような安全な地域でないと外に置いておくのも心配かもしれません。
おそらくハードボードを選ばない1番の理由は置き場所がないことではないでしょうか。
また、インフレータブルであれば運搬についても車ならキャリアさえいらず余裕で積むことができます。ハードボードは、最初に書いたとおり車にキャリアを付けないと運搬できません。
・長いボードが使える
これも大きなメリットです。どんなサイズでも収納が容易なため気軽に14ftの長いボードを選ぶことができます。
一般的なボードのサイズで最も長いのは14ftで、このサイズは4.2m以上あることになります。となると14ftのハードボードを置いておく場所を確保するのは、なかなか敷居が高いです。
その点、インフレータブルは畳んでしまえるので、室内でも大きなスーツケースくらいの大きさしか場所を取りません。
この14ftが使いやすいというメリットは、スピード面(と波を乗り越える時の安定性、これは後で書きます)にあります。
はーどぼーインフレータブルよりハードの方がスピードが出るとお伝えしていましたが、それはあくまでも同じサイズに限った話です。
海では波を乗り越えるときに、前が浮いて(後ろが下がって)真ん中が浮いて最後に後ろが浮いて(前が下がって)という動作をします。
この波を乗り越える動作をシーソーに置き換えて考えてもらうとイメージできると思うのですが、長いシーソーより短いシーソーの方が端が上がったり下がったりするときに角度が大きくつくのわかりますか。
それがボードでも発生し、波を乗り越え終わるときに短いボードでは前の部分が海に刺さりやすくなるんです。これはかなり大きいです。
波を乗り越えるときに突き刺さると大きな減速がありあまりに大きく急激な減速でつんのめってバランスを崩すこともあります。
そのため、多くの場合ボードは長い方が安定してスピードが出ます。
また、ボードが長いと浮力があがるので同じ幅であれば前から見たときの水中部分が減り、水上の部分が多くなります。これも進むときの抵抗が減るのでスピードアップにつながります。
さらに、長いとそれだけボードのノーズ部分になだらかな角度をつけることができます。
これらのことから長いボードを使いやすいインフレータブルはスピード面で優位なこともあります。
・初期投資が抑えられる(値段が安い)
これはインフレータブルの大きなメリットで間違いないです。同じブランドの同じコンセプトのボードでも倍以上に値段が違います。
一例ですか人気があって誰にでもオススメのできるSTARBORD社のALLSTARで比較してみます。
こちらは、インフレータブルボードです。
こちらは、ハードボードです。
ご覧いただいたとおり、3倍まではいきませんが2倍以上の価格差があります。
ですが、インフレータブルの寿命まで考えるとハードボードも捨てがたいです。また、長い間使っているとハードボードで書いているとおり少し不安になってきたりします。
今回はここまでです。ボード選びは迷うと思いますが、こちらの記事も参考に悩みに悩んでお気に入りのボードを探してください。