えっと、久しぶりにポストハーベスト農薬について調べていて(大雑把には覚えていてもさすがに細かいことなんか覚えてないので・・・だいたい、日頃使ってるものでもないし)、変なものを見つけました。


【楽天市場】 抗菌・防カビシート 
  オーエ 抗菌・防カビ加工 押し入れシート
  http://www.rakuten.co.jp/zakkaz/461411/551085/497936/


 先に言っておきますが、この商品を提示しているのはたんにこの商品が最初に見つかったというだけであり、他にも同様のものがあることは想像していますし、特にこの商品についてのみ言及(批評)しようとする意図はありません。


 で、売り文句。



 ~ 防カビ加工 ~
このシートは、ベースの発泡ポリエチレンに、食品添加物としても許可がおりている安全性の高い防カビ剤(チアベンタゾール)を配合しておりますので、カビに対して効果があります。効果は使用される状況により異なりますが、開封後約1年を目安にして下さい。



 はい、カビに対して効果はあるでしょう。全く否定しません。
 が、このチアベンタゾール、通称TBZは特定の世界で蛇蝎のごとく嫌われているポストハーベスト農薬の代表的なものの一つです(笑


 当然、防カビシートなんて直接口にするものじゃないですから、これとポストハーベスト農薬そのものを対比するなんてマネはしませんよ。
 しかし、食品添加物としても許可がおりている安全性の高い防カビ剤っていうフレーズは面白いなあ。


 せっかくだから一応ツッコミをしておきますと、食品添加物として許可が下りている→安全とは、考えが短絡しています。
 つまり、食品添加物として許可が下りているのは、その残留量が一定基準を超えないことを担保にした上でのことです。要するに、いくらチアベンタゾールでも基準値を超えて残留するのは許されません。
 極端なことを言うと、形成外科(美容外科)・神経内科の現場でも使用されるボツリヌス毒素・・・という言い方も出来ます。間違いではありませんが、誤解を含む言い方でしょうね。


 どんなに安全とされるものでも、摂り過ぎれば毒です。


koume

 ろはんは たからばこをしらべた!
 たからばこは バイツァダストだった!
 「すでにおまえの瞳の中に入っている!
 わたしの正体を探ろうと『たからばこ』に近づく者には全て作動するッ!」



 「おはようございます ゆうべはおたのしみでしたね」
 「貴様見ていたなッ!」



 昨日、このページを見ていたもので。
http://workingnews.blog117.fc2.com/blog-entry-1425.html
ジョジョの奇妙な昔話


koume


 工業米転用事件において、いわゆる事故米は、MA米のうち残留農薬基準に適さないもの、あるいは輸送中や保管中に痛んだものが転用されたといわれています。


 ここで余談ですが、MA米とはミニマム・アクセス米の略です。これはWTO交渉の末に日本が毎年最低限輸入しなければならなくなった米のことで、年間80トン80万トン弱あります。これは、国内のコメが足りなかろうが、豊作で余ろうがなんだろうが輸入されます。今のところ国産のコメは余りがちで、個人的には輸入など無駄としか思えませんが、国策のことですから工業品輸出のバーターなどの条件付けもあろうことですし個人で批判してどうこうすることはできません。ある意味、今回の騒ぎの遠因は御手洗富士夫あたりにあった・・・とか言ってしまうのは穿ちすぎでしょうね。
 MA米・・・に限らず海外米はその低価格が何よりの売りですが、しかししばらく前に話題になったとおり海外市場での穀物価格は暴騰しています。というわけでMA米だって値上がりしていて、国内の業者にはMA米を使うメリットが小さくなり、最近はなかなか取引にならないといった事情も聞かれます。


 さて、痛んだコメなど食用にはならないので工業用に激安価格で(キロ当たり10円・・・1トンでも1万円。ちなみに普通の食用米は業者価格で1トン30万円ほど)払い卸されると説明されていますが、その工業用の用途にはよく糊などと言われています。が、糊「など」の「など」、つまり糊以外の用途に関してはあまり例示されていません。完全に100%が糊に行ってるとは考えづらいので「など」とつけてごまかしていますが、実は私も知りません(^^;


 が、私はいつも不思議でしょうがなく思っていることがあるんですが、何でそんな激安米をバイオエタノールの原料に使わないんでしょうか。


 確か去年あたりですが、エネルギー用米として新潟県は超多収量のコメ品種を開発し、これでもってキロ当たり23円で作ればバイオ燃料としてペイできるとか放言しましたが、国産米でキロ23円はいかなる多収品種でも不可能です。国に補助金を求める策もあるようですが、だったらそんな迂遠なことなどせずに商品価格に転嫁したほうがいいというのが私の考えです。
 んが、MA米をこちらに流して、予算をつけて研究なりなんなりすればもっと話は単純です。まあ事故米はともかく、事故でないMA米は23円より高いのですが、それでも国内の農家に補助金をやって23円のコメを作らせるよりは安くつくはずです。


 工業用米の需要はきっと山ほどありますよ。


koume

 今朝、とくダネ!を見ると、三笠フーズの件で出演者たちが口から泡を吹き出さんばかりに怒りのコメントをしておいででした。しかし私は、米業界の片隅にいるものとして、こういう人たちより、そして大半の消費者の皆様よりは真剣にこの件に怒っています。三笠フーズは解散させ、経営陣は逮捕・起訴そして実刑処分まで行くべきです。厳重な対応で一罰百戒的効果を見せるべきです。・・・という書き出しにしましたが、今回は別にマスコミ批判をするわけではありません。


 私がなぜ、他の業界の人々・・・つまり非食品業界の人よりも真剣に怒っているかというと、実際に直接的な被害がある(あった)からです。コメに対する信頼・イメージのダウンは当然ですが、もっともっと直接的には、激安な原料を転用することによって小売価格を不当に引き下げ、それによって一般の米の相場をも不自然に下げることになった点です。不自然に安い価格の米が市場に出回ったことで、去年は新潟米ですら経済連は5キロ1980円に設定するなどと言い出す始末で、今年の相場はやや回復していますが、しかしこの件によってまた安売り合戦が始まる恐れすら無いとは言えません。


 さてこの件は各報道でも叩かれている通り、一般の方々へもかなり衝撃を与えたようです。ところで事件の影響はコメ業界にはこういう形で存在しますが、一般の方々が被った被害はどういうものがあるのでしょうか。


 まずコメへの安心感とか信頼感のようなものには少なからず影響があったと思います。コメそのものはもちろん、今回の転用米を原料としたとされる酒や焼酎、菓子などへの安心にも傷がついたと思います。
 で、先日からよく言われている健康被害の問題ですが、しかしこちらの方はほぼ無視できる程度でしょう。NATROM先生が新しいエントリを上げていて(事故米のアフラトキシンによる肝癌のリスクを大雑把に計算してみた )、そちらでは大雑把な計算ながら、今回の事件での肝癌発生リスクは1年あたりおよそ0.0018人と推定されています。私もこの数字は支持に値すると思います。
 ちなみに、一応補足しますが、大雑把な計算とは言っていますが、各データはリスクを過大目に評価しながら入力されているので、もし大雑把が嫌でもっと精密な計算をしたとすれば結果はさらに1~2桁以上小さくなります。
 これは、仮に今後10年間同じ量の事故米が流通し続け、さらに三笠フーズ以外に同様の規模で悪事をしでかす企業が100社あった・・・などと言うほぼありえないほどの仮定をもってしても患者は1.8人となる、極めて小さな数字です。
 ただしここで強く指摘しておきますが、私は、健康被害がほとんど無視できるとしても三笠フーズが免罪されるべきとは一切思っていません。そもそも私が三笠フーズに対して処分すべきとする第一の根拠は、食品衛生法違反です。なので、一般食用米として流通した分については回収して処分すべきですが、加工品に関してはその加工品での残留農薬・有害物の残留量が基準値以下であれば回収しなくていいと思います。


 それ以外の「影響」としては、上の方に書いたように、市場に不当に安い製品が流通したことが挙げられます。消費者の皆さんは、一部の製品について不当に廉価なものを掴まされ、適正な価格の商品を購入する機会を奪われたという被害が発生しているわけです。
 異常に安い転用原料を使うという悪辣な方法でコストダウンされた製品は、他社の競合品より安価で販売しても利ざやが見込めますから、積み上げ式で価格計算するとどう見ても不自然な価格の商品が存在するわけですが、もしこの件が理想的に処置されるならば、おそらく今後はそのような不自然に安いコメなど市場には出てこなくなるでしょう。私にとっては全く喜ばしいことです。


 ところで話をアフラトキシンのほうへ移しますが、これの害を異様に膨らませる人の多さにはちょっとショックを受けましたが、それでもアフラトキシンのリスクがそれなりに有名になったことは一応いいことのように思いました。ただし、ここで考えをもうちょっと進めなければいけません。
 アフラトキシンは確かに怖いです。ではアフラトキシン・・・というかカビの被害を抑えなければいけませんが、そのためにはどうしましょうか。カビなどどこにでもいますし、高温・高湿の環境があればすぐ生えます。長時間かけての船便輸入なんて格好のシチュエーションです。


 で、カビを押さえる防黴剤として重要なのがポスト・ハーベスト農薬です。20年以上は前から、食の安全を訴える市民団体の手によって蛇蝎のごとく嫌われているものです。発ガン性があるといわれています。が、実際のところは当然カビ毒の足元にも及びませんし、発ガン性の分類としては強いものでコーヒーと同じグループです。


 カビは嫌だがポストハーベスト農薬も嫌だという我侭な方には、他の選択肢も一応あります。例えば定温コンテナで運んでくる方法です。湿度や温度の管理がちゃんとしていればカビは予防できます。
 が、農産物のようにカサがでかく、なによりもカサのでかさの割には価格が安いものを運ぶのに、容量が極めて限られた定温コンテナは向きません。あっという間に運ぶ空輸でも同じですが、それらでちまちま運んでいては運賃がいくらあっても足りません。お金以外にも、船や飛行機は膨大な量の燃料を使い、特に飛行機は莫大な廃棄物を出しながら飛ぶものですから、環境問題的にどうよという批判はすぐくっつくことでしょう。


 それも嫌となったら究極の選択として、食品の輸入はしないというのもアリです。が、そうなると当然、食事という行為からエネルギー補給以外の意義は失われることになります。自給率40%ですからね。


 さてどれを選ぶか、あるいは複数を組み合わせてもいいのですが、これがリスクマネージメントの考え方でしょう。


koume

 三笠フーズの工業米転用問題について、NATROM先生が非常に参考になるエントリを書いています。
有害米と肝臓癌死亡数の増加は無関係


 どうも、今回流通したと思われる工業米に付着していたと思われるアフラトキシンのせいで、およそ10年前から西日本で肝癌患者が増えている、と主張している人がいるらしいのですね。で、それは違うと。
 NATROM先生は医師らしく、肝細胞癌の原因はほとんどが肝炎ウイルスであり、事故米由来とは考えにくいと説明していて、さすがだなぁと思います。そういうこと、私はサッパリ分かりません。
 んで私がわかる範囲で、肝癌患者の増加について工業米の関与を疑うとすれば、肝癌になるのもそれで死ぬのもそれぞれにかなりの時間が必要であって、仮にアフラトキシンが残留した食べ物が流通したとしても、流通した瞬間に癌死が増えることなどありえないでしょう。もし工業米由来でそんな被害が出るとしたら、10年経ってやっとこれから増えてくるくらいじゃないでしょうか。


 私は前のエントリでは、メタミドホスよりもアフラトキシンのほうが高リスクだろうと書きました。ただそれは、両者を比較すれば、たかが基準の5倍のメタミドホスを声高に喧伝する理由など無いといった意味で、だからといって工業米に残留したアフラトキシンが本当に高リスクだなどとは考えていません。残留量がどれほどか、そして何よりもそれらが実際にどの程度、消費者の口に入ったのかが分からないので、リスクを測る事など出来ないからで、低リスクだと断言できるわけでもありませんが、おそらくほとんど無視できる程度のものだろうなとは想像しています。
 リスクを考える際、量は決定的に重要です。いくら地上最強の発ガン性物質といえど、ほんのごくごく微量しか摂取しないならば心配は要りません。もちろん、リスクがゼロとは言いませんが、それを言い出すとこの世の中に発ガンリスクがゼロのものなど存在しません。無農薬野菜しか食べないベジタリアンにもガンはできます。


 私は、「1は0より確実に大きい」という言葉が好きです。何にもしないよりは、何かしたほうがごく微妙でも確実に前進しているという程度の意味ですが、この場合の1とは100か1000の中の1くらいであって、「リスクが完全に否定できないのであれば、リスクは存在するのだ」的な、ある-なしの1ビット思考とは全く違います。


 NATROM先生のエントリは明快ですが、どうもコメント欄には1ビット思考の人が多いようで、残念です。リスクは否定できませんが、それはゼロではないという意味であって、有意に存在するということとはまるで別です。
 塩を毎日毎日50グラムくらい摂取すればたぶんガンは出来ますし、一度に150グラムほど食べれば人は死にます。で、プールいっぱいの水の中に塩を一つまみ入れても水はしょっぱくなりませんが、しかし塩自体は確実に水中に存在しています。もちろん、そんなプールで泳いでもガンになどなりません。リスクは量と強さの掛け算です。


koume