時事ドットコム 2009年10月19日
事業税優遇廃止案が浮上=開業医の診療報酬-来年度税制改正、政府・与党
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009101900764


 2010年度税制改正をめぐり、開業医の報酬に対する個人事業税(地方税)の非課税措置を廃止する案が政府・与党内に浮上してきた。政府税制調査会(会長・藤井裕久財務相)は租税特別措置などの優遇税制をゼロベースで見直す方針を掲げており、年末の税制改正の焦点の一つとなりそうだ。ただ、同措置の存続を求める日本医師会(日医)などの反発は必至で、来年の参院選を控え与党内から異論が噴出することも予想される。


 治療の対価として医療保険から医療機関などに支払われる診療報酬は、税制面で各種の優遇を受けており、個人事業主の所得の3~5%を課税する事業税の非課税措置もその一つ。制度創設以来、開業医の事業所得に当たる診療報酬は非課税扱いが続き、50年以上、手付かずの状態となっている。


 同措置については有識者らによる旧政府税調が課税の公平性の観点から速やかな撤廃を求めるなど、自民、公明両党による前政権下でも見直しを求める声が強かったが、日医を有力な支持基盤としていた自民党内の反発で見送られてきた。



 つまり開業医向けの診療報酬全体を一律3~5%カットするのと同じことですよね。しかもこれは「その一つ」とされていますから、他に何があるか知りませんが、最低これ以上はあるわけですね。
 これと同時に診療報酬自体の上積みが5%以上あるならまだしもでしょうが、どうせ無いでしょうから、この記事を読んだ瞬間いろんなところから悲鳴のようなものが聞こえた気がしたのはきっと杞憂ではないでしょう。


 開業医院ってインフル対応・ワクチン接種の主力機関ですよね。まあ来年度に入ってしまえばもう沈静化してるのかもしれませんが、そこで潰してどうするんだか。


 優先順位の低い事業はカットする!とか豪語するならとりあえず子供手当てとCO225%削減と亀井モラトリアムと公立高校無料化(朝鮮学校含む)をカットしたらどうなのよ。
 自由にお金儲けしていい企業は減税しておいて、自由なお金儲けができない医療機関は増税するってのはもう見てる方向が明後日というより一昨日きやがれって感じなんですけど、民主政権って本当に想像以上にダメすぎる・・・。

NIKKEI NET 2009年10月16日
医師の院生交通事故死、鳥取大に賠償命令 地裁判決
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20091016STXKF088816102009.html


 鳥取大医学部の大学院生で医師だった前田伴幸さん=当時(33)=が鳥取大病院で徹夜勤務をした直後に交通事故死したのは大学側の責任だとして、両親が約1億1600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、鳥取地裁は16日、「大学は疲労や睡眠不足から居眠り事故を招かないために必要な措置を怠った」として約2千万円の支払いを命じた


 研修などの名目で無給のまま医療業務に従事している院生の医師について、「雇用」する側の大学に安全配慮義務があることを認める司法判断。医大院生の過酷な勤務実態は国会などでも問題化しており、各地の大学で進む雇用契約締結の動きにも影響しそうだ。


 朝日貴浩裁判長は判決理由で「大学院生として在学し、診療もしていたのだから安全配慮義務があったのは明らか」と指摘。「業務内容は勤務医と大きく変わらず、精神的負荷が高いものだ」と判断した。その上で「大学は、前田さんがいずれ極度の疲労などから事故を起こしかねないことが十分予測可能だったのに、漫然と放置した」と安全配慮義務違反を認めた。



 1億1600万の損害賠償請求に対して約2千万の支払命令って、この割合が一般的にみてどれくらいの重みなのかは私には分かりませんが(そもそも比率で求めること自体おかしいんでしょうけど)、いわゆる「医療事故」訴訟に比べると安いなあという気はします。


 加古川心筋梗塞訴訟なんて満額回答でしたからね。過労医師のミスは許さんぞ、という態度を取りながら過労死したらスズメの涙、というのは現場の方々にとっては恐ろしく気分悪いでしょうねえ。


 だいたい2千万って・・・この亡くなった方がもし生きていて、院生終わって何年かしたら数年で稼ぐ程度のお金でしょう?損害賠償の金額って現在の年収に係数をかけてとか「ミナミの帝王」で見た記憶がありますけど大学院生の報酬が安すぎるだけで、真の将来損失額(←正しい言葉わかりません)はかけ離れているでしょう。


 医大院生の過酷な勤務実態は国会などでも問題化しており、っていつから問題なんだよ。どうせいつまでも問題のままなんでしょう。


※11月2日訂正


この件ですが、判決の2千万円は大幅な減額というわけではなく、結果としてほぼ全面勝利なのだそうです。
以下、ssd's Diary http://ssd.dyndns.info/Diary/ にて「法務業の末席」さまが書かれた解説。


http://ssd.dyndns.info/Diary/?p=4902&cpage=1#comment-21836


この医師の生涯所得額は4億3101万4600円で、これは原告側の訴状での請求額ででも、鳥取地裁の判決でもは同じ金額を認定して、損害賠償額の計算のベースにしています。


4億3千万円の金額は、67歳まで34年間働けるとしての総額であって、年平均では1267万6900円となります。この年平均の収入額から生活費分を控除して、ライプニッツ係数で34年分の複利利息を差し引き計算した結果は1億263万円となります。この裁判所の判決での基本となった金額は、原告側が訴状で請求した金額と全く同じです。また生涯収入以外の死亡慰謝料は、請求が3千万円請求のところ、判決では2千万円と1千万円減額して認定されましたが、葬祭料は請求通り150万円が認められました。


この結果、原告側請求の逸失利益総額1億3413万円に対し、裁判所が認めた逸失利益は1億2413万円と、ほぼ同じ額が認められています。


ただし死亡した大学院生が、他の鳥取大学大学院生の平均の倍のバイト勤務を、自ら大学病院に希望してバイト勤務割当を増やしてもらい、それが過労と睡眠不足を招いていた要素があること。また、なるべく自家用車を使わず列車等でバイト先病院に移動するよう、大学病院が指導していた事実があること。これらの本件個別の事情を考慮し、大学側の落ち度は(賠償責任)は損害額の40%が相当という裁判所の認定となりました。


その結果賠償すべき逸失利益額は、前記の1億2413万円から6割減らされて、4965万2千円となりました。さらに、通勤労災事故として労災保険から遺族に支給決定された、平均賃金千日分に相当する3146万3千円が相殺された残りの1818万9千円に、訴訟での弁護士費用として10%の182万円がかさんされ、最終的な賠償金額が2000万9千円という判決となったものです。


原告の遺族側としては、大学側の責任割合が40%、大学院生本人の責任割合が60%とした、いわゆる「過失相殺」の比率以外は、ほぼ全ての争点が認められており、実質的には「完全勝利」と言って良い判決です。逆に大学側から見れば、賠償責任が無いとして控訴しても、まず勝ち目は無いと言えます。


判決の金額だけ見て2000万円とはトンデモだ!と思われる医師の方々が多いようですが、決して「生涯賃金2000万」という判決ではありませんので、お間違えの無いようお願い致します。


また判決の解説でも言及しましたが、ご遺族の両親には労災保険から遺族年金が支給されますが、その金額は年600万円ほどと推測され、この金額はご遺族が生きている限り支給されます。労災保険で支給される分は、労基法と労災保険法の規定により、雇用主である病院の賠償義務が免責されますので、遺族年金の5年分に相当する平均賃金の千日分(判決では3146万3千円)が、賠償額から相殺されました。



 まったく何事も半可通が一番みっともないですね。本当にお恥ずかしい。

YOMIURI ONLINE 2009年10月14日
求む!限界集落再生の協力隊員・・・秋田・上小阿仁
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091014-OYT1T00756.htm


 都会から農業の担い手となる若者を招き、廃村寸前の集落を再生させようと、秋田県上小阿仁村(かみこあにむら)は「地域おこし協力隊」の隊員2人の募集を始めた。


 11月1日から最長で2年5か月間、村の中心部から約20キロ離れた「八木沢地区」に住み込みで働いてもらう。小林宏晨(ひろあき)村長は「都会の若者の斬新なアイデアで過疎化を食い止めたい」と、救世主の出現に期待を寄せている。


 村の人口は約7000人(1960年)をピークに減り続け、2931人(9月末)。65歳以上が半数を超える「限界集落」は20地区のうち8地区を占める。


 隊員が入る八木沢地区は7世帯16人で、うち12人が65歳以上だ。山田テイさん(66)は、4年前に倒れて自宅療養中の夫(73)を支えながら、一人で農業を続けてきた。地区内で「最後の農家」だったが、今春、両ひざの痛みに耐えきれずにやめた。地区には至る所に耕作放棄地が広がっている。


 村中心部へは県道1本で、豪雪に見舞われると「陸の孤島」と化すこともある。商店もなく、鮮魚や青果を積んだ移動販売車が週2回、地区を訪れる。


 隊員は1日7時間、週5日勤務農作業のほか、地区の高齢者が病院へ通う際の付き添いや、雪かき、ごみの不法投棄パトロールなども担う


 隊員がそのまま定住することを希望するが、頻繁に話し合いの場を設け、活性化のアイデアも求めている。小林村長は「地元の人の発想は限界に達している。面白い提案には村全体で取り組む」と真剣だ。


 報酬は月額16万円。住居は、26年前まで小学校だった地区公民館で、改修後に無償提供する。募集は10月20日まで(当日必着)。応募要件は20歳以上で、運転免許(AT限定は不可)があること。


 問い合わせは村総務課(0186・77・2221)へ。



 月額16万から年金・税金・保険・水道費光熱費を引いただけで10万ちょいくらいになりますよね。住居?はあるようですが灯油代までは出さないでしょう。
 で、やることは限界集落の雑用係、と言っても介護も含む超重労働。高齢者が病院へ通う際の付き添いや、雪かき、ごみの不法投棄パトロールが「1日7時間、週5日勤務」でできるか!??あ、じいちゃん発作出たって言われても定時過ぎたんで病院にはいけませーん、とか言っていいんだろうか。


 んでその上農作業までやれとおっしゃる。稲作ですよね?米での副収入がありそう、と思われるかもしれませんが、素人が2年やそこらの稲作でペイできると思うなよ
 周囲には経験豊富なじいちゃんが一杯いる!かも知れませんがこの手の人たちは「全員が一人一人違うことを言う」のがデフォですのでロクに参考になりません。経営のための現代農業をやってたわけでもないだろうし、「とりあえず無事収穫できる」以上のレベルは望めないと思います。どっかのマンガみたいに、「農産物は植えとけば勝手に育つ」もんじゃないのよ。
 素人がダメならプロが行けば、というのはそれこそ完全な妄想で、専業農家が行くのはありえません。現役なら元の仕事をほっぽり出さなくちゃいけないし、元農家は「すでに行き詰って辞めた人」なわけだからわざわざ農業で再起するはずが無いでしょう。


 経費としては農業機械や施設は元々揃っていると好意的に解釈しても、その維持費が年間数十万以上かかります。村では出してくれないでしょうねえ。燃料費だってたぶんダメ。
 しかも場所は限界集落です。ということは農地としての条件は最悪クラスでしょう。平場のきちんと整理された農地とはわけが違います。しかも地域最後の農家がやめて、周囲は全て耕作放棄地。つまり農地としては壊れていて、修理には最低1年かかります。


 ・・・なんか透けて見えるんですけど、この報酬って「村として、予算から見てこの程度なら出せる」てな感じで決めたでしょうきっと。そうでなくて、貰う側の都合を考慮して決めてあげないと。
 人を遊び場も無い僻地に拘束するんだし、最低でもこの3倍くらいはないとダメでしょ。まったく様々なものを舐めてるとしか。

 以前書いたネタのフォローです。
 http://ameblo.jp/vin/entry-10339255403.html


 というわけでマンガ「もやしもん」での食料自給率議論の回について。


 「食料自給率が40%を切った!低すぎる!!」と言うような主張を批判するに当たって、取られる理屈には大きく2つがあります。
 一つは「実は自給率は低くない」というもの、もう一つは「自給率なんて数字そのものが何の意味もない」です。私が以前のエントリで書いたのは前者の理屈に対応したものだったのですが、実際にもやしもんで繰り出されたのは後者のお話でした。これならOKで、よくわかります。
 というわけで以前のエントリは空振りに終わりましたが、しかし後者のお話に似たようなこともすでに書いてます。
食料自給率とはなんだ
食料自給率が低くても、正直誰も困っていない


 ところで、そもそも「食料自給率が低い」てのはどういうことでしょうか。これは実は、「食料自給率が不足している」と言い換えたほうがわかりやすくなります。
 不足していると言うからには、何が何に対して不足しているのか?と言う話になりますが、食料自給率の場合は「国内の食糧生産が、食品需要に対して」不足していると言う状態を表します。
 で、ここが食料自給率最大の欺瞞なのですが、食品需要は実際にはそんなに高くないんですよ。つまり食料自給率100%の状態イコール食品需要を100%満たしている状態では全く無く、今現在すでに食品の需要は飽和していると言ってもいいです。そういう趣旨で捉えると、食料自給率は100%と言ってもいいくらいです。
 が、とはいえ食料自給率100%などと言えるものではありません。食料自給率以外に国は、農業と言う業界全体を一撃で表す指標を持っていません。結局食料自給率とは国が持つパラメータの一つであり、それ以上でもそれ以下でもなく、最初から市井の人々の食生活に密接に関わる数字では無いのです。


 一つ言っておきたいのは、「食料自給率問題なんか存在しない」とはいえ「農業問題なんか存在しない」ではない点です。食料自給率なんか虚構だ、という結論だけを持ってきて、例えば今後も食品の低コスト化を進めるならばそれ以外の方面からの問題が噴出するのは間違いありません。


 ところでマンガの長谷川さんは、「食料自給率」なるものに本当にこだわっている主体など実はいないとした上で、食料自給率が低いから上げなくてはならない、なんていう意見はいったい誰が誰に言っているものなのかサッパリわからない、と言っています。消費者が国に言っているのか、はたまた農家に言っているのか、確かに一見よくわかりませんがしかし理屈の上で考えれば、これは明らかに「政府が政府に言っている」です。
 政府が政府に、なんてぱっと見は奇妙なようですがそんなことも無く、ありふれています。つまり政府が政策目標を掲げ、そしてそれを実行すると言う形です。各省庁の無駄・埋蔵金などをかき集めて9兆円の財源を作り出す!と言ったのもやるのも政府(民主党)です。実際には3兆も集まってないがな。
 で、食料自給率とは先にも言ったとおり国に関わるパラメータの一つで、45%に上げなくてはならない!と言うのも政治目標です。つまり政府が政府に言っています。


 実はその「言う相手」を政府から一般の消費者に移そうとした運動があり、それがいわゆる食育です。
 なんかすでに懐かしいとさえ思うくらい廃れた言葉ですが、私は食育とは国産の食糧消費を促して需要を喚起し、その分食料自給率を向上させようと言う動きだったと認識しています。そういう意味で極端に単純化すると「政府が、一般の人に」食料自給率を向上させよといった事になります。


 が、国家の課題である(と設定している)食料自給率の向上を、責任を持って取り組むべき主体は当然政府であって、それをよそに投げてはいけないでしょう。いや、投げてもいいですが責任はあくまで政府が持つべきです。一部、自給率向上の主体を農家にさせる向きもあるようですがもってのほかで、個々の農家に国民全体の食糧事情に対する責任などあるはずがありません。


 ただしここで当然出てくる疑問が、このエントリ前半では「意味がない」とさえいう食料自給率を、なんでまた政府は上げようなどと言っているのか、てなところですがそれはまあ一部産業界や学者から挙がっている「農産物を安くせよ」との指令を、婉曲的に表現するためでしょう。
 とかいうと一気に陰謀論くさくなるのですが、現在の農政は「農産物(基本的に米)を大量生産して安く供給せよ、んで自給率を上げよ」というものです。が、誰もが知るとおり米の自給率は100%近く、こんなもんいくら作っても自給率向上にはほとんど寄与しません。ただ単に過剰供給で価格が暴落するだけです。
 販売価格が生産価格を下回ったら支払うとする直接支払い制度も抜け道などいくらでもあり、と言うか根本的な欠陥もあり(「生産価格では米は生産できない」)、欺瞞です。普通の人はともかく、政府が「自給率向上を!」と言う時その真の目的は自給率ではないことは明白でしょう


 というわけでもやしもんとはほとんど関係ない話をしましたが、それにしてもホントに日本から農業が消えてもいいんですかねえ。いや、いいのかもしれませんがね。自給率問題は「今は」本質的に存在しませんが、真の自給率問題が巻き起こるのはそう遠い未来じゃないと思いますよ。

 おそろしく久しぶりですが、更新しました。


http://www.geocities.jp/vin_suzu/iryou10.htm


 書いてて思ったんですが、何だかだんだん内容が金太郎飴みたいになってきて、いっつも同じことばかりやってるよなあと感じました。

 研修医制度も変わるとか何とか言う話もあるようだし、せっかくだからいつかニセ医療の話もやってみましょうかねえ。ホメオパシーとか。