今度、農家の集まりでとあるイベントがあるんですが、そこでの企画の一つにTV番組の「太田総理」ふうの討論会があります。
 あるテーマを出し、それに賛成か反対かで分かれ、お互いの立場で討論すると言うものです。参加者は農家、消費者、学生など様々な立場から出場します。


 余談ですが私は「太田総理」と言う番組が嫌いです。あの番組で語られる「マニフェスト」はいっつも極端すぎ、あまりにも現実問題とか実現性を無視した馬鹿げた物が多いです(例えば「不祥事を起こした食品会社は即刻廃業させる」とか)。それが笑いになるならまだしも、参加者はそれなりに真面目に議論している(つもりになっている)。まだTVタックルのほうが内容的にも笑いでも上でしょう。


 話を戻しますけどわたしゃ別に企画者でも主催者ではないんでテーマを考えるのは特に仕事ではありませんが、しかしいざ考えてみるとこれにふさわしいテーマと言うのはかなり難しいです。自分が考えるに、条件として必要なのは


・農業技術にかかわることなど、普通の消費者が知らないことは×。
・上のと少しかぶるが、農家は「賛成」消費者は「反対」のように、立場ごとに賛成・反対が明らかに分かれると思われるようなテーマではいけない。
・様々な立場の人がそれぞれに興味を持てるテーマでないといけない。
・そもそも議論に値するテーマでなくてはならない。


 それら全てに当てはまっているかはわからないけど、私が考えてみたのは、


○ 農業体験を高校生必修にする。(小学生などにはやらせない)


 個人的に、小学生がやっているような「田植え体験」「稲刈り体験」などしょせんはアトラクションで、意味が無いと思います。子供は珍しい体験が出来て「おもしろかったです」と言うでしょうが、同じ子達が高校生になってから田植えをやれと言っても「汚いから嫌だ」と言うに決まっています。
 そもそも、苗をつまんでちっくりちっくり差したり、鎌で一株ずつ刈り取るような、そんな「農業」をやっている専業農家なんか今どきいません。


 なのでそれなりに知識も判断力もついた高校生に農業体験をやらせます。もちろんトラクターなど農業機械にも乗せる。動力散布機を担がせて農薬も使わせる。除草剤を嫌がる生徒は当然田の草取りです。米は最後にJAに持っていってお金にして、金額を労働時間で割って労賃を計算させる。鎌で稲刈りやって「農業」がわかるはずがありません。


 ・・・なんかこれはこれで極端なテーマでしょうけど。やっぱり難しいなぁ。

 (社)農協協会と言うところからアンケートが来ました。全国農協新聞を発行しているとこです。つまりJAマンセー新聞。
 アンケートですがまず驚いたのはその量。来たも来たり、A3の用紙で9ページ。見ただけでやる気なくなります。


 んでその内容なんですが、なんでお前にそんなことを聞かれなければならん?と言うのがものすごく多かったです。つまりうちの経営情報です。そんなもん秘密じゃわい。

農家こうめのワイン-アンケート1

 貴法人(経営)の出資者は誰だ? 誰でもいいじゃろ。


農家こうめのワイン-アンケート2

 過去4年間の利益率はいくらだった?大きなお世話。

農家こうめのワイン-アンケート3

 農産物の販売先を教えろ。金額も。割合は合計で100%になるように埋めよ(つまり、全て教えろ)。取引先情報なんか秘密です。


農家こうめのワイン-アンケート4

 農業資材の購入先は?その金額と、割合もやっぱり計100%になるように。


 私知らないんですけど、普通の中小企業にも、例えば日経新聞あたりから、こういう経営内容を細かに教えよなんていうアンケートは来るんですか?

 novtan別館さん のところで見た話、コメント欄から。きっとnov1975さんご自身はわかってる話。


美味しいものほど危ない

mujisoshina 2009/09/28 08:11
自然が安全というより、何百年もかけて安全性を確認してきた結果残った物なんでしょうね、現在食べられている物は。
脂肪の付かない油とか人工甘味料とか遺伝子組み換え生物とかはせいぜい10年かそこらで、まだ安全性を確認して危険な物をふるい落としている途中なのでしょう。


 安全性を確認してきた結果残った物、と言う話は全然違うと言うわけじゃないけども実はけっこう違います。いろんな要素があるんですが。


 その前に、後段の人工甘味料とか遺伝子組み換え生物とかですが、一般的には逆に捉えられる事が多いんですがむしろこっちのほうが安全性がちゃんと確認されています。それは一言で言うと、安全性を確認するためのメソッドが成立したあとに開発された物だからです。
 逆に言うと、昔から食べられてきたもののほとんどは今で言うところの「食品の安全性」なんか存在しない頃から食べられてきたわけです。つまり安全性の確認なんかすっ飛ばして「昔から食べられてきたものだから、それなりに安全だろう」と言う程度のことで今も食べられ続けているに過ぎません。


 代表的な例は酒やタバコで、何百年も前からたしなまれてきた割にはお世辞にも安全なものとは言えませんが、現代にも残っています。これらが今現在開発されたものだったとしたら、とうてい、販売許可は下りないだろうと言われています。
 タバコなんかは例外的なほどに危険なので、かなり調べられていますが、逆に普通の食べ物はそこまで目くじら立てるほど危険でもないので、ガッツリとは調べないわけです。調べるのもタダじゃない上に、「自然のもの」は決して人間の都合のいいようには出来ていません。調べやすいようには出来ていないわけです。野菜一つとっても、膨大な種類の化学物質がほんの微量ずつ含まれており、全てを調べつくすのは大変な難事業です。


 例えれば、自然の食べ物は大昔の名職人が作り上げたものをバラしてその構造や強度や何やらを調べなくてはならず、対して人工の物質は設計図・工程図つきで安全基準に沿って作られているわけです。もっと具体的に言うと大昔に作られた木造のお寺と、現代の建築物で、どっちが耐震構造に優れているかと言うようなもので、古いお寺は「今まで何回も地震や何やらに耐えてきたはずだから大丈夫」と言っているだけで、現代の建物のように耐震構造に関する科学的な根拠などがあるわけではないのです。
 もっとも古いお寺はそれでも人の手で作られていたわけで、職人の経験なり当時の知見なりで耐震にも配慮されてはいるでしょうが、現代の基準に合致しているかどうかは別の話です。で、「昔からの食べ物」は人の手が入ってない産物なのですから、もっと全然、配慮なんかされていないんです。


 だーからそのあたり、安全かどうか実体験で調べて、危険なものは淘汰されてきたわけでしょ、てな話なんでしょうけども歴史的な経過で排除できる「危険な食べ物」ってほとんど急性毒性が強い食べ物に限るのです。つまり毒キノコとか、食べてすぐ症状が出るものです。
 そういうのは現代の食品においてはもう問題外で、昨今問題になっている食品の安全性とはほぼ慢性毒性についての話です。長期間食べ続けて、健康に悪影響が無いかどうかと言う。代表的なのは発ガン性です。残留農薬基準も慢性毒性に対応した基準です。で、慢性毒性が強い食べ物に関して、歴史のなかではあまり排除できていません。


 なぜなら人類史で、ほんの100年ほど前まで人はもっと早死にだったのです。つまり慢性毒性なんか問題になっていなかったのですね。その前に死ぬから。
 人が長寿になってガン死が増えて、つい最近やっと慢性毒性が問題になりだし、慢性毒性に対する考え方や安全性についての対応が出来始めたのです。で、人工甘味料やら何ちゃらそういう時代になってから作られたものは最初からその安全性に配慮しながら作られるから、そっちのほうが安全だと言うわけです。


 ま、途中で『「昔からの食べ物」は人の手が入ってない産物』とか書いちゃってますが、実際にはもちろん、現代の栽培作物はほとんど品種改良してるわけです。本当に「昔からの食べ物」なんかもうほとんど食べられていない。当然今のもののほうが安全です。代表例はジャガイモやキャベツでしょう。昔のキャベツは食べ物ですらなかったので。で、それでも普通の食べ物はまだ解明され尽くしているわけではありません。もっともしようともしていないと思いますが。


 そういうわけで、危険なものは歴史で排除してきたはずだから今の食べ物は安全なはずだ、というのは感覚的にはよくある話ですが実際にはそんなことは無いのです。どの分野でも似た話はありますが、「安全」と言う概念そのものがけっこう新しいものかもしれない、と思うことは大事です。

 韓国での話ですよ。


輸入肉の19%から黄色ブドウ球菌検出
http://www.chosunonline.com/news/20090922000012


 輸入肉の5件に1件から食中毒を引き起こす「黄色ブドウ球菌」が検出されていたことが分かった。


 農林水産食品部が21日に国会保健福祉家族委員会の林斗成(イム・ドゥソン)議員(ハンナラ党)議員に提出した「2009年上半期輸入食肉微生物検査結果」によると、検査対象の牛肉・豚肉・鳥肉295件のうち57件(19.3%)から黄色ブドウ球菌が検出された。次ぎに多かったのは「カンピロバクター・ジェジュニ菌」の4.1%、そして、「リステリア菌」の1.28%だった。


 黄色ブドウ球菌は通常、80℃以上に加熱すれば破壊されるが、毒素が生成されると100℃以上で加熱しても死滅せず、食中毒を引き起こす。黄色ブドウ球菌による食中毒事件は、今年上半期だけで12件(患者570人)発生している。


 輸入先別では、メキシコ産牛肉からの検出割合が50%と最も高く、次いでニュージーランド産牛肉19%、オーストラリア産牛肉11.1%、米国産牛肉10.5%だった。豚肉についてみると、ハンガリー産は検査対象の2件とも黄色ブドウ球菌が検出され(100%)、オランダ産は75%、デンマーク産は50%から検出された。デンマーク産鶏肉からも検査対象4件の半数から黄色ブドウ球菌が検出された。


 韓国産食肉については、微生物検査が行われておらず、細菌検出の割合は不明だ。輸入食肉も細菌が検出されたからと言って、何らかの措置が取られるわけではない。食品医薬品安全庁関係者は「一般的に言って、食肉から細菌が検出されたといっても、よく火を通して食べれば菌は死滅するので、食肉に対する規定は特に設けない」と説明している。



 もちろん当ブログ的には、「検出された」と言う言葉の裏に「いかほど?」と疑問をさしはさむのはもはやテンプレなのですが、けど残留農薬じゃないしなあ。毒素は時間とともに増えるだろし。

 「いかほどであっても廃棄しる!!」な日本と違い「何らかの措置が取られるわけではない。」な韓国食品医薬品安全庁男前過ぎ。しかし、焼いて菌だけ死んでも意味無いと誰でも思うでしょうが・・・。


 よく考えるとすごいのが、「食肉に対する規定は特に設けない」てことは、今はまだ無いわけですね。微生物検査もしてないわけだし、食中毒の原因菌がいくらいてもどうでもいいのか。食品医薬品安全庁仕事しろよ。


 まっこの輸入肉だってどうせ、韓国国内での保管の拙さでこうなったんでしょうけど。

 私は米の生産原価を1俵あたりだいたい17000円くらいと考えています。これは農家がJAなどに米を預ける、つまり自分で販売しない専業農家でもそれなりに生活していけるには、と言うことでこれくらいかなあと踏んでいます。
 もっとも現在、米の引渡し価格はこんなに高くありません。農業は家族経営だから非効率的でよくないから法人化しなければいけない、企業が参入しなければいけないなどと言われますが、米農家がコメを安く作れる理由は家族経営だからです。家族ほど安い賃金で動かせる従業員は他にいません。法人化して人をちゃんと雇用しようとすると賃金はもちろんのこと保険なり年金なりの補償も増えて人件費は上昇するでしょう。関係ないけど家族経営の農家はほとんど、農業機械の償却資産税は見逃してもらってますが法人化するとどえらい金額取られます・・・って言っていいのか知らんけど(笑


 ところで農水省は米の作付け規模別生産費と言う資料を出していますが、
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL71050103.do;jsessionid=5lp9KmkB53zdN7l1v1BlvmhQgfJFFyhpCbh4xpP2KwLMpcs3bNyJ!1626512435!1827439296?_xlsDownload_&fileId=000001244599&releaseCount=2
 ここでは小規模農家と大規模農家の米生産費に明らかな差があることが分かりますが、これを根拠にして「大規模農家は1万円程度で米を作れる」と言ってもらっては困ります。これは本当に米の「生産費」だけだからです。


 何故かは、簡単な計算から明らかなのですが、表による最大規模の「15ha以上」の項を見ると労働費(人件費)は米60kgあたり2673円となっています。
 15haでどれだけの米が取れるかですが、仮に10aあたり8俵として、15haでは8×150で1200俵です。で、それに2673円を掛けると320万7600円となります。15ha作るには3人は欲しいですから3で割ると、一人頭100万ちょいです。今どき、年収100万円なんてワープアのレベルでもありません。


 仮に一人の年収を300万円にしようとすると単純に人件費は3倍必要になります。表での15haの場合の米生産費は10964円となっていますので、これにさらに2倍の人件費(2673×2)を加えると16310円になります。だいたい17000円、と言う数字はそれほど捨てたもんじゃないとなります。


 もちろん、ここで疑問となるのは2673円の根拠です。そんだけヒマなんじゃないのか、しょせんその程度の労働負荷なんじゃないのかとか言われそうですが実感としてそうでもないです。挙げるべき・挙げられるソースが無いのが残念ですが、けっこう忙しいです。
 まあ米だけだと、冬はヒマで、仕事はありません。だいたい12月~2月まですることはありません。しかし逆にシーズン中は基本的に休み無しです。そもそも普通のサラリーマンだってなんだかんだで年間3~4分の1くらいは休みでしょう。そりゃ紙の上ならな、と言う会社のほうが多いでしょうがそれでも年収100万なんて無茶なことはしてますまい。


 ならば農家は別のもので儲ければいいだろう、と言う意見もありそうです。例えばほかの野菜を作ったり、米の加工品を作ったりです。実は言われるまでも無く、米をメインでやっている農業法人はそのほとんどで加工品も扱っています。米の利幅があまりにも小さいからです。
 ただ、なぜ米だけで採算を取れる金額にしてはいけないのか、と言う点が疑問です。米で儲けてもいいじゃないか。
 それと、そういう考えを突き詰めればそもそも、最初っから赤字な米など作るのが間違いだとなります。ほかのものが儲かるなら米をせずにほかのものだけやったほうが儲かります。もっとも、そんなに簡単に儲かる農産物など存在しませんが。
 昔は冬の暇な時期に都会へ出て出稼ぎ、なんてのもよくある話でしたが今のご時世、冬の数ヶ月間だけ雇ってくれる仕事先ってのもそうありませんからね。ま、私は毎年それなりにバイトしてますが。それに、その数ヶ月ではどれだけ頑張っても稼ぎは50万くらいでしょう。そんなにも無いかな。


 要するに米を1万円以下で作れと言っている評論家は、米農家は儲けるな、食い扶持なんか無視して働け、と言っているわけですが何で儲けちゃいけないの?お前らなんか愚にもつかん戯言を述べるだけでカネ貰ってんだろ、と言うあたりが正直なとこです。計算上は1俵17000円にしても年収300万なんですよ。つつましいもんじゃないですか?


 例えば、エルメスのバッグの生産原価を上げれば、それは販売価格とあまりにも違う金額が出てくるでしょう。材料費も手間も、通常の普及品のバッグよりは高いでしょうが、販売価格ほどの差ではないはずです。ならばエルメスはどえらく儲けているのか、またはもっともっと値下げの余地があるのか、と言えばそんなことも無いでしょう。当然、生産価格と販売価格の間には販売管理費やら営業やら宣伝広告やらがあるでしょうがそれだけで埋まるわけでもなく、製造部門のみを切り離したとして底単独で採算を取るには生産価格に上乗せした引渡し価格が必要なはずです。


 エルメスの例は極端ですが、生産価格さえあれば生産できるってのが間違いなのは、本来誰でもわかるはずです。なのに「生産価格は補償するから農家の皆さんも安心ダヨ☆」と言うのが民主党です。


 なんとなくだけど、医療分野の診療報酬なんかでもこんな感じの理屈で値下げされてそうだなぁ。