今年のクリスマスのグリーティングカード | スペイン王室

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スペイン王室の現役メンバーから、遡ってその先祖の方々まで、おもしろそうな逸話をピックアップしてお届けします!

今年フェリペ国王とレティシア王妃ご夫妻がお送りになったクリスマスの
グリーティングカード及びそれに同封されていたフアン・カルロス国王と
ソフィア王妃のサイン入りカードが公になり、多少騒動となっています。

下のレオノール皇太女とソフィア王女お二人が寄り添う写真が国王ご
夫妻のカードの表紙となっており、その下の写真がカードの中の
メッセージです。






カードには、

Feliza Navidad y Próspero Año Nuevo 2016
Merry Christmas and Happpy New Year 2016
(メリークリスマス そして 明けましておめでとう 2016年)
 
と印刷で、

“Cada día hay un motivo para la esperanza y la armonía
en nuestros corazones Que los ideales de la Navidad
iluminen siempre ese camino”
.
 (どんな日にも、心の中を捜し求めれば、希望なり協調なりを見つけ
るきっかけが見つかる。クリスマスの理想の日々が常にその道を照らし
続けるよう、願っています。)

と手書きで書かれています。そして、その下には国王ご一家4人の
ご署名が。これが面白いのですが、左上の国王のご署名(Felipe R)
と右上の王妃のご署名(Letizia R)には、国王(Rey)、王妃(Reina)
の署名である証として、署名の右に(R)と書くことになっています。
これは、イギリスのエリザベス女王も同様のことをされています。
(ラテン語から。)そして、左下のレオノール皇太女も、皇太女である
ことを表して、ご自分のサインの下に、(Princesa de Asturias)と
書かれています。そこまでは、良いのですが、問題はソフィア王女。
普通その他大勢の王子王女は、ご署名をなさる際、ご自分の称号
など書かれません。しかし、4人の中で自分だけ何もないのが、お嫌
だったんでしょうね。ご自分のご署名の下に、(Infanta de España
と書かれています。可愛らしいですね。ついでに、ソフィア王女のよう
に、自分の名前を書いた後、ぐるっとそれを丸で囲む署名は、スペイン
人の女の子の間で昔から人気の初歩のサインの書き方です。

そして同封されている下のカードは、マドリードにある王室修道院、
エンカルナシオンに飾られている、キリスト生誕シーンの油絵が印刷
されたとても宗教色の強いカードです。


中には、

お2人からのメッセージは特になく、フアン・カルロス国王の
サイン(左)とソフィア王妃のサイン(右)が印刷されています。
ご在位中は、このお2人のサインの右に(R)と書かれていた
ので、R無しのこのサインを見ると、何か物足りなく、寂しい気が
します。


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さて、ここまで書いてき、じゃあ、一体フェリペ国王、レティシア王妃
ご夫妻のクリスマスカードの何が、一部のメディア、国民に叩かれて
いるのか考えて見ましょう。


日本では、もうクリスマスと言うと、本当商業的な感じがしますが、
ここヨーロッパ、特にカトリックの色の強いスペインでは、宗教色が
まだ根強く残っています。そして、以前のブログでも述べましたが、
スペインでは、もうカトリックは国教ではなくなりましたが、国王は、
代々カトリックの保護者のような役割を務めてきました。実際、
フェリペ国王とレティシア妃は、バチカンの許しを得て、カトリック
式に結婚されていますし、即位してすぐに、バチカンに法王を訪ね
られたりしています。

ですが、このカード、今まで以上に宗教色ゼロなんですね。クリスマス
って、家族皆で過ごすものなんですが、そう言う写真でもないし、
手書きの言葉の中にもね、何も。これが、国王のバースデーカード
とかなら、誰も文句言わないんでしょうが、でもこれ、クリスマスカード、
つまりキリストのバースデーカードなんです。よって、


“どんどん、レティシア妃(元々無宗教)色に染まっている!”


と文句を言う保守的なカトリックが少なくないらしい。


難しいいですね。だったら、国王と王妃のカードを別々にしてしまえ
ば良いのに。でも、今回はその解決策が、超オーソドックスなフアン・
カルロス国王とソフィア王妃のカードの同封だったんでしょうか?


正直、北欧の王室を見てさえ、宗教行事をおろそかにしているところ
はない様に思えるので、王妃が無宗教が良いなら、最初から、
全ての宗教行事に関わらないと、はっきりしちゃえば良いのでは
ないでしょうか。嫌々、仕方なくイースターだのクリスマスのミサだの、
娘の初聖体の儀だの出席されているから。中途半端は良くないですよ。
そうすれば、スペイン国民の中の無宗教派や他宗教の支持も得られるん
じゃないでしょうかね。どうだろう??やっぱり無理かしらん???