我家の書棚から・戦時日本船名録 | 艦艇・船舶つれづれ

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旧帝国海軍および海上自衛隊の艦艇、海上保安庁の船艇、主に戦前の民間船舶を中心としたブログです。
「海軍艦艇つれづれ」からタイトルを変更しました。

今日も良い天気。でも、暑すぎる!

とはいえ、先日からプリンタ(複合機)の調子が悪い。

電源を入れると6色独立インクのうち2~3色が認識せず、毎回セットし直すことに。

面倒くさいので、買い替えるため近くのJoshinへ。

 

本体はそれほど高くない…ですが最新のインクが高い!

このため、店舗購入は諦め帰宅後にネットで型落ち品をポチリ。

今使っているプリンタのインクが使えるので、ストック品も活用できます!

 

暑いので、サノヤスに巡視船「きい(PL-73)」を見に行くのを諦め、代わりに市内の図書館に行ってきましたが、片道10分ほど歩くと汗だくです。

 

あまりに急激な気温上昇に、昨夜も度々暑さで目が覚めたことから、寝不足で何もやる気が出ません。

 

仕方がないので、今回は我家の書棚から。

今回取り上げるのは、戦前船舶研究会が自費出版した書籍で「戦時日本船名録(1937~1950)」11巻セットです。

 

「戦時日本船名録(1937~1950)」11巻+追録及び正誤表

 

この書籍は、林寛司氏が編集に当たったもので、第1巻の巻頭に研究会代表の遠藤昭氏の巻頭分が記載されています。

「戦時日本船名録とは

 日本船名録と言うのは、政府またはその代行者である帝国海事協会などが毎年発行した総トン数20トン以上の船の台帳です。世界の主要な海運国では必ず毎年発行しており、日本政府も明治14年以来毎年発行してきましたが、太平洋戦争のため昭和18年版(昭和17年末現在の船を収録)を最後に発行が途絶えました。そして戦後になり昭和22年版と昭和26年版が発行されましたが、毎年発行されるようになったのは昭和28年度版からで、世界の一流海運国で戦時中の船舶台帳がないのは日本だけとなりました。

 この空白を埋めるため我々戦前船舶研究会は、昭和12年から昭和25年までの戦時日本船名録を作成し出版に踏み切りました。この船名録には内地籍船の外に朝鮮、台湾、関東州籍船も含み、さらに陸軍所有船や戦利船も加え、満州国籍船や徴傭した中国籍船も追加して収録した船舶は46,819隻となりました。さらに戦後60年間にわたり収集を重ねてきた国内に存在するすべての資料を用い、通常船名録には記載されないような項目、例えば船種、速力、造船所名などに加え、陸海軍による徴傭期間や用途、沈没日付・原因・場所、戦没者数など約7千件を追記しこの船名録を完成させました。

 開戦時約600万総トンと戦時建造船336万総トンの大半である883万総トンが撃沈され、戦後の稼働船舶50万総トンにまで衰退した日本の海運勢力が、戦後は大量の漁船建造に始まり外航高速貨物船も100隻近く建造され、海運国日本が復活する過程までの14年間に存在した船がこの戦時船名録に登録されています。

 収集した資料を様々な角度から調査・研究した結論として、この船名録に記載できなかった船舶は、70トン型戦時標準木造船のうち建造中に終戦となり建造が打ち切られ解体されたか放棄された船で、これらの合計は400~500隻と推定されます。したがってこの戦時船名録には、昭和12年1月1日から昭和25年12月31日までに存在した全登簿船舶の99%を収録できたものと確信しています。

 また凡例に掲げた引用資料を仔細にご検討してくださるなら、本書が戦時日本船名録の決定版であることをご理解いただけるでしょう。戦史や海運史の研究者のみならず、戦時経済史、財政史、戦後史などの研究者にも、座右の書としてご利用いただける内容と自負しております。」

 

「戦時日本船名録(1937~1950)」第1巻の巻頭文

 

2006年11月に発行された各巻が約360ページという膨大な資料で、戦前船舶研究会における最大の成果であると思います。

 

「戦時日本船名録(1937~1950)」の記載内容

 

当時の販売価格は11巻セットで6万円!ですが、内容から見て安価だと思います。

部数が稼げる内容ではないので取り扱うことはないと思いますが、大手出版社から出版された場合にはもっと高い定価が設定されたと思います。

 

遠藤昭氏亡き後、戦前船舶研究会は活動を休止しているようですが、他に以前に取り上げた事がある「戦前船舶 第104号 日本海軍特設艦船正史」(特設艦船に関する資料について)など、ニッチではあるものの貴重な資料を数多く発行されています。

 

「戦前船舶 第104号 日本海軍特設艦船正史」

 

たまにオークションサイトなどに「戦前船舶」各号や、編集の基となった資料などが出品されていることがありますが、元々自費出版であるため発行部数は限られており、かなりのレア物となっています。

 

ただ、東京の国会図書館には全巻が、京都の関西館には「戦前船舶」の1巻からの各巻と、100番台の各巻が所蔵されています。

 

この「戦時日本船名録(1937~1950)」ですが、当然古書で購入しました。

それでもそれなりの価格だったので、清水の舞台から飛び降りての購入でした。

あ、それでも定価の半値以下ですよ。

 

この資料ですが、今後どのように利用していこうか思案中です。

内容はデータベースなので、裁断したうえで電子化した方が使いやすいのは分かっているのですが、その作業量を考えると躊躇しますね。

 

ということで、貴重な資料であるものの、その分野に関心のない方には全く意味の分からない書籍について、紹介してみました。

 

明日も大阪の最高気温は35℃とのこと。

出勤するのが憂鬱な一日になりそうです(笑)。

 

「戦時日本船名録(1937~1950)」第1巻の表紙