今回は、昨年末あたりに話題になった「トランプ」級戦艦の話を。
先週、近所の書店で購入した「JShips・2026年4月号」の表紙に「トランプ」級戦艦の図が乗っていました。
「JShips 2026年4月号」2026年4月、イカロス出版
この雑誌、3月11日に刊行され、気になっていたんですが1,760円という価格に躊躇していましたが、ようやく踏ん切りがついて購入したものです。
この米国海軍がこれから建造するという「トランプ」級戦艦、ニュースになった当時から気になっていたんですよね。
Wikipediaによると、
『「トランプ級戦艦(Trump-class battleship)」は、米国海軍が計画している戦艦の艦級の通称。2025年12月に2隻の建造が承認されたと発表された』
とされており、1番艦は「デファイアント(Defiant、BBG-1)」であるとされています。
【要目】
基準排水量:35,000トン以上、全長:256~268m、
最大幅:32~35m、吃水:7.3~9.1m
機関:ガスタービン機関+ディーゼル機関
速力:30ノット以上、乗員:650名~850名
兵装:SLCM-N(通常弾頭即時攻撃用極超音速ミサイル)発射筒×12セル、
Mk.41 VLS×128セル、32MJ級レールガン×1、5インチ単装砲×2、
30mm単装機銃×4、300kWまたは600kWレーザー兵器×2、
AN/SEQ-4ODINレーザー兵器×4、RAM近SAM発射機×2、
AN/SPY-6多機能レーダー×4、
電子戦システム・SQL-32(V)7 SEWIP Block4、
対無人機・無人水雷艇カウンターUxVシステム×2
「トランプ」級戦艦のイメージ図(引用:WikipediaI)
(United States Navy - https://news.usni.org/2025/12/22/
trump-unveils-new-battleship-class-proposed-uss-defiant-
will-be-largest-u-s-surface-combatant-since-wwii,
パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=180532800による)
艦の後部には飛行甲板と格納庫を持ち、「V-22」オスプレイとヘリコプターの運用ができるようになっていますので、「航空戦艦」とも言えそうですね。
「トランプ」級戦艦には、最新兵器がてんこ盛りで搭載される予定ですので、その一部を取り上げてみます。
「トランプ」級戦艦の兵装配置図(引用:Wikipedia)
(U.S. Navy - https://www.goldenfleet.navy.mil/, パブリック・ドメイン,
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=180534245による)
「レールガン」は、物体を電磁気力(ローレンツ力)により加速して撃ち出す装置で、兵器としては火薬ではなく電磁気力で砲弾を発射するものです。
従来の艦砲が秒速800m前後なのに対し、レールガンは大体秒速2,000m以上という速度を実現しており、防衛装備庁が令和7年9月に海上自衛隊の試験艦「あすか(ASE-6102)」に試作機を搭載し標的船への射撃や長射程射撃などを実施し成功しています。
海上自衛隊・試験艦「あすか(ASE-6102)」に搭載され
発射試験に成功したレールガン(引用:Wikipedia)
(海上自衛隊, CC 表示 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=163802552による)
300kWまたは600kWの出力を持つ「レーザー兵器」は、高出力レーザーを利用した指向性エネルギー兵器の一種で、すでにミサイルの迎撃などへの運用が始まっています。
米国海軍の艦載型レーザー兵器・AN/SEQ-3レーザー兵器システム
(引用:Wikipedia・英語版)
(U.S. Navy photo by John F. Williams - この画像データはアメリカ合衆国海軍が
ID 141115-N-PO203-057 で公開しているものです。
The U.S. Navy Afloat Forward Staging Base (Interim) USS Ponce (AFSB(I)-15)
conducts an operational demonstration of the Office of Naval Research (ONR)-
sponsored Laser Weapon System (LaWS) while deployed to the Arabian Gulf.)
「電子戦システム」とは、敵が利用する電磁スペクトルについての情報を収集し、妨害するための機器で、敵からの攻撃を探知したり、妨害電波を発信することで誘導ミサイルの軌道を変更し自軍を防御するために使用されるものです。
電子戦システムAN/SLQ-32(V)7 エンジニアリング開発モデル
(引用:Wikipedia・英語版)
(By CAPT Jason Hall, Major Program Manager, PEO Integrated Warfare Systems,
Above Water Sensors and Lasers (PEO IWS 2.0)CAPT Jesse Mink, EW and EO/IR,
PAPMPEO Integrated Warfare Systems, Above Water Sensors and Lasers (PEO IWS 2.0) -
SEWIP / AN/SLQ-32(V) Electronic Warfare System Overview & Program Status, Public Domain,
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=127862196)
「対無人機・無人水雷艇カウンターUxVシステム」は、航空ドローンなどの無人航空機(UAV)、水上ドローンなどの無人水上艇(USV)などに対する兵器で、電子戦システムのドローンへの特化したものとなりそうです。
今回は、「デファイアント」「大和」「アイオワ」」の3隻の比較図を、生成AI「Gemini」さんに作ってもらいました。
戦艦「ディファイアント」「大和」「アイオワ」の側面図比較
戦艦「ディファイアント」「大和」「アイオワ」の平面図比較
トランプ級戦艦は、艦尾に飛行甲板があり、主砲塔の代わりにVLS(垂直発射システム)が甲板上に並んでいるとことは、いかにも現代の軍艦といった風情があります。
「戦艦」というよりも、イージス駆逐艦をそのまま巨大化したような印象を受けます。
米国海軍「アーレイバーク」級イージス駆逐艦
(引用:Wikipedia・英語版)
(United States Navy - Official Website of the United States Navy, パブリック・ドメイン,
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=68011758による)
このトランプ級戦艦「デファイアント(BBG-1)」、帝国海軍の戦艦「大和」、米国海軍の戦艦「アイオワ(BB-61)」の寸法を比較してみます。
全長 最大幅 喫水 基準排水量
「デファイアント」 256~268 m 32 m 7.3m 35,000トン以上
「大和」 263.0m 38.9m 10.4m 64,000トン
「アイオワ」 270.4m 33.0m 10.7m 48,425トン
寸法的には、「大和」の最大幅が突出しているのと、「デファイアント」の喫水が浅いこと、また「デファイアント」の基準排水量の小さいことが目につきます。
戦艦「大和」の場合、主砲塔重量が1基あたり旋回部で2,510トンのため、3砲塔で7,530トン、装甲重量は22,895トンのため、これらを除くと33,575トンとなります。
また、戦艦「アイオワ」の場合、主砲塔重量が1基あたり旋回部で1,728トンのため、3砲塔で5,184トン、装甲重量は19,621トンのため、23,440トンとなります。
これを見ると、「デファイアント」は現代の軍艦と同様に装甲がない分排水量が小さくなりますが、「アイオワ」の主砲塔と装甲を外した状態と比較すると、1万トン以上の積載物があるようなので、電子戦装置やレールガン、ミサイルなどの兵装がそれなりの重量を持っていると思われます。
戦艦「大和」の装甲と主砲塔を外し、副砲や高角砲などの大型兵装を残した状態とほぼ同じ排水量となるので、兵装的には大東亜戦争期の巡洋艦程度の兵器重量といったところでしょうか。
ところで、生成AI・Geminiさんは万能ではないので、この画像(比較図)の作成中には、「ディファイアント」に40cm砲塔を設置したり、戦艦「大和」の艦中央部に主砲塔を増設したり、結構面白い画像を作成してくれました。
【Geminiが作成した画像集】
「日本海軍戦艦 大和型をベースとしたトランプ級の概念図」
「16インチ連想主砲塔を前甲板に装備した「ディファイアント」
煙突上に艦橋上部のような構造物を載せた戦艦「大和」
前甲板に2基の単装砲塔があり、VLSが見られない「ディファイアント」
先ほどの3隻の比較画像もうまく合成しきれず、「ディファイアント」の平面図は、別に作成した画像から「ペイント」で切り貼りしましたし、引き出し線の兵装の説明もめちゃくちゃでしたので、すべて「ペイント」で塗りつぶしました。
それでも、比較図はまずまずの仕上がりだと思います。
2025年12月22日、ドナルド・トランプ米大統領は「トランプ」級戦艦を発表し、当初10隻建造予定のうち2隻を建造し、最終的には「ゴールデン・フリート」の一部として「20隻から25隻」建造する計画を示しています。
戦闘中の「トランプ」級戦艦のイメージ図(引用:Wikipedia)
(By U.S. Navy - https://www.goldenfleet.navy.mil/, Public Domain,
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=180534239)
しかし、米国内の造船産業の衰退は原子力潜水艦の保全工事の大幅な遅延の発生などの大きな問題となっていますし、目玉兵器であるレールガンの開発遅延、さらには1番艦の建造費は最大220億ドル(約3兆千億円)に達し、以降の同型艦の建造費は平均100億~150億ドルになると予想されている膨大な建造費などをクリアすることは、現段階では困難であると思われます。
また、これらの艦は韓国の複合企業ハンファ・グループが所有するハンファ・フィリー造船所で国内で建造されるとされていることから、建造する艦の品質も問題になりかねないですね。
この先どのようになるのか、トランプ大統領のホラ話の範疇として聞いておいた方がよいのではないかと思います。
政権が変わった後に建造が継続されるとは思えませんし。
今回は、昨年末に話題となった「トランプ」級戦艦について取り上げてみました。
戦闘中の「トランプ」級戦艦のイメージ図(引用:Wikipedia)
(U.S. Navy - https://www.goldenfleet.navy.mil/, パブリック・ドメイン,
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=180534240による)
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
【参考文献】
Wikipedia(英語版含む)および















