2日前、ネットで「ウクライナ “クリミア沖合でロシアの大型揚陸艦を撃沈”」とのニュースを見ました。
今回撃沈された揚陸艦は、「ロプーチャ」揚陸艦の「ツェーザリ・クニコフ」とのこと。
露海軍・揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」へ接近する無人ドローン
この「ツェーザリ・クニコフ」なる艦、ポーランドのグダニスク造船所で建造され、1986年に進水、1986年9月に就役しています。
【要目】
基準排水量:2,200トン、満載排水量:4,080トン
全長:112.5m、最大幅:15.01m、吃水:3.7m
主機:ディーゼル機関×2、推進軸:2軸
出力:19,200馬力、速力:17.59ノット、乗員数:98名
兵装:AK-725・57mm連装砲×2、8連装2SAM発射器×4、
22連装A-215 Grad-Mロケット発射器×2
※引用:Wikipedia(ロシア語版)
露国海軍・揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ(158)」(引用:Wikipedia・ロシア語版)
(By Luis Díaz-Bedia Astor, Red Sea, 18th June 2003 from Los Barcos de Eugenio - Eugenio´s Warships - Eugenio´s Warships - 158, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4506105)
そして2024年2月14日、ウクライナ軍はクリミア半島のアルプカ沖で「ツェーザリ・クニコフ」に対し無人水上ドローン(USV)「MAGURA V5」3隻による攻撃を実施し、「ツェーザリ・クニコフ」は左舷に大きな損傷を受け沈没します。
無人水上ドローン(USV)「MAGURA V5」
(引用:HP「RBC-UKRAINE」)
ウクライナ軍参謀本部によると、ロシアの救助活動は成功せず、乗組員のほとんどが犠牲になったようだ、と述べています。
「ツェーザリ・クニコフ」以外にも、同型艦の「オレネゴールスキイ・ゴルニャーク(012)」は2023年8月4日に水上ドローン攻撃により損傷、「ミンスク(127)」はセヴァストポリにおいてウクライナの攻撃により大破、「ノボチェルカスク(142)」は2023年12月16日にフェオドシヤに停泊中にウクライナの攻撃により損傷するなど、ウクライナ軍の攻撃も活発になっています。
損傷し左舷側に傾いた「オレネゴールスキイ・ゴルニャーク(012)」
(引用:HP「ウクライナ・プラウダ」)
揚陸艦では、このブログでも取り上げた揚陸艦「サラトフ(BDK-65)」が(ウクライナ軍の攻撃により撃沈・損傷を受けたロシア軍揚陸艦)2022年3月24日に撃沈されています。
そのほかにも、戦闘艦艇では巡洋艦「モスクワ」が2022年4月14日に撃沈(沈没した露巡洋艦「モスクワ」と ウクライナにある同型艦)され、「キロ(877)」型潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌー(B-237)」がセバストポリのドック内で大破するなど、ロシア艦艇への被害も広がっています。
セバストポリのドック内で大破した揚陸艦「ミンスク(127)」(左)と
潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌー(B-237)」
(引用:X(旧Twitter)「英国国防省」)
この戦争、終わる気配が見えません。
ロシアとしては、黒海の国防の要であるクリミア半島・セバストポリ軍港まで自国の領土で地続きになるよう、ハルキウ・ドネツク・ザポリージャの3州を占領するまでは少なくとも停戦には応じないと思われます。
対するウクライナは、後ろ盾となっているNATOを構成する欧州・米国に支援疲れが見られつつあることから、今後は予断を許さない状況が続くと思われます。
世界は新たな力の均衡を模索しているようにも見られ、世界大戦前夜の雰囲気も感じられます。
世界の海軍が「抑止力」としてのみ機能し、均衡した平和が訪れることを願いたいですね。
【参考文献】
Wikipedia(英語版・ロシア語版含む)
【Web】
HP「RBC-UKRAINE」
HP「ウクライナ・プラウダ」
X(旧Twitter)「英国国防省」