横須賀軍港めぐりで出逢った掃海艦艇 | 艦艇・船舶つれづれ

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旧帝国海軍および海上自衛隊の艦艇、海上保安庁の船艇、主に戦前の民間船舶を中心としたブログです。
「海軍艦艇つれづれ」からタイトルを変更しました。

横須賀の軍港めぐりを続けます。

船越地区では、前回取り上げた海洋観測艦「にちなん(AGS-5105)」の周辺に、掃海艦艇が多数係留されていました。

 

掃海母艦「ぶんご(MST-464)」が目に入りました。「うらが(MST-463)」型掃海母艦の2番艦です。

掃海母艦「ぶんご」は、平成7年度計画で建造が計画され、三井造船玉野事業所で平成8年7月に起工、平成9年4月に進水、平成10年3月に就役し、呉に配属されています。

【要目】

 基準排水量:5,700トン、満載排水量:6,900トン、

 全長:141.0m、最大幅:22.0m、吃水:5.4m
 機関:ディーゼル機関×2、推進軸:2軸

 出力:19,500馬力、速力:22.0ノット、乗員:170名

 兵装:76mm単装砲×1、機雷敷設軌条×12
 ※引用:世界の艦船別冊「海上自衛隊全艦艇史」別冊第146集、No.869、2017年11月、海人社、P.196

 

掃海母艦「ぶんご(MST-464)」

 

Wikipediaによると、「掃海母艦は、海域の安全を図るため、同じ任務の航空機や掃海艇の移動基地として、燃料や物資の補給などを行うと共に、それらの司令塔としての機能も果たす艦船」とされています。

また、「うらが」型掃海母艦は、掃海とは逆の機雷敷設艦機能を併せ持っており、機雷戦母艦としての性格もあります。

 

平成11年8月に発生したトルコ北西部地震の被害への援助として仮設住宅を輸送するため、トルコに派遣されたり、平成23年3月に発生した東日本大震災では、物資の輸送や被災者の入浴支援、行方不明者の捜索と遺体回収作業に携わるなど、国内外の災害派遣でも活躍しています。

 

続いて、掃海艇「はつしま(MSC-606)」が見えてきました。

掃海艇「はつしま」は、「えのしま(MSC-604)」型の3番艇で、平成24年4月にJMU横浜事業所鶴見工場で起工され、平成25年12月に進水、平成27年3月に就役し、横須賀を母港としています。

【要目】

 基準排水量:570トン、満載排水量:660トン、

 全長:60.0m、最大幅:10.1m、吃水:2.5m
 機関:ディーゼル機関×2、推進軸:2軸

 出力:2,200馬力、速力:14.0ノット、乗員:45名

 兵装:20mm多銃身機銃×1、掃海・掃討具一式
 ※引用:世界の艦船別冊「海上自衛隊全艦艇史」別冊第146集、No.869、2017年11月、海人社、P.234

 

掃海艇「はつしま(MSC-606)」

 

掃海艇は、磁器機雷対策のため木造の船体で建造されていましたが、、木材の高騰と木船建造技術者の減少のため、「えのしま」型では船体に繊維強化プラスチック(GFRP)を用いて建造され、海上自衛隊の掃海艇では初のFRP船となりました。

 

「にちなん」の奥には2隻の掃海艇がメザシ係留されています。

手前は掃海艇「あおしま(MSC-689)」、奥は「はつしま」と同型の「ちちじま(MSC-605)」でした。

 

掃海艇「あおしま(MSC-689)」(左)と「ちちじま(MSC-605)」(右)

 

「あおしま(MSC-689)」は、「すがしま(MSC-681)」型の9番艇で、ユニバーサル造船京浜事業所神奈川工場で平成14年4月に起工され、平成15年9月に進水、平成17年2月に就役し、佐世保に配属され、平成30年からは函館に転属しています。

【要目】

 基準排水量:510トン、満載排水量:590トン、

 全長:54.0m、最大幅:9.4m、吃水:3.0m
 機関:ディーゼル機関×2、推進軸:2軸

 出力:1,800馬力、速力:14.0ノット、乗員:45名

 兵装:20mm多銃身機銃×1、掃海・掃討具一式
 ※引用:世界の艦船別冊「海上自衛隊全艦艇史」別冊第146集、No.869、2017年11月、海人社、P.194

 

掃海艇「あおしま(MSC-689)」(引用:Wikipedia)

(海上自衛隊, CC 表示 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=115167021による)

 

「あおしま」は木造船体を持つ中型掃海艇で、情報処理装置を中核としたシステム構築がなされた海上自衛隊初の掃海艇です。

 

「あおしま」の属する「すがしま」型は、「えのしま」型から見て2代前の掃海艇で、2番艇「のとじま(MSC-682)」は、令和元年6月に発生した衝突事故で大破し令和2年6月に除籍されています。

 

さらに進むと、奥に掃海艦「あわじ(MSO-304)」が見えました。

「あわじ」は、「あわじ」型掃海艦のネームシップで、JMU横浜造船所鶴見工場で平成26年2月に起工され、平成27年10月に進水、平成29年3月に就役し横須賀に配属されています。

【要目】

 基準排水量:690トン、満載排水量:780トン、

 全長:67.0m、最大幅:11.0m、吃水:2.7m
 機関:ディーゼル機関×2、推進軸:2軸

 出力:2,200馬力、速力:14.0ノット、乗員:60名

 兵装:20mm多銃身機銃×1、掃海・掃討具一式
 ※引用:世界の艦船別冊「海上自衛隊全艦艇史」別冊第146集、No.869、2017年11月、海人社、P.232

 

掃海艦「あわじ(MSO-304)」(左)と輸送艇2号(右)

 

「掃海艇」と「掃海艦」の違いについては、調べてみましたが明確には分かりませんでした。多分大きさの違いだと思います。

掃海艦「あわじ」は、「えのしま」型と同じく船体に繊維強化プラスチック(GFRP)を使用し、海上自衛隊における掃海艦の減勢と新型機雷に対応する新型の掃海艦です。

船体はGFRP製で、木造艦であれば基準排水量が1,000トン級となる所を、3割程度削減することに成功しています。また、世界でも最大級のFRP船体を持つ艦となっています。

 

掃海艦「あわじ(MSO-304)」(引用:Wikipedia)

(Yokohama1998 - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=59351454による)

 

海上自衛隊の掃海艦艇について、木造艇からFRP艦艇までバラエティーに富んだラインナップを一通り見ることができました。

地味な艦艇ですが、機雷除去や災害救援のため海外派遣されるなど、世界規模で活躍しています。

次回は「あわじ」の写真の奥に映っている白い船を取り上げてみたいと思います。

 

【参考文献】