今日の舞鶴・北吸桟橋から見えた「艦番号」の無い艦は? | 艦艇・船舶つれづれ

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旧帝国海軍および海上自衛隊の艦艇、海上保安庁の船艇、主に戦前の民間船舶を中心としたブログです。
「海軍艦艇つれづれ」からタイトルを変更しました。

台風19号の被害に遭われた方に、心よりお見舞い申し上げます。

ところで、幸いなことに関西では大きな被害もなく、家族もそれぞれ忙しいようで、仕方がないので一人で舞鶴へ。

観艦式(中止にはなりましたが)で主要な艦艇は出払っているのでは、と思いつつ北吸桟橋へ行ってみると、ソマリアから帰還した「あさぎり」、イージス艦「みょうこう」、なぜか大湊所属で「あさぎり」を大湊から押し出した「しらぬい」がいました。

 

護衛艦「あさぎり(DD-151)」

 

護衛艦「みょうこう(DDG-175)」

 

艦上で訓練中の護衛艦「しらぬい(DD-120)」

 

さらに対岸のJMU舞鶴事業所では、整備のため艦番号の書かれていない護衛艦が!

 

艦首に艦番号がない艦が!

 

海上自衛隊舞鶴地方総監部の公式ツイッターにて艦名が判明しました。「せとぎり」でした。

76mm単装速射砲、ハープーン発射筒、シー・スパロー発射機、アスロック発射機なども外されているようで、CIWSは黄色いシートに覆われています。

 

JUM舞鶴事業所で整備中の護衛艦「せとぎり(DD-156)」

 

同じく整備中で艦番号が消されている護衛艦「ひゅうが」

 

同じく整備中で艦番号が消えている護衛艦「ひゅうが(DDH-181)」

 

では、今回は艦番号がなかった「あさぎり」級汎用護衛艦4番艦の「せとぎり」を取り上げます。「せとぎり」は、瀬戸に立つ霧「瀬戸霧」を由来とし、帝国海軍には同名の艦艇はなく、海上自衛隊にて初めて採用された艦名です。

「あさぎり」級は、フォークランド紛争で英海軍の艦艇が攻撃を受けた際、アルミニウム合金を使用した上部構造物が火災により溶解した教訓から、上部構造物をそれまでのアルミニウム合金から全鋼製に変更したため、排水量が前級にあたる「はつゆき」級の3,050トンから3,500トンに増加しました。

また、ヘリコプターも当初の1機収容から2機の収容へ1番艦の建造中に変更されたことから、異様な大きさのヘリコプター格納庫と横長の煙突が特徴になっています。

なお、次級の「むらさめ」級からシー・スパローとアスロックはVLS(垂直発射装置)となったため、個別の発射装置を上部構造物として配置した最後の汎用護衛艦となりました。

【要目】

 基準排水量:3,550トン、満載排水量:4,950トン

 全長137.0m、最大幅:14.6m、吃水:4.5m

 機関:ガスタービン×4:COGAG、推進軸:2軸

 出力:54,000馬力、速力:30ノット

 兵装:76mm単装砲×1、20mmCIWS×2、ハープーンSSM4連装発射筒×2、

     シー・スパロー短SAM8連装発射機×1、アスロック8連装発射機×1、

     3連装短魚雷発射管×2、SH-60J哨戒ヘリコプター×1

 ※出典:世界の艦船別冊「海上自衛隊2005-2006」 No.645、2005年7月、海人社、P36

 

護衛艦「せとぎり(DD-156)」(出典:Wikipedia)

 

「せとぎり」は住友重工追浜造船所浦賀工場で昭和62年3月に起工され、平成2年2月に就役、横須賀に配備されます。

平成9年3月には母港を大湊に変更され、平成22年8月から12月にかけて海賊対処法に基きソマリア沖・アデン湾に派遣され、計28回の船団護衛を行っています。

続いて、平成25年7月から12月、平成29年12月から翌年4月と計3回ソマリア沖に派遣されています。

また、平成23年3月の東日本大震災では災害派遣されています。

 

平成29年8月29日、「せとぎり」のSH-60J哨戒ヘリコプターが夜間訓練中に墜落、乗員4名のうち2名死亡、1名行方不明という事故も起こしています。

 

そして、平成31年2月に護衛艦「しらぬい」の就役・大湊への配備に伴い、「せとぎり」の母港は舞鶴に変更され今日に至っています。

 

就役から28年が経過しベテランの護衛艦ですが、「あさぎり」級は平成24年度から28年度までに艦齢延伸改修工事が行われているため、今しばらく現役に留まりそうですね。

 

艦尾から見た「せとぎり」と同型の「あさぎり」

巨大なヘリコプター格納庫のシャッターが閉まっています