ネロブースに関して、一番はじめに結論から言ってしまいます。
「これは買い」です。
導入後はこれまで感じてきた室内塗装における悩みと縁を切ることができます。
ネガがあるとすれば、それは価格ではありません。
常設する場所。これだけです。
なので、今回は設置方法と占有スペースについて書きます。
過去記事はこちらからどうぞ。
↓
家族のためにも、そして何より自分のためにも、好きなことで健康を害することがあってはいけないと思ったことが、そもそものネロブースの導入理由だったのですが、溶剤臭のない製作環境がどれほど模型生活にプラスに働くかは、実際に導入してみて初めて気づきました。
普通こうした場所では「あくまでも主観です」とか、「感じ方には個人差があります」といったワンクッションを置いて記事を展開すべきですが、溶剤臭が人体に及ぼす幾多の悪影響を鑑みるに、模型、もとい塗装に関して、できうる術は万難を排してでもとるべきだと思います。
昔はともかく、結婚して子供もいる今は、家族の理解あってこその趣味…とカナルは思います。
もちろん、問題解決のために考えられる手法は他にもあるでしょうし、これが100%の解答ということでもないのですが、年間にキット購入にかける金額で換算するというよりはむしろ、洗濯機や空気清浄機、それにマイカーの車検などと同様に、室内塗装環境への投資は、住環境に直結するものと考えるべきではないでしょうか。
そもそも、模型の塗装を室内でやるのは邪道だと思うんです。
もしもその場所が工場みたいな環境であるなら別ですが、普通の生活の中では、シンナー臭というのはそもそもが「異質」なもの。
それを無理やり部屋の中で噴射しようというのであれば、やっぱり相応の設備を整えなくては。
さぁ全国1億5000万のモデラーたちよ、貯金せよ!そして家族を説得せよ!
……冒頭から扇動的な記事になりましたが、もちろん感じ方や価値観というものは個人差があるのを承知の上での話です。
販売当初は口コミや一部の関係者の間で評価を高め、メディアへの露出を経て去年ついにホビーショーへ出展。
実際に製品に触れた人たちの間で効果のほどが確認されたこともあり、今ではちょっとした模型界の寵児となっているのがご存知、ネロブースなる塗装ブースです。…寵児は言い過ぎかも…
一年前に導入していたのですが、模型製作を休止していたため、導入や構造の項まで書いたきりでした。
今回フジミのカブトムシ製作にあたり、ウレタンもラッカーも吹き付けしたので、ようやく体験レポートを上げることができます。
ぜひ最後までお付き合いくださいね。
まずはじめに、このブログでネロブースに関して書いた過去記事を下にまとめておきます。
今回はようやく据付編となります(長い)。
最初に書いておくと、ネロブースの取り扱い元は、当時の情報からいくつかの事項がアップデートされています。
例えば価格。
カナルが購入した当時は、一番スタンダードなタイプ(ネロブースはセミオーダー制。後述)で45,360円(税込・送料別)〜でしたが、現在では48,600円〜(同)となっています。
一昨年の時点では最初はTwitterアカウントを経てメーカーと連絡を取り合う販売方式をとっており(実際のやり取りはメールおよび電話でも親切に対応してくれました)、会社名も「ネロブース公式」というものでしたが、販売体制の変更等により、現在ではガットワークスという会社が販売元となります(経営してる人は一緒)。
ウェブサイトも開設されているので、気になった方は詳細をご確認ください。
なお、販売体制の変更に伴い、ネロブースの仕様が一部変更になっています。
新しくネロブースを購入した人からは、「ブース本体の溶接がこれまでのものより丁寧になっているようだ」という声が聞かれる他、音質に関しても若干の変化が確認できるとのことです。
なおメーカー側のコメントとして、内部チャンバー室(これは外からはわからないポイント)の形状見直しなどにより、吸引特性が数%アップした等の発表がなされているそうです。
新旧ネロブースの比較模様に関しては、こちらのサイトで作動音比較確認用の動画も上がっていますので、気になる方は覗いてみては。
ちなみに作動音に関しては、次回の記事でうちも取り上げます。
販売形態についても少し変更があり、カナルがネロブースを導入した当初は自前で調達する必要があったアルミフレキダクトおよびアルミテープは、今ではメーカー直販可能とのことです。
些細なことではありますが、ホームセンターによってはアルミフレキダクトの取り扱いがない店もありますので、これは親切。
スタイロフォームだけは変わらず自前調達ですが、あれはまぁ致し方なし。大きくて郵送料だけで結構かさんじゃいますので…(スタイロフォームに関しては後述)。
では、当時の記憶をたどりながら、記事を再編集していきます。
数度のメールでのやり取りを経て疑問点等を解決。
発注から待つこと1週間。
「かなり大きな荷物がふたつ届きます」と聞いていたので、配送日当日は1.5m×1.5mほどのスペースを確保して配達を待ちました。
納品時はシロッコファンとネロブースの筐体の2つの荷姿で配送されるのですが……
もう一つのブースの筐体は、およそこの2倍近い容積です。
運んでくれた佐川急便のお兄さん、ありがとう。
さっそく開梱して設置していきましょう。
まぁ、乱暴に言えば、「開けて、乗せて、ホース繋いで」あとはスイッチオン、という3ステップなので(乱暴な説明…)、設置自体は簡単です。
【サイズについて】
スペックもさることながら、購入を検討している人が知りたいのが、設置に際してどれくらいのスペースが必要になるのかということでしょう。
(縦×横×奥行)
(単位:センチ:いずれも実測値でありメーカー公表値とは一部の寸法が異なります)
・ブース:50.5×50×50
・シロッコファン:25.5×38.8×25.5
ブース本体は、正面と、天板(オーダー内容によってはシロッコファン接続のためのフランジが別の面にくることもあるのでこの限りでないが)を除く四面はすべて平面で構成されており、背面も完全にフラットゆえ壁にベタ付きでの設置も可能です。
【シロッコファンのサイズ感に関して】
ブース筐体の上に設置する場合は関係ありませんが、両サイドには吊り下げ用の金具が付属しています。↓
一方こちらは、上の画像の反対側↓
電源装置の幅(取り付け面から飛び出ているぶん)が2.9センチ。
メーカー見本画像と実際に設置している画像で電源コードの取り出し方向が異なりますが、どの向きでも設置が可能です。
シロッコファンに関しては、あとで詳細を述べます。
横幅や奥行きもさることながら、重要となってくるのが設置予定箇所の高さです。
ちなみにこれはカナルが発注前に気になって設置の際にメーカーに問い合わせたことなのですが、防振の問題について、作動中のファン自体からの振動は特に気にせずとも大丈夫、とのこと。
実際に作動させても、共振のようなものでブースからビビリ音のようなものが発生することもありませんでした。
ただし、ひとつ注意点があって、それはシロッコファンを上下逆に繋がないこと。
まさかと思うかもしれませんが、吸気方向も排気方向も似たような形状なので、本体にシールで向きが指示されてはいるものの、その気になれば?反対でも繋げてしまうような見た目なんです。
反対に繋いでも壊れたりしませんが、吸うべき場所から風が吹き出てきますので、その場合はファンを上下逆に繋ぎ直してね、と説明書に書いてありました。
そして、どうしてもこのブース設置に際して、部屋の構造上なくてはならないものが「大気開放可能な直径15センチ以上の丸い開口部」です。
つまり、一般的には窓ということになるでしょう。
当たり前のようですが、窓の位置関係によっては、取り回すアルミフレキダクトの長さが相応に必要となってきます。
しかし、例えブースの設置位置と排気用の窓の位置が10メートル離れていたとしても、性能に差はありません。
ただし、ダクトの断面は真円であることが望ましいそうで、例えば設置場所の関係上、排気ダクトが天井に当たって楕円形に潰れてしまうなどの状況下にあると、吸い込み性能がやや低下することが懸念されるということを販売元から聞きましたので、無理やり配管せざるを得ない環境の場合は、設置台の高さを下げる等の配慮が必要となってくるケースも頭に入れておいたほうがいいかも知れません。
幸いにも今回のケースでは、窓との距離が1メートルほどの場所に設置できました。
1メートルといえども、このようにダクトは結構な長さで取り回す必要があるのがわかります。
もしも塩ビ管などで直径15センチの90度のエルボを見繕うことができれば、もう少し短くできるかもしれません。
参考までに上の画像の状態では、3メートル分を購入したものをカットせずにそのまま使っています。
ジャバラ部分はこの状態では展開していません。
シロッコファンへと繋がる、ブース筐体側の排気用開口部は基本的にブースの天面に設けられます。
オーダー内容によってはこのダクト位置は背面であったり側面に設定することも可能。
今回は最もスタンダードな形式のものをオーダーしました。
【シロッコファンについて】
このシロッコファンは天地逆でも天井から吊ってもラックの上に乗せたブースの下の段に置いても、どの位置でも正常に作動するそうです。
よってレイアウトの工夫は様々に対応可能。
業販でこのストレートシロッコファンを購入すると、コンセント差し込み式のコードは付属しませんが、ガットワークスが発送する製品には、有工事資格者が家庭用のコンセントから電源を取れるようにスイッチと配線を加工して取り付けたものが納品されるため、購入者はすぐに使い始めることができます。
個人で同等品(三菱製BFS-40S"C"型・現行同様タイプはBFS-40S"G"型となる・実勢参考価格:2019年2月現在で23,000円前後)を塗装ブース用に利用する際は、この電源問題をクリアする必要があるので、そういう意味でもこうしたオールインワンの製品の存在価値はありがたいものではないでしょうか。
【設置の際に必要な備品リスト】
設置するにあたり別途調達した用品のリストを紹介します。
以下の内容のものは、ブースに同梱させると送料がかさんでしまうため、購入者が自分で用意する必要があったものとなります(繰り返しますが一部のものに関しては現在はブースとセットでの業販もしてくれます)。
いやー、黄ばんだレシートが月日を物語る(笑)
ちゃんと後でブログで紹介しようと思って、保管しておいたんですよ〜。
・スタイロフォーム(30mm厚のものをはめ込む窓のサイズ分だけ・今回は1820×910mm=一畳分・1380円を調達しカットして使用←買いに行ったホームセンターにはこのサイズしかなかった…)
・アルミテープ(0.5mm厚・585円)
・突っ張りポール(窓の高さに合わせたもの・今回は100センチ対応のもの・1077円)
※いずれも価格は税抜実勢価格・参考値
なお、突っ張りポールは100均でも売ってますので、無理にホームセンターで買う必要はありませんよ〜…念のため。
設置はまず、ブースを据え付け、アルミのテーパーフランジにシロッコファン本体をガボッと嵌めて、それを載せてるだけ。
シロッコファンの吸排気二ヶ所に、付属のアルミダクト接続用のフランジを、同じくファンに付属しているネジで固定したら、アルミテープでシーリングします。
排気方向はこのとおり。
こうして、室内側に倒れてこないように、窓の開口部のサイズにカットしたスタイロフォームを突っ張りポールで固定する仕組みが推奨されています。
上の画像で隣に写っているのが、上が吸気、下が排気を司る窓付け換気扇です。
室内側から見ると、作動中も窓を閉め切っている時も、同じ眺めです。
作動させる際には一旦玄関から外へ回って、引き違いのガラス窓をダクトが露出するところまで開けることになります。
ブースの内部はツイッターで流布されている情報を参考に、使い勝手を考慮して軽くカスタマイズしました。
強力な吸引力ゆえに、ブースの誤飲防止を目的として、下部吸い込み口に組み付ける猫の爪研ぎをセット、ブース内部の吹き返しによる塗料汚れを防止するため、カッティングシート用のリタックシートも用意して内側から貼り込みました。
よく塗装ブースの吸い込み性能を計るベンチマークテストとして、ティッシュを何枚貼り付かせるかをみるというものがありますが、ネロブースは5〜6枚では効かずに、丸めたティッシュひとかたまりを吸い込みます。
こいつがないと、細かいパーツが万一持ち手からポロリととれたら……ちょっと困ります。
余談ですが、このブースにはフィルターは必要ありません。
ここでいうフィルターとは、ブース内部に設置できるものを指しますが、シロッコファンに吸い込まれていく塗料ミストは、減圧室(チャンバー室のこと。詳しくは過去記事参照のこと)内部で乾燥されてのちシロッコファンを通過することになるため、ファンの損耗を気にすることはないということです。
ですが、排出されるミストおよび溶剤臭に関しては単純な大気開放式なのでそのまま外に出ていくことになります。
ゆえに、塗装に際しては、近隣の居住者に配慮しての作業が前提なことはこれまでの塗装ブースと変わりません。
ちなみに排気方向の出口にフィルターを装着することも考え問い合わせましたが、排気効率が若干弱まるという回答でした。
ここらへんは各自納得の上で導入を検討する必要があるポイントかと思います。
内部で光を反射しますので、1灯のみでもやたらと明るいです。
しかもこのブース、内部が反射して明るいので、撮影ブースとしても使用可能(!)
さらにはiPhoneのスピーカーを奥側へ向けて設置することで、再生された音楽もかなり良い音で鳴り響くなど、設計者が想像もしていなかった様々な使い道が生まれているようです(笑)
中でもわざわざメーカーがツイートした中には「ネロブース内でひとり焼肉を試すのはおやめください。脂がファンに付着すると壊れます」という呼びかけも…ホンマかいな。
次回は最後のレポートとして、使用感について書きます。
今年の個人目標が、書きかけの過去記事をきちんと完結まで書く…というものなので、ちゃんと書きますσ(^_^;)