彫りの前のピカピカ状態、石も入って最後に手彫りをほどこします!
彫りの前にはエクセサイズ。
上のように、ツルツルの面に彫りをほどこすのが、最終段階。
その後、さらりと再度磨いて、メッキをかけて終了となるわけだが、
一発勝負の彫りは、やはり試し彫りを銅板で何度かやってみてから、
作品にかかる。
それぞれのシリーズの彫りから遠ざかっていると、感覚を呼び覚ますのに時間が多少かかる。
彫りだけをしている彫り職人の方はそんなことは必要ないかもしれないが、
デザインから金属の組み立てなど、一から手がけている私にとって、彫りの工程は、
最大の装飾であると同時に
最後の大切な仕上げで、
気持ちもピリリと引き締まる。
ここで満足できないと、その作品はお蔵入りになってしまう。
また透かし彫りタイプは、たくさんの彫りが入っていてキラキラしている分、結構ごまかしがきく気もするが、
ピカピカの面に彫りだけを入れるタイプは、線の美しさや荒さが一目瞭然。
ということで、毎回が新鮮な気持ちで、気合いを入れて彫りに臨む。
納得いかない時は?
試し彫りをして作品に向かっても、
納得いく線が彫れない時もある。
そんな時はどうするか?
というと、
やっぱり銅板に戻って、何度もその彫りを繰り返して、線の美しさの確認をする。
もちろん、その前にタガネを研ぎ直して、綺麗な線が引けるかの確認もする。
「リラックスして打てばいい!」
突然、老テニスコーチの言葉が🎾浮かび上がる。
ここぞという時ほど、
「きちんとせねば!」
と力が入り、頭が働く分身体は硬くなる。
彫りも同じことなのである。
力が入りすぎると線自体にその力加減が見て取れる。
ゆっくりと息を吐きながら、軽く彫ると
その線は、途切れることなく滑らかに引くことができる。
面白いことだが、全てのことが同じことであることに気づく。
ガチガチに固まった身体や頭では、
何をしても、いい結果は生み出せない。
今ひとつ納得がいかない日も、主婦業を投げ出すわけにもいかないので、
ここで夕食準備に取り掛かる。
その後再び、作業台に戻り、
ふぅーっと
息を吐きながら、優しくタガネを運んでいった。
この時には、美しい線を引くことができ、
ようやく納得いく作品作りができる。
ダメな時は、何度も練習することも重要だが、
一旦そのことから離れる!
という行為もポイントのようだ。
何事も風通しよく、
風の時代に入った今は、
上手に気分転換しながら、やりたいことに取り組むことが、
もしかすると鍵なのかも?
などと頭によぎる。
土の時代の典型のような、コツコツ型の人が多い職人業も、上手に時代のエッセンスを意識していきたいものである。
ギルランダリング タイプA(前)ジルコン タイプB ガーネット 925シルバー 西洋彫り
今日も最後まで読んで下さり、ありがとうございました。