ベルジーやジェイコブスのバルサを綴って行くと、つくづく1990年代に制作さくれたサーフボードが異端児である事が判る。
ここで云う異端児は、これまで触れて来た「ディティールの詰め合わせ」ではなく、「乗り味」である。
リバイバルとして復活を遂げたロングボードは、いつしか一過性のモノでは無くサーフマーケットにシッカリと根付き始めた。
カリフォリニアやハワイでは往年のサーファーがロングボードを小脇に抱えビーチに繰り出す様になっていた。
そして、そのニーズに応えるべく、クラシック系のサーフボードは過去のモノよりも遥かに乗り易さが追求されて行った。
代表的な仕様で云うと・・・
なんと云っても軽量になった事ではないだろうか?
また、フィンのセッティング位置、レール創り込み等、数え上げたら切りが無い。
多くのシェイパー達の研究と努力の末に改良を施されたクラシックボードは多くのサーファーに笑顔を齎し、それは今に続ている。
そんな時代に誕生した1本のPIG・・・
入手した時には幾度かビーチに持ち込んだが、彼是、20年近くもガレージに放置したままで存在すら忘れかけていたがガレージを整理する切っ掛があり久しぶりに拝んでみると、やはり、そのボードには特別なオーラを感じてしまった。
それがボブ・オールンソンが削り上げたコレである。
このボードは過去にも紹介した事があり、その際にも「乗ります!」宣言をしていたが、蓋を開けてみればブログで蘊蓄を綴って、そのままガレージに戻ってしまった経緯がある。
1990年代・・・
まだ、この時代はPIGなるキーワードがマーケットには根付いておらず、ハーフムーンを纏ったボードの全てが「クラシック」として区分されていた。
クラシックボードの象徴であるハーフムーンはデコレーション感満載の創り込みがなされ、ストリンガーに至ってもバルサをレッドウッドTバンドと来ている。
正に至れる尽くせりな豪華絢爛な仕様だ。
そんなストリンガーに沿う様にボブ・オーレー・オールソンのサインが入る。
感心なのは、これだけ豪華絢爛にも拘わらずボード本体は非常軽く、レールの創り込みも繊細で、更に程良くノーズロッカーも効いており、PIGでありながら誰もが最良の時を過ごせる要素が詰め込まれているのだ。
サーフィンの黄金期である1950年代後半から1960年代を駆け抜けて来たリアルレジェンドであるボブ・オールソンだからこそ、当時のボードのメリットもデメリットも知り尽くしており、そして、それを表現したのが「`90sクラッシクボード」であるこのPIGなのだ。
入手した当時はPIGの「P」の字も判らず、唯クラッシクボードに酔いしれていたがヴィンテージPIGやレプリカPIGを体感した今の自分にはこのボードはどう映るのだろうか?
次の休日が楽しみでならない。
Keep Surfing!!!!!