カリフォルニアのサーフィン仲間から頻繁に連絡が入る。
「上質のヴィンテージが売りに出たぞ!」、「ホールドするか?」と。
有り難い話だが、如何せん、昨今の為替事情を考えると手放しで喜ぶ訳にはいかない。
ましてやインフレのアメリカからのオーファーである。
仮にボードが低価格であっても輸送コストが強烈に高額と来る・・・
勿論、梱包代金もそうである。
俺が欲しがるボードは全てがグラスオンフィンだ。
ボックスフィンボードであれば1箱に4本の梱包が可能だがオンフィンは2本である。
コレだけでコストは2倍と云う事になる。
ましてや、10ftオーバーともなると更に箱が大きくなり輸送コストに跳ね上がって来る。
結果、それなりの金額になってしまい・・・
「今回は遠慮するよ」と断る事も多々ある。
それでも「どうしても欲しい!」モノもある。
それが前回の更新で触れたコレである。
CONのヴィンテージPIGである。
このアウトライン・・・
もう、最高としか云い様がない。
これぞPIGと云ったアウトラインである。
この無駄の無い構成は1960年代初期の証であり、シリアルから追いかけると1963年製である事が判る。
テールブロック等も付かず、ハーフムーンもデコレショーンされたウッド製でない・・・
所謂、無垢のPIGと云った代物である。
「素晴らしい!」を連呼したくなる程、シンプルなPIGにはバルサをレッドウッドでTハンドされたストリンガーひっそりと宛がわれていてシンプルな創りに花を持たせている様にも思える。
ロッカーのさじ加減に目を移してみると・・・
この時代のサーフィンの情勢が垣間見えて来るようで面白い。
大衆を取り込む為の計らいなのか?微弱ながらノーズロッカーが確認出来る。
まぁ、この角度だとデッドフラットだと感じる者もいるかも知れないが、これだけ反り上がっていれば充分である。
そして、数々のオーナー達を補佐して来たハーフムーンは、その形状が歪になるかの如く変貌を遂げている。
ビーチポイントは勿論乍ら、時にはリーフポイントで受けて来た数々の勲章は60年の時を経て大きく様変わりしてしまっているが、これこそがヴィンテージ醍醐味の一つである。
そんな歴戦の勲章を纏ったPIGには世界中のサーファーを魅了したご覧のディケールが小さく宛がわれている。
巨大なディケールはライダー用、若しくはコマーシャルモデルに・・・
そして、小振りなディケールは市販用に。
当時のカリフォルニアのサーフボードレーベルにはそんな風潮があった様だ。
さて、この待望のPIGであるが当時のカリフォルニアのサーファー達に習って、クラックは「浸水しない程度に修復」を心掛け、後はワックスアップを施すのみである。
海水はまだまだ冷たいが気候はサーフィン日和である。
60年前のサーフボードに身体を預け、いざ、「Go Surf!!!」。
Keep Surfing!!!!