ウェーバーのPIGと向き合って | Viva '60s SurfStyle!!!

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1960年代のカリフォルニアサーフスタイルに心を奪われた男の独り言。

カスタムと云うのは己だけのワンオフが得られるのと同時に「思っていたのと違う・・・」と云うリスクが常に付きまとう。

 

 

ハーレー業界ではカスタムビルダーに「お任せ!」でカスタムオーダーをした後に、「思っていたのと違う!」等と揉める事が多々あるそうだ。

 

 

カスタマーはメディアの影響によって自身の頭の中に仄かなイメージを浮かべてオーダーするのだが、素人故に、それを言葉に表現できない・・・

結果、「お任せ!」という安易な結論に辿り着き、「イメージと異なる代物」が完成する事となる。

 

 

ビルダーには己のカスタムのコンセプトがあり、拘りがある。

「お任せ」と云われれば、そのコンセプトによって製作するのは当然の事なのかも知れない。

 

 

この現象はサーフボードのカスタムにおいても同じ様な事が多々ある様で、小さいながらもトラブルが絶えないとショップのオーナーが嘆いた事を思い出した。

 

 

俺自身もこれまで多くカスタムボードをオーダーして来たが、受け取る時には「常に妥協案」を自身で描く様にしている。

「ここまでは譲るけど、これ以上は駄目」と、明確に決めておけばトラブルに発展する事は無いだろうし、「お任せ」なる安易な事は絶対に云わない様にしている。

 

 

また、サーフボードのカスタムを依頼するに当たって重要なのが、そのシェイパーがこれまでの「どんなボードを手掛けて来たのか?」である。

ココをしっかりと見据えないと自身が思い描いていたモノとは異なった付け焼刃の様な代物が舞い込んで来てしまう事になるのだ。

 

 

俺自身の昨今の代表的な例で云うと・・・

これである。

このボードはジェリー・オキーフによって創られたPIGである。

 

 

ジェリーさんの工房を訪ねた時に彼は隠す事無く、「ウェーバーのボードは大半がコンピューターシェイプだよ」と教えてくれた。

 

 

これはシーコングの田中さんも公にしている事なのだが、最後の仕上げは全てジェリーさんの手のよって完成させているので、「ジェリーシェイプ」のサインが入るのだという。

デューイ・ウェーバーはベルジーの直系の中でも最もPIGに拘っていたと耳にする事が多々ある。

爆発的なヒットとなった名品レイト・パフォーマーがリリースされるまでウェーバーのボードと云ったら、その殆どがPIG形状であった。

そんなウェーバーだからこそ、このディケールを纏ったPIGが欲しくてオーダーをしたのだ。

しかし、完成して来たボードはパフォーマーの要素が汲み入れられたかの様なボリュームあるノーズを引っ提げていたのだ。

 

 

数多くのサーフボードを手掛けて来たジェリーさんが日本からオーダーの入った高が1本のPIGの制作を詳細に覚えていたのはコンピューターシェイプに頼る事が出来なかったからの由縁の悪戦苦闘の証なのかも知れない

 

 

しかし、いざこのPIGに身を預けてみると・・・

それまでの「理想と掛け離れた出来栄え」の事等どうでもよく成る程のグライド感を齎してくれたのだ。

 

 

一見、装飾品紛いのデカいフィンもしっかりと機能してくれて、フィンのセッティング位置を明確にウォーターマンに告げている事を読み取れるかの様だった。

このグライド感を堪能してしまったからには、「もう、思考思想等はどうでも良い!」と、このボードに限っては思う程であった。

大好きなウェーバーのボードで、デカいフィンを纏って、そして、シェイパー直々に製作の苦悩を聞かせてもらえれば、これ以上求める事等「愚の骨頂」である。

 

 

しかし、このボードを堪能すればするほど、ある疑問が頭を過る・・・

このボードの乗り味、何故かロジャー・ハインツのPIGに似ているのだ。

接点のない筈の二人のシェイパーのPIG・・・

この乗り味の違いを感じる事が出来ぬのだから俺の技量も所詮は初級者である。

 

 

せめて、明確な違いを肌で感じてみたいものである。

 

 

Keep Surfing!!!!