「仕事が溜まってしまってね」
「僕のボードはこっちでは高額になるから、まだ多くの人に乗って貰えていないんだよ」
「いつかはタイラーの様になりたいよ」
と、自身の愛機であるプレーナーを見せてくれたのは、前回の更新でも綴ったアダム・ダベンポートの談である。

「このシェイプルームはランスとジーンと僕の3人でシェアしているんだよ」
「一番右がランスのプレーナー、その隣がジーン、そして僕のだよ」

アダムのボードは非常にしっかりと創り込みが成されていて、その上、1960年代の要素が多分に採り入れらているのだが、彼も語っていた様にカリフォルニアのサーファーには少々高額過ぎる様だ。
ランスを始めとするレジェンドや、タイラーの様なメジャーなシェイパーであれば高額でもオーダーは次から次へと入るのだが、アダムは自分がそこに達していな事を自身でも理解していた。
日本でもアダムのボードは極一部のクラシック愛好家達に知られている程度で、アダムの忙しさはシェイプではなく下請けのラミネートが中心である事を教えてくれた。
確かに、「誰々のラミネートをしている・・・」と云えわれれば聞こえが良いが、アダムのシェイプレベルを考えれば下請けに甘んじる男ではない。
自身のレーベルにオーダーがコンスタントに入ればタイラーの様に「己のボードのみと向き合う事が出来る筈」である。
こんなに素晴らしい人物で、良いボードを創ってるのに、その良さが伝わらないのは「本当に勿体ない・・・」
そんな事を思いながらアダムと晩飯を食べにシェイプルームを後にした。
「食事の前に僕のホームポイントに連れってあげるよ」
「そこは本当に良い波が立つんだよ」
と、連れらてたのはコンドミニアムや閑静なアパートが立ち並ぶ広大なポイントであった。


ここがアダムのホームか。
良いポイントだね。

日が暮れ掛かっていると云うのにサーファーの数が絶えないのは、ここに最高の波が立つ証なのであろう。





なるほどね。
ジーンさんの箸裁きが見事なのは、ここに通っていたからか・・・
俺はジーンさんと一緒に食事した時の写真を彼に見せ、「ねぇ、アダム、いつか日本に来ないか?」、「ジーンさんと行ったレストランに君を招待するよ」

「サーフマガジンの編者達にも紹介したいよ」
「君のボードに乗っている俺の友人達にも紹介したい」
と、告げ、更に・・・
「そういえば、NALUの最新号に俺の友人が君のPIGと一緒に紹介されていたんだよ」と、告げると。
「本当に?」
「僕のボードに乗っているサーファーがNALUに?」
「Oh My God!!!」
「タイラーの所に居た時にNALUが沢山置いてあって、いつか、NALUに出たいと思っていたんだ!」
「本当に嬉しいよ!」
「彼は君のPIGに乗っているんだけど、とても良い奴だよ」
「日本に来たら彼も紹介するよ」
アダムと共に過ごした時間は5~6時間にも及んだが、彼と一緒に居て思ったのは、少しでも彼の素晴らしさを多くの日本のサーファーに伝えたいと心身から思った。
そういえば、彼の工房に真紅のボードがあった・・・
赤ではなく真紅と呼びたくなる様な深い赤のボードが・・・


さて、この続きはまたの機会に綴らせて頂きます。
長文になりましたが、最後まで読んで頂きましてありがとうございました。
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