オーストラリアのピーター・ストッカートから連絡が入った。
「マイクと相談して最初のバルサPIGはお前に乗ってもらう事にしたぞ!」と・・・
長年、俺のサーフシーンを支えてくれている知人と酒の席でこんな話が上がった。
「あの膨大なボード達は一体どうするんだ?」
「最終的には何に乗りたいんだ?」
「俺は最後はバルサだと思っている」
「バルサを飾りでは無く普通に乗り回したい」
と、サーフボード談議に盛り上がった。
実は、この価値観、不思議と全く同じで、俺自身も最終的にはバルサでサーフィンをしたいと云う願望を以前から持っていた。
しかし、これまで入手したバルサは「希少性」を謳った宝の持ち腐れ的なボードばかりで、いざ乗るとなると自分のサイズスペックには合わないボードばかりである事に気付いた。
ピーターからの連絡は、そんな俺の心を見透かす様なタイミングであった。
ピーター・ストッカート渾身の'50sPIGを広めたのは紛れもなくマイクブラックである。
本来ならば俺よりも先にマイクが乗る方が相応しいのだが、「お前が俺のPIGを日本に紹介してくれたんだ」とピーターに背中を叩かれ、また、マイクからは「俺より先に乗るのはお前だよ」との声に押され乗させてもらう事になった。
乗るに当たって、ピーターにお願いした事があった。
それは、リーシュループの装着だ。
バルサにループは見栄えからも頂けない事は十二分に判っていた。
しかし、このバルサは俺の愛機となる一方で、多くの人達にもその乗り味を体感してもらいたい。
人出の少ないビーチであればノーリーシュも可能だが、湘南等のメジャーポイント等であればマナー違反の何物でもない。
このリーシュループについてはピーターは当然ながら反対していた。
しかし、ここはどうしても折れる訳には行かない。
何故なら、バルサPIGは俺にとって飾りでは無く愛機となるのだから・・・
ピーターは「考える時間をくれ・・・」とだけ言葉を残し、初のバルサPIGの制作に着手する事となる。
そして、そのバルサがつい先日届いたのだ!

これまで数多くのバルサを所有して来たが、ピーターのバルサはそれらのどれとも異なる。
一言で云うならば、これまでのバルサはフォーム在りきのボードをバルサで削った感が否めない物ばかりであった。
ピーターはバルサを要する者がどの様な所に拘るのかを知っているかの様に、ボードの各所にそれを散りばめて来ている。
恐らく、俺にとってこのバルサが最初の1本だったらならば、その素晴らしさに気付く事は無かったと思うが、これまでにベルジー&ジェイコブス、ベルジー、ジェイコブス、ランス、タカヤマ、リック、デーブスウィート、タイラー、そして、ヴィンテージを有して来たからこそ知り得た拘りを感じる事が出来た。
次回の更新では、その辺りを綴ってみたいと思っています。
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