PIGが再認識をされる様になったのはいつ頃だっただろうか?
俺の記憶では1990年代には殆どのボードメーカーからPIGがリリースされた形跡は無いと思う。
仮にあったとしても、ベルジーからリリースされていたPIGタイプのニュー・トラディショナルくらいではないだろか?
元々、PIGの造形が好きで、1990年代当時に散々探しては見たものの、やはり、辿り着いたのはベルジーのニュー・トラディショナルであった。
Dフィンと呼ばれるハーフムーンはあれど、PIGは一向に見当たらない・・・
これが当時の日本のロングボードシーンだったと思う。
しかし、ドナルド・タカヤマがPIGをリリースしたのを機に、ここぞとばかりに各ボードメーカーからPIGタイプ、ならびにPIGがリリースされた様に思える。
当然ながら、その波は新生ボードメーカーにも波及して行き、今のPIG事情に至るのではないであろうか?
PIGに最初に乗ったサーファーはミッキー・ムニュスだと言われており、彼をベルジーに推薦したのはハップ・ジェイコブスの様である。
ベルジーとジェイコブスは、ムニュスの描くマニューバーにPIGの可能性を見出し、ベルジーツリーの流れを汲まない他のボードメーカーにも影響を与え、ノーズライダーの普及まで殆どのボードメーカーがPIGメインのラインナップとなっていた。
先日、知人を介してハップ・ジェイコブスにランス・カーソンやミッキー・ドラが乗っていた下の写真を見立ててもらった所、「彼らが乗っていたのは全てPIGだ!」という回答が返って来た。


彼ら同様に、現在レジェンドと呼ばれる者達の殆どがPIGを愛用し、スキルアップを図って行ったと思われる。
今日は、そんなPIGの全盛期にマリブのキングと称されたランス・カーソンが削り上げたPIGを紹介したいと思う。
こちらがランス・カーソンサーフボードのPIGである!

如何であろうか?
PIGに精通している方ならば、そのアウトラインを見ただけでベルジーのアウトラインであると判るのではないであろうか?
ランス・カーソンはベルジーツリーには属さないシェイパーなのだが、元々は彼の父がランスにボードを造ってあげる為にバルサの入手をベルジーに訪ねた事から、その付き合いが始まったと言われている。
ベルジーやジェイコブスらのPIGを乗り継いで来たランスが創り上げたPIGは、現存する他のモダンPIGと異なり、どことなく、古き良き時代の匂いを醸し出している様に思えてならない。
また、ランスのPIGは、現代のPIGシーンを牽引しているマイク・ブラックからも絶賛されており、彼自身も愛用している程である。
さて、そんなランスのPIGの各ディティール追って行くと、流石はマイク・ブラックが絶賛したPIGである事が窺える。
フィンはソリッドウッドをテール寄りに目一杯に取り付け、テールから食み出る様なヴィンテージを彷彿させる仕様となっている。

また、テールエンドにはウッドブロック等は付けられていないのは、彼がジェイコブスのライダー時代のPIGの名残なのかも知れない。

そして、ディケールは、勿論、これである!
1972年から続く、ランスカーソン・サーフボードの由緒あるディケール・・・
やはり、ランスのディケールはこれに限る!
今回のPIGに使われているストリンガーはレッドウッドを1インチのバルサでTバンドした非常に贅沢な仕様なっている。

急ぎ足での紹介となったが、実は一時かなり所有していたランスのボードも、この何年かで、かなりの本数を処分した。
海に出て、ボードに乗って、こうしてブログを書き綴っていると多くのボードを有するのに少々「?」が過る様になって来たのだ。
それまでは、ただ所有する事に拘っていたが、今は自分との相性、フィーリングの合うボードだけ残せれば「良いのかな?」なんて、思った結果の判断である。
もし、手放したボード達と海で再開した時には声を掛けさせて頂くので、その節はよろしくお願いします。
そして、その逆もありで、紹介しているボードをビーチで見掛けた時には気軽に声を掛けて頂ければ嬉しい限りです。
一緒にボードの話でもしながらサーフィンをさせて頂ければ幸いです。
KEEP SURFING!