その勢いは、かつてのショートレボリューションによって蚊帳の外に押し出されていったロングボードの終焉の様に思えてならない。
先日、久しぶりに長年に渡ってベルジーを日本のサーファーに送り届けて来たエムズの三井さんとお話をさせてもらった。
三井さんの話は寸分の陰りも無く、ベルジーへの熱き想いで溢れていたが、やはり、商売の動向を傍から見ているとリッチ・パベルのモダンクラシック系やオルタナティブ系のボードを中心にシフトしている事が強く感じられた。
素人の俺からすると「もっと、ベルジーを!」と思うのだが、実際にサーフショップを経営して行くには時代錯誤なのかも知れない。

この同行はエムズ同様、長きに渡ってロングボードを我々に発信し続けて来てくれたサーファーズにも少なからずとも感じられ、ビング、リック、ジェイコブス等の名立たる老舗ブランドを抱えながらもクーパーやハンクバイザック等を打ち出して行く事は必要不可欠なのであろう。
先日、久しぶりに以前紹介したロビー・キーガル(近年ではロビンと称すらしい)のボードに乗ってみた。
普段、デカいハーフムーンを乗っているからであろうか?
いつもの様な感覚でターンをすると、勢い余ってプルアウトしてしまうほど動くから不思議なものだ。

また、幅が細い割にはボードにしっかりとした安定感があり、テイクオフも非常に早く、心中で「やっぱり、ロビンは凄いなぁ」と自分の技量以上のサーフィンをさせてくれるボードの性能に出るのは溜息ばかりであった。
俺、個人としては、老舗ブランドの'60sレプリカが好きなのだが、海の上での仲間達の会話や、実際にモダンクラシックのボードから伝わって来る時代の波を感じるとその勢いは「もう、無視出来ない」所まで来ているのだと思う。
先日、知人に「モダンPIGの中で一番乗り易いのはジーン・クーパーのPIGだと思うのだがどう思う?」と質問してみた。
電話越しの知人は数秒間の沈黙の果てに、「そんなの普通の人は答えられないよ!」と一喝!
「君は色々なPIGを乗り分けているから違いに敏感なのだろうけど、普通はPIGを何本も所有したりはしない!」、「持っていても1本が関の山ではないか?」とも言っていた。

ジーン・クーパーに創ってもらったPIGは、かなりの重量があるのだが、一度海に浮かべると全く重さを感じる事が無く、リスクとされるデカいハーフムーンであっても、俺に技量以上のサーフィンを提供してくれる。
モダンクラシック・・・
何処の誰が定めたジャンルかは知らないが、輝かしい1960年代のサーフボードのメリットを汲まなく採り入れつつも、その時代のデメリットを排除しながら新しいエッセンスを落とし込んだ素晴らしいジャンルのサーフボードである。
こうしてブログを書き綴っていると「ドナルド・タカヤマが蒔いたモダンクラシックの種」は確実に次の世代に伝えられたと思う。
若き精鋭のロビン・キーガルは寝る時間も忘れるほどにシェイプに打ち込み、サーフボードに作品の要素を最大限に汲み入れたジーン・クーパーが創るサーフボードはサーファー達に夢を与え、伝統と進化を融合させたタイラー・ハジキアンはクラフトマンとしての更なる質の向上を目指し続け、そして、ロビン・キーガルやアレックス・ノスト、ジャレット・メル等の世界屈指のスターをサポートし続けて来たダン・フォルテ・・・
きっと、皆、ドナルド・タカヤマの後ろ姿を見てサーフィンと言うマーケットと向き合って来たのだと思う。
そして、今度は彼らの後姿を追う様に、ライアン・バーチ、ライアン・ラブレース、タナー・プレーリー、アダム・ダベンポート等の波が押し寄せる。
ビンテージとレプリカにしか目を向けて来なった俺だが、彼らのボードに乗る様になって、色々な事に気付かされた。
「ボードを飾らずに乗ってくれ!」
以前、ジーン・クーパーが俺に向かって言っていた言葉の通りである。
彼らのボードは海に浮かべてあげて初めて真価を発揮する。
そして、それを乗り継いだ後には、また彼らは次のボードを用意して待っていてくれている。
かつて、ベルジーやジェイコブス、ビング、グレッグ・ノール等が1960年代のサーファ達にそうした様に・・・
モダンクラシックは、これからもクラシックボードを愛するサーファー達を魅了して行く事だろう。
こんな事を書いているだけで、海に行きたくなって来た。
ビンテージレプリカも好きだが、モダンクラシックも大好きだ!
いや、俺は心底ロングボードが好きなんだ。
次の休日が待ち遠しくてならない。
Keep Surfing!