レール | Viva '60s SurfStyle!!!

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1960年代のカリフォルニアサーフスタイルに心を奪われた男の独り言。

1960年代半ば・・・
サーフィンが最も輝いていた時代にサーフボードは1週間で200本以上売れたらしい。



特に、ジェイコブス、ウェーバー、ホビー、グレッグノール、ビング等は人気が高く、当時のサーファーの様子を収めた写真には必ずと言って良い程それらのディケールを確認する事が出来る。



当然、それだけ本数をジェイコブス等が削っていた訳では無いことは誰の目から見ても明らかで、ヴィンテージボードのシェイプクオリティーには非常にムラがあり、溜息をつくほどの出来栄えのボードもあれば、落胆するボードもある訳だ。



15年くらい前に良く顔を出していたサーフショップの店主が教えてくれた・・・

「ヴィンテージはフォームの素材とクロスの素材は評価出来るが、シェイプに関しては全く駄目だ!」
「誰が削ったか判らないし、シェイパーに拘るならば1990年代初期にシェイプされたボードが良い」

実際に様々なヴィンテージに目を通してみると、その店主の教えは間違いなく、苦労の果てに入手したボードに肩を落とした事は度々経験した。



映画「ビッグウェンズデー」の冒頭でピアの上でベアーがバルサをラミネートしているシーンがあるが、そのボードは劇中で鍵となるボードで、監督のジョン・ミリアスは「聖なる剣」と称している。
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このボードは、ベアー自身が「大波が来たら自分が乗る」との想いで仕上げたのだが、その想いを主人公のマットに託す事になる。
このシーンでベアーから「聖なる剣」を受け取ったマットが最初に起こすアクションがレールのチェックである。
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そう・・・
サーフボードにとって最も重要なのはレールなのだ!
生意気な言い回しだが、俺はそう思っている。




象徴的なシーンが他の映画にでも確認出来る。
近代サーフィンの父と謳われているデューク・カハナモクを題材とした映画「ザ・ライド」である。



タイムスリップした主人公がデュークと出会い、サーフィンの在り方を教えられる映画なのだが、デュークがシェイプする傍らで主人公が「機械が発達してもレールは人の目で・・・」と呟く。
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レールがサーフボードにとって重要な事はシェイパーなら誰もが解る事だろうが、週に200本以上売れていた時代には「品質」よりも「提供」を優先させなければならなかったのであろう。
それを象徴するボードがあるので紹介したいと思う。
ボード自体の紹介は後日改めてしたいと思うが、このレールを見て頂きたい。
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指の握り具合で想像して頂けたら幸いだが、ほぼ直角にシェイプされいるのが判るだろうか?
幾らこの時代がサーフィン黎明期だからと言って、これは酷過ぎる。
これはフォームに沿って、ただ丸みを若干付けただけ?もしくはバリをだけを取ってラミトートした?そんなレベルである。
その一方で、こんな素晴らしいレールを有するボードもある。
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今で言うところのピンチレールではないだろうか?
変にダウンレールになっている訳でもなく、不均一になっている訳でもなく、この時代にここまで精巧なレールを創れていたかと思うと頭が下がる。
というよりも、この双方のレールが同じ時代に存在してたこと自体が可笑しい話であって、「サーフボードだったらなんでも良い・・・」を象徴していた時代の産物なのかもしれない。



偉そうな事を書き綴ったが、正直なところ、俺自身がレールの出来栄えによってどれだけサーフィンに「差」が生じるのか判りかねるが、それが美しくない事だけは判断出来る。



最初はテイクオフが出来れば楽しかった。
そして、ボードを曲げる事が出来る様になって、より一層楽しくなった。
更に、ボードの上を歩ける喜びを感じる様になった。
サーフィンはその一つ一つを噛み砕く様に楽しめる。
こんなに素晴らしいものはない。



来年はレールの違い、テール形状の違い、ロッカーの違い・・・
色々な違いを感じられる様なサーフィンをしてみたいと思っています。




本年のブログの更新は本日までとさせて頂きます。
昨年も書きましたが、1年間読んで下った方々に心から感謝申し上げます。
自分勝手な言い回しで、読まれていた方には不快感を与えてしまったかも知れませんが、また、来年もこんな感じで書き綴って行けたらと思っています。
ありがとうございました。
新年が皆様にとって、素晴らしい年である事を心から祈っています。


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