ジーン・クーパー | Viva '60s SurfStyle!!!

Viva '60s SurfStyle!!!

1960年代のカリフォルニアサーフスタイルに心を奪われた男の独り言。

郷に入れば郷に従え・・・
古くから日本に伝わる諺なのだが、元々は中国から海を渡ってやって来た諺で、その土地やその環境に入ったならば、そこでの習慣ややり方に従うのが賢い生き方を通せという意味である。



以前、ジーン・クーパーと食事をした時の事だった。
彼を案内した古風な料亭で、彼用に「knife and fork」を用意させ、仲居さんが彼に差し出した時に「NO!NO!NO!」と手を払って拒絶した。



ジーン・クーパーは「俺は箸が使える!」と仲居さんに強調するかのような口調で「knife and fork」を下げさせたのだ。
考えてみると彼は我流であれだけのボードを造る男である。
故に、異文化の箸を使う事など容易い事だったのかも知れない。
はたまた、彼は「郷に入れば郷に従え」を実践したのかも知れない。



彼の手先の器用さは「彼の父親譲りなのかな?」と感じた時のことだった・・・
食事を終えた彼は古風な庭園を一人であちこちと歩き回り、日本古来の建造物に目を奪われたのか?時折ジーンズの裾から覗き込むビーチサンダルがピタリと動かなくなり、そして、知らず知らずのうちに今度は俺が彼の行動に目を奪われる様になっていた。



彼の行動に視線を集めていると、彼が建造中の建物の下で休憩をしている職人さんに声を掛けている場面に遭遇した。
英語のは離せない職人さんに身振り手振りを繰り返しながら何かを伝えようとしている・・・
一体何を伝えいるのか?

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どうやら、彼は自分の父がcarpenterでり、「子供の頃に父の手伝いで様々な物を造らされた」と言っていたのだ。
なるほど・・・
ジーン・クーパーの手先の器用さはここから来ているのか?
なんか、面白い光景を目の当たりにしてしまった。



すると今度は料亭のオーナーが現れてジーン・クーパーと会話を始めた。
ここのオーナーは英語が堪能で、彼は水を得た魚の様に様々な事をオーナーに聞いていた。

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ジーン・クーパーが造るサーフボードは、単にサーフィンが上手くて、シェイプが上手い人間が削ったボードでない。
彼が手掛けるボードは、その一つ一つが作品であり、それが誕生する様々なプロセスが伴っている。
しかし、当のジーン・クーパーは決して作品を作っているつもりではなく、あくまでサーフボードを造っているに過ぎないという。



彼が新しいボードを造ってくれた時にフィンにサインをしてくれた時の事だった。



そのボードは彼が俺の為に削ってくれた2本目のPIGだったのだが、俺はそのボードを撫でながら「あぁ、このボードは最早俺の大切な宝物だよ」、「もう、乗れないね」と発した言葉に彼は少し寂しそうに笑みを浮かべながら「そんな事を言うな。ボードはいつでも削るからキチンとこれにも乗ってくれ」と言ったのだ。



正直、この一言は俺にとってとても大きな物になった。
これまでサーフボードを所有する事だけに満足していた俺は「それらを乗ってみたい」と強く思うようになり、これ以降は以前の様に躊躇することなくボードにワックスを塗れる様になった。
何気ない彼の一言がここまで大きなものになろうとは思いもしなかった。



今日はそんなジーン・クーパーが自身の為に削ったボードを紹介しようと思ったのだが、流石に長文になり過ぎた為?ボードの紹介次回にしたいと思います。
楽しみにして頂けたら嬉しい限りです。



Keep Surfing!