フィル・エドワーズ | Viva '60s SurfStyle!!!

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1960年代のカリフォルニアサーフスタイルに心を奪われた男の独り言。

1963年、サーフィン業界に衝撃が走った・・・と、ちょと大袈裟かな?
でも、これは当時としては、かなり凄い事だった様で、後のサーフィン業界に多大な影響を与えた事は言うまでも無いと思う。



 

1963年、当時ホビーのライダー&シェイパーとして在籍していたフィル・エドワーズは、オーナーであるホビー・アルターから彼の専用モデルのリリースを許されたのだ。
そう、これが世に言うシグネチャーモデルの誕生の経緯である。



 

その後、ジェイコブスからドナルド・タカヤマモデル、ランス・カーソンモデル、マイク・パーパスモデル、ビングからもデビッド・ヌイーバーモデル、ディック・ブリューワーモデルなど様々なモデルがリリースされる事となったのは周知の通りである。



 

1963年にリリースされたフィル・エドワーズモデルは、1,000本分のディケールが造られたそうで、その内、フィル本人は300本程シェイプしたそうだ。
ただ、シリアルナンバーの順番はバラバラだった様で、フィル本人が削ったにも拘らず600番台のディケールの付いた物もあったそうである。



 

さて、ここまで行くと「今日はフィルのボードなのかな?」と思うかも知れないが、今日紹介するのは、フィルのシグネチャーの原型となったボードである。

 

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ヴィンテージボードの話なので信憑性は微妙だが、シェイプしたのはフィル本人で1962年~1963年に削られたと譲り受けた人からの談である。
確かに、ボードの全体を像を見てみるとフィルのシグネチャーを思わせる様が随所に見受けられる。
ただ、やはりこの時代のボードはPIGの影響を多分に受けている為、ナローノーズ&後方にボリュームがある造りとなっていることが判る。
また、ノーズブロックやテールブロックが装飾されている事からも、サーフィンがマニューバに特化していない時代だった事が判る。

 

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そして、面白い事にフィンがリーバスになっている点だ。

 

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リバースフィンについては諸説が多々あり、誤って反対に着けてしまったのがターン性能に長けていた「怪我の功名説」もあれば、シェイパーの「悪戯心説」もある、また、有力なのが「あえて、反対に着けた」という説もある。
前にも書いたが、この時代のシェイパー達は「どうしたらマニューバーを描けるか?」を真剣に考えていたらしく、その最たる例の一つであると考えられている。
また、サイドのストリンガーはレッドウッドになっており、樹木の脂がフォームに年輪を刻んでいる様で、美しく感じるのは俺だけであろうか?

 

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そして、ベルジーやジェイコブスと肩を並べる程の由緒正しきディケール。

 

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それにしても、ヴィンテージボードは本当に贅沢に造られている。
フォーム、素材、そして、グラッシング・・・
アメリカが強かった時代を反映しているのが良く解る。



 

TOOLとして考えるとサーフボードは「今の時代」の物が良いに決まっている。
ただ、GOODSとしてならば、間違いなくヴィンテージである。
車やバイク、ファッション・・・これまで様々なヴィンテージに触れて来た俺の感覚だと、残念ながら中途半端は有り得ないと思う。
でも、サーフィンは所詮、水遊びなんだからボードに乗って楽しくないと意味が無い。
とすると、やっぱり、「今の時代」のボードの方が良いのかな?



 

前オーナーは、これにイージープラグを着けてハワイでのサーフィンを楽しんでいたのだが、残念ながら歴史に足を乗せる勇気と技量の無い俺は躊躇してしまっている。
乗ってみたいけど、許されるのかな?
それとも罰が当たるのかな?
さて、どうしたものだろうか?



 

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