ベルジーのビンテージ | Viva '60s SurfStyle!!!

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1960年代のカリフォルニアサーフスタイルに心を奪われた男の独り言。

先週、レイノルズ・イエーターのスプーンを紹介した時に、彼が「ベルジーの弟子なのか?」と、記載したが、その後調べてみると、イエーターは1956年~1959年まで、ベルジー&ジェイコブスでシェイプしていた事が判った。
また、ビング・コープランドも「シェイプは教わっていない」としながらも、イエーターと同じ月日をベルジー&ジェイコブスの元で働いていた事が判った。



 

「シェイプは教わっていない!」と、言い切る一方で、ベルジー&ジェイコブスの元で働いていたビングさんは、1959年にビング・サーフボードを立上げている。。。



 

ビングさんの言葉の真相は不明だが、「働いていたけど、シェイプは学んでいない!!」という事なのだろうか?
それとも、クラフトマンとしての意地や誇りみたいなものが、そう発言させたのか?
なんとも、不思議な話である。



 

1960年代に一大ブームとなったサーフィンだが、その要因は映画「ギジット」だと言われている。
あの映画が公開されるやいなや、各ポイントに人々が押寄せるようになり、ブームに発展した様なのだが、俺的には、その要因の他にベルジー&ジェイコブスが袂を分けた事だと思っている。



 

1950年代のベルジー&ジェイコブスの元には、多くのレジェンド達が働いていた。
ビング・コープランド、ハロルド・イギー、ドナルド・タカヤマ、ジョニー・ライス、レイノルズ・イエーター、リック・ストナー、デューイ・ウェーバー、マイク・ディッフェンダッファ、パット・カレン等・・・名立たる面々ばかりだ。
これらのシェイパー達が、ベルジー&ジェイコブスが分かれた後の1959年に、一斉に各方面へと旅立ちサーフィンを普及させた事により、それまで一部の地域でしか購入出来なかったサーフボードが身近な存在になって行ったのだと思う。
そして、それを後押ししたのが「ギジット」なのだと思っている。



 

さて、いつも通りに前置きが長くなってしまったが、今日はそんなベルジーのヴィンテージボードを紹介したいと思う。
正確な年代は不明だが、恐らくは1960年前後ではないかと思われる。
何故なら、ブランドのディケールが「サーフボード・デイル」だからである。

 

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ベルジーがジェイコブスと袂を分けた要因だが、TAXの未払いだったと言われている。
これによって、多くのショップは差し押さえられ、代表者であったベルジーはブランドを維持出来なくなったと言われている。
それを機に多くの弟子達が世に旅立って行ったのは、先にも記載し通りだが、この後のベルジーはジェイコブスやハーバーの元で働きながら、細々?と自身のブランドを再興させていたと言われており、それがこのブランドと言う事だ。



 

ディケールデザインは、それまで愛用していたオーバルだけでなく、自身の名からデザインしたV字を組み合わせたものになっている。
また、パシフィック・コーストと記されている点などは、単なるポイントに限らず「カリフォルニアのビーチは全て俺のポイントだぜ!」みたいな表れだったのであろう。

 

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ボード自体は、1950年代に自身が考案したPIGから、幾分ノーズ部分にボリュームがある事から新しいサーフィンの可能性を確信してのシェイプだったのではないだろうか?
ただ、フィンは相変わらずのDフィンだった事を考えると、やはり、「1960年前後なのかな?」と、安易に推測が出来てしまったりもする。

 

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カラーは、後の時代にレストアされての事なのか?それとも、当時のカラフルなデザインを先取りしての顔料仕上げだったのか?は不明だが、ご覧の通りの仕上げとなっている。

 

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また、興味深いのがボランクロスの目の粗さだ。

 

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元々、ボランクロスは20オンスが使われていたのだが、供給が無くなってしまい、10オンスの二重巻が浸透したと言われている。
これまで数々のヴィンテージボードを見て来たが、この目の粗さは、間違いなく20オンス物である。
よって、重さは相変わらずの「腰が砕ける」程の重さである事は言うまでもない。



 

以前にも書いたが、現在のボードはヴィンテージと比べると見事なまでに軽くなっている。
それは、高密度フォームを使用しようが、10オンスのボランクロスを多重巻にしようが、その比ではない。
こんな重たいボードで、ノーリシューで、ビッグウェーブに向かって行ったのだから、昔のサーファーは「クレイジー」としか言い様がない。
でも、それを変幻自在に操っていたのだから、今のサーファー達とは比べ物にならない程の技量を持ち合わせていたのだろう。



 

俺だったら、このボードをどうするか?
人の居ない平日の某所で、波が穏やかな日に、友人達と乗り回してみたいと思っている。



 

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