認知症予防に牛乳・乳製品は良いの? | 最新科学の栄養学と医学が教える!ヴィーガン・ベジタリアンの健康の秘訣と注目トピック解説

最新科学の栄養学と医学が教える!ヴィーガン・ベジタリアンの健康の秘訣と注目トピック解説

病院で健康相談を担当するベジタリアン栄養学博士が科学的根拠を基に栄養学と医学的トピックをお知らせします。
みなさまの健康への一歩を応援します。

認知症に効く、決定的な薬がない現在、予防できる食品の役割は重要です。

 

最近の研究では、認知症になる人の割合は、先進国では減少していますが、所得が低い、あるいは中程度の国では減少していないそうです。

 

そのため、先進国では、学校で勉強する期間が長いことが一因では?

 

それに加えて、

 

妊娠中・赤ちゃんの時の栄養状態の改善、

心臓病・肥満の減少

健康的なライフスタイル(運動量の増加、健康的な食生活、有害物質の回避)

 

ということがあるのでは、と考えられています。

 

つまり、欧米型の食事は認知症のリスクを高くし、地中海食と少量の肉を取り入れた健康的な食事(インド、日本、ナイジェリア)は、アルツハイマー型認知症のリスクが低くなるとのこと。

 

日本の大規模研究のうち、

 

26歳以上の男女約2500人を対象に25~30年追跡調査した研究によると、

牛乳・乳製品を毎日摂る人は、週4回未満の人に比べて、

脳梗塞や脳出血などの脳の病気からくる認知症の発症率が約65%(0.35)低かったですが、

アルツハイマー型認知症の予防には関連がみられませんでした。

(J Am Geriatr Soc. 2003 p410-414)

 

 

 

日本のもう一つの大規模研究、

 

約1000人の60歳以上の男女を17年間追跡調査した久山町研究では、

牛乳・乳製品を多く摂るに従い、アルツハイマー型認知症になる割合が低かったですが、逆に脳の病気からくる認知症は予防しませんでした。

 

欧米諸国での研究では、牛乳・乳製品が認知症を予防するという十分なデータが無い一方、アジアの中国・日本のように、牛乳・乳製品の摂取量が少ない国では、認知症予防に役立っている可能性があるとのこと。

 

将来、追跡研究が進むことで、もっとはっきりしたことがわかるようになりそうです。

 

栄養学レビュー日本語版2022Winter「牛乳・乳製品の摂取は高齢者のアルツハイマー病を含む認知症や認知機能低下の予防要因か?コホート研究の質的レビュー」

Nutrition Review 2021 p743-757