ヨーガにおける【欲(よく)】 その3 ラーガとローバ | トウドウ (ヴェーダプラカーシャ)オフィシャル

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ヴェーダセンター代表、瞑想教師/ヨーガ哲学&アーユルヴェーダ講師、インド政府公認プロフェッショナルヨーガ・インストラクター、同プロフェッショナルヨガ検定試験官、産業カウンセラー、ヴェーダ詠唱家

欲というテーマの続きです。

 

今回は、「ヨーガスートラにおける欲」です。


1. 欲に当たる言葉


①ラーガ(rāga)「欲求、欲望、愛着」
ラーガは「欲しいと思う欲求」と「それに対する執着」を含む言葉です。これは単純に人の持つ欲求です。他人に害を加えようとするものではありません。幸福(嬉しい、楽しい、心地よい)は経験をすると、その記憶に執着を持つようになります。五感での経験をすればするほど、欲求も大きくなります。いくらたくさん持っていてももっと欲しいと思うため、ラーガは次に説明するローバに発展する可能性があります。

 

②ローバ(lobha)「貪欲、強い欲求」
ローバ「貪欲、強い欲求」は、ラーガより強い意味があり、貪欲と訳せます。これは有害な方向に人を導きます。自分に余っているものがあっても家族とさえ共有しません。世俗的なものへの非常に強い愛着です。ヨーガスートラでは、「粗暴な行為(暴力など)の原因となり、苦痛や無知の際限のない結果」を生み出すと説きます。

 

 


2. 欲の反対の言葉

①ドゥヴェーシャ「嫌悪、憎悪」
ドゥヴェーシャはラーガと逆で、嫌悪です。欲望が高まるのは、無知による間違った知識と理解力です。喜びを得ることを阻害するものがあると、嫌悪感が増します。また現在の経験が、過去の不幸な経験と結びつくと、嫌悪感が生まれます。それは苦悩の原因となります。


②ヴァイラーギャ「無執着、離欲」
チッタの動きの停止のための実践です。五感の経験や想念や感情などにとらわれていると、心は心の深み、さらには完全な静寂に達しません。完全なヴァイラーギャは真我において得られます。ヨーガでは無想三昧(アサンジニャータ・サマーディ)を得ることが第一番目の奥的ですが、そのための実践が、継続的な瞑想とヴァイラーギャです。


3. 苦悩の5つの原因と欲


前述のラーガもドゥヴェーシャも5つの苦悩の原因のひとつです。さらに生存欲求(アビニヴェーシャ)というものがありこれは聖者でさえも備えるもので、苦悩の原因となります。

 

これら苦悩の根本原因は真我に関する無知です。そこからからほかの苦悩も生じます。これらの原因は自己の根源への回帰(pratiprasava)、つまり無想三昧の経験とその確立により除去されます。

5つの苦悩の原因

・アヴィデャ(無知)
・アスミター(私がいるという感覚、自我意識)
・ラーガ(欲望、愛着、執着)
・ドゥヴェーシャ(嫌悪、憎悪)
・アビニヴェーシャ(生存欲求、自己保全欲求)

「無知、自我意識、愛着、憎悪、生存欲求が、5つの苦悩である)」(2-3)

「無知とは、無常を永遠、不純を純粋、苦痛を幸福、非我を真我とみなすことである)」(YS2-5)

「無知は、休み、弱まり、隠され、活動する。それ(無知)以降の[自我意識、愛着、憎悪、生存欲求の生ずる]場である」(YS2-4)

「自己保全本能に導かれることは、賢者も同様に備えている生存欲求である」(YS2-9)

「これら(五つの苦悩の働き)は、根源への回帰により除去されるもので、精妙な領域(sūkṣma)に(存在する)」(YS2-10) 

 

(続く)


 

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