Facebookで採用を変える人事コンサルタント日記 -3ページ目

Facebookで採用を変える人事コンサルタント日記

Facebookをはじめとするソーシャルメディアの普及によって、企業における採用活動が大きな変革のときを迎えています。
霞が関の人事コンサルタントがソーシャル採用コンサルタントに転身し、変わりゆく採用の手法やマーケットの姿をリアルにお伝えします。

昨日のブログ「企業はFacebookで学生のプロフィールを見たいのか?」が予想以上に反響が大きかったので、補足的に書いてみたいと思います。

私は現時点において採用担当者は学生のプロフィールを見にいくことを目的にFacebookを活用しているわけではないし、投稿に対するコメントが選考に影響するかどうかについて、おおむね「ない」との見解を示したわけですが、アメリカでの事情は少し(というかかなり)異なりますのでしっかり押さえておきましょう。

リクルーターは候補者のスクリーニングにソーシャルメディアをいかに活用しているかについて、Mashableから興味深いデータが発表されています。
How Recruiters Use Social Networks to Screen Candidates [INFOGRAPHIC]

このデータによると、90%以上のリクルーターは候補者のスクリーニングにソーシャルメディアを活用しており、70%近くのリクルーターがソーシャルメディア上の情報をもとに候補者を不採用(不通過)にしたことがある…などなど、ソーシャルメディアが選考活動において積極的に活用されていることが伺えます。


このデータを見て愕然とする前に、アメリカと日本の事情の違いを考えてみましょう。

①アメリカでは1.5億人のFacebookユーザーが存在しており、その数はネットユーザーの65%にまで普及しています。これに対して日本のユーザー数は約520万人で、ネットユーザーの約5.3%。当然ながらリテラシーが身についているわけではなく、感覚的には2~3年遅れている印象です。

②アメリカには日本のような新卒一括採用の文化はなく、インターンシップの延長線上から採用につながることが一般的です。一度に大量の候補者スクリーニングを行なう日本とは事情が異なります。

私は以前に外資系のヘッドハンティングファームに勤めていました。
そこで主に活用していたSNSは今日本でも話題となっているLinkedInです。業務上あるいはプライベートの人的ネットワークを広げ、強化する上で欠かせないツールでした。当然ながらそこではリクルーターとして候補者のスクリーニングを行なっていたわけです。
これは中途市場でのお話。しかもプロフェッショナル領域です。


今後、望むか望まないかは別として、アメリカのようにSNS上で候補者のスクリーニングが一般的に行なわれるには、上記①と②が解消されることが前提となるでしょう。つまり、流行ではカバーできない「時間」が必要なのです。
具体的には、日本全体にソーシャルメディアの活用におけるルールやリテラシーが確立され、新卒一括採用の文化が崩壊するとき。


就活でソーシャルメディアを活用することのメリット、デメリット。
就活生の皆さんにとって、メリットを上回るデメリット(懸念)って何なのだろう。。
今日は学生向けに書いてみようと思う。

このところのソー活ブーム?の中で、頻繁に新聞やテレビの取材を受けるのだが、記者から必ずと言っていいほど聞かれるのが「企業人事はFacebookで学生のことを調べたりするんですか?」ということである。
この質問に関しては、なぜかしつこく聞かれることが多い。「そうですね。調べますね。」と答えない限りずっとその質問が続きそうな気がすることもある。きっと学生側の関心も高い事柄なんだろうなあと思う。そして煽りたいんだろうなと。
Twitterやmixiでの不謹慎な書き込みによる内定取り消しなどの報道が、必要以上に学生を神経質にさせている。

で、答えは…なんとも言えないわけだが、ほとんどのケースにおいて現時点ではNoと言えるだろう。

現時点において企業がfacebookに期待することのNo.1は、学生に対する情報の発信である。
静的なwebサイトでは伝えきれない企業の側面やハイライトをタイムリーに学生にキャッチしてもらいたい…というのが偽らざる本音。
そこから先、実際にいいね!を押してくれた人のプロフィールをざっと眺めることはあっても、その人のウォールや詳細な情報を見に行くことはほとんどない。

ほとんど…というからには、時には詳細を見に行くこともあることになるが、その情報を見たところで何らかのアクションを起こすような社内ルールの整備もなければ余裕もないので、ざっと見て終わりである。いいね!を押したからといって、学生のデータが一覧表で出力されるわけではない。

きっと学生のアクションも基本的には同じでなかろうか?コネクションサーチでOB,OGを検索して…。ごく一部の学生はアクションを起こし、その他大勢は何もしない。ただ、見てみるだけ。

少しずつ就活生のうごきが出てきたように思うが、新卒採用のFacebookページの投稿に対して「いいね!」の数は増えてきたが、コメントが入ることはほとんどない。たまに入っても、就活支援会社や社会人のカキコミがほとんどだ。

就活が本格化する過程において学生からの積極的なコメントが入るのだろうか?

実際には、ほとんどの企業は学生からのコメントを待ち焦がれている。
私は現在運用されているFB採用ページのおよそ10%に関与しているが、基本的に人事の皆さんはひたすら"待っている"。

就活生のあなたにはコメントを入れる勇気があるだろうか?

もし勇気を振り絞ってコメントを入れたとしよう。きっと企業側は跳び跳ねたい衝動をグッと抑えて、あなたのコメントにいいね!やコメントを返してくれるはずだ。

しかし、その行為が良くも悪くも選考に影響することはまずナイと言っていいだろう。

といいつつも、あなたが採用面接までこぎつけることができて、「あのときFacebookにコメントさせていただいたのは私です!丁寧にご返答いただきありがとうございます!」と言われれば、悪い気はしない…というか、むしろ嬉しい。
もちろんコメントの中身は大事だが。。

就活生、採用担当者のソー活元年の苦悩はしばらく続きそうだ。



Android携帯からの投稿
本日のNHK「おはよう日本」で2013新卒採用における2ヶ月遅れの採用・就職活動に関する特集がありました。編集の方向性としては、企業と学生の双方に戸惑いが…といった内容です。
私もちょこっとだけ出演させて頂き、Facebookの口コミ効果についてお話させて頂きました。

さて、今日はFacebook採用ページ、とりわけ中小企業のページはどうすれば学生に認知され、盛り上がるのか? について、大阪へ移動中の新幹線からお伝えしたいと思います。

今日現在、すでに320を超えるFacebook新卒採用ページが立ち上がっています。
昨年と比較するとその業種はさまざまで、今後も更なる広がりが見込まれています。

では、その盛り上がり具合はどうか?というと、企業間でかなりバラツキが見受けられます。
倫理憲章による影響もあって、まだ就活生は本格的な就活モードに入っておらず、全体的に低調な滑り出しと言えますが、やはり知名度の高い有名企業にたくさんの「いいね!」が集まっています。
この反面、知名度の低い中小企業の多くが苦戦している様子で、ファンの数が100名はおろか50名にも満たないページが多く存在しています。

「結局のところ、ナビサイトと同じ人気投票じゃないか?」という声が聞こえてきそうですね。
ところが、中小企業の中にもたくさんの「いいね!」を集めているページがいくつか存在しているのです。

一体なにが違うのでしょうか?
きっと、Facebookにお金をかけて立派なコンテンツに仕上がっているからでしょう?
まず、このような声があがってきそうです。学生の興味を惹くようなコンテンツを用意すれば、自ずといいね!が集まる…ある意味正しいかもしれません。
ここで言うコンテンツとは、Welcomeページの見栄え、インパクト、その他のタブページによる社員紹介などを意味することになるのでしょうか。もしくは、ウォールに展開する記事そのものを指しているのでしょうか。

では、それだけでファンの学生が友達を呼び込んで盛り上がるFacebookページになるのでしょうか?
答えはNoです。

ひとつの傾向としての事実をお伝えしたいと思います。
規模は小さくとも多くのファンを集めているFacebook採用ページの多くは、ベンチャー企業に集中しています。
ベンチャー企業はもともとITリテラシーが高いからソーシャルメディアの活用の仕方を知っていて…だからFacebookページに学生が集まるんだ!という声。
残念ながらこれは答えではありません。

彼らの多くは採用担当である・ないに関わらず、すでに数多くの学生との接点を持っています。リアルな場で築いた接点をソーシャルメディアで紡ぎ、ソーシャルメディア上での接点をリアルな出会いに繋げています。
つまり、個として学生と接点を持ち、その企業の採用Facebookページを応援したいという思いを持った学生ファンを既に獲得しているのです。

ソーシャルメディア上で影響力を持ったインフルエンサーと呼ばれる学生たちの影響力は絶大です。どんなに優れたコンテンツよりも大きな拡散力を持っています。

従来の大手ナビサイトのような感覚で学生が来てくれるのを待っていても、決して彼らは来てくれません。
ラクをしてファンを獲得できるほど、ソーシャルメディアは甘くないのです。

幸いソーシャルメディア上には、たくさんの学生との出会いを提供してくれる場があります。そして、その場はリアルにも存在しています。

ソーシャルメディアを活用した採用を成功させたい!
本気でそう思うのであれば、自分たちが学生に会いにいくだけの行動は不可欠です。その姿勢に共感を示す学生は必ずソーシャルメディア上で反応を示してくれます。

今ならまだ間に合います。
Facebookページ左下の「いいね!」の数を嘆く前に、ほんの一歩踏み出してみませんか?