ジャワ島伝統芸能について
本日はジャワの伝統文化についてお話いたしましょう。
まずは世界無形文化遺産、影絵芝居ワヤン・クリッでございます。↓
世界には様々な人形劇がございますが、このワヤン・クリッはスクリーンを用いて人形の投影を観客に見せるという方法を採っています。こうすることによって平面的になるという短所はございますが、代わりに人形の操り手が目立たなくなる、大きなセットがいらないという長所が生まれます。
こちらは日本の人形浄瑠璃。黒子さんが複数人で一つの人形を操っております。ワヤン・クリッとはまったく正反対のコンセプトの人形劇でございますが、どちらも素晴らしい伝統芸能であることに違いはありません。
ワヤン・クリッの人形の製作現場でございます。野牛の皮を材料にします。強く曲げても折り畳めないほど丈夫な素材でございます。
目を見張るほど精巧な模様が刻まれた人形。それをさらに色付けします。
ワヤン・クリッはヒンドゥーの神話を描く芝居でございますから、古代インドの神々や伝説の動物といったものがこうして美しく表現されるのです。
イスラム教徒が大半を占めるジャワにおいて、このような人形芸能が今も息づいているというのは歓心するべきことでございます。イスラム教は映像表現というものを嫌いますから、例えば預言者ムハンマドのエピソードを芝居にするということができないのです。一方でヒンドゥー教は神話を映像化するのが大好きで、いつぞやインドで「ラーマヤナ」がテレビドラマ化された時は国中のヒンドゥー教徒がテレビの脇に花を飾ったり、番組放映中ずっとひれ伏せて祈っていたり、その影響で臨時休業する企業が相次いだりという社会現象が起こりました。
ちなみにワヤン・クリッのような人形劇は、東南アジア一のヒンドゥー王国があったカンボジアにもございます。こちらもポル・ポトの原始共産政策という悲劇を乗り越え、世界無形遺産に登録されています。
↑の人形工房の近くに、アートバティックの工房もございました。
ジョグジャカルタはバティック(ジャワ更級)の名産地でもございますから、こうしたショップ兼工房が王宮周辺にたくさん並んでおります。
この度立ち寄ったショップは「地球の歩き方」にも載っている「セノ・バティック」というお店。マスターがアントニウスという洗礼名を持つ、カトリック信徒でございます。わたくしはあなたの兄弟ですと打ち明けると、大変に喜んでくださいました。ジョグジャカルタでも、カトリックは少数派宗教でございます。
最後の晩餐を描いたバティック。
こちらはクリスマス。わたくしはこの作品を買いました。アントニウス氏が同じカトリックのよしみで勉強してくれました。
十字架のイエス様。日光に照らすと、本当に自分がゴルゴダの丘の前にいるのように感じます。
「セノ・バティック」は、福音書をモチーフにした作品をたくさん置いています。参考までに住所を記載して置きましょう。
Matrijeron Mj.1x/36 Tel (0274)374-654
セノ・バティック Seno Batik