保護のこと 許可のこと | triiiiiico!

保護のこと 許可のこと


元は2月に書いた記事ですが

季節的に保護した人をよく見るようになったせいか

許可証とは?

何の申請?

そんな簡単に許可が出るの?

みたいな疑問を最近よく見かけるようになりました。


自分も当初は

調べても出てこない許可証っていったい何?

どこが何の許可を出してるんだろう?と

あちこち問い合わせたり調べたりしたので

あくまでうちの場合の一例ですが少し加筆しました。





今までそんなに気に留めたことはなかったけど
ろいろいを保護してからは
カラスを飼っている人は多いのだなと気づきました。

Jungle Crowなんて英名がついてますが
ハシブトガラスがいるのは
緑深いジャングルではなく
こちらの地域ではどちらかというと
人家やビルの周囲のヒトのテリトリー内。

巣立ち雛は拾ってはいけない
手出し無用というのは
かなり浸透してきているように思いますが
それが怪我をしていたら…
他の生き物の糧にもなるので
やはり正しいのは手出し無用ですが
大きな葛藤が生まれるところでもあります。

雛を巣に戻してやるとか
付近の安全な場所に移動してやる
その為に触ることは
違反や捕獲や保護には当たりませんが
抱卵中や育雛中の巣を移動するのはダメです。
壊された巣の代わりに近くに仮巣を設えるのは
現状の回復に努めているので移動には当たらない。


オーストラリアのカランビン・ワイルドライフ病院では
健康なひな鳥を捕まえて親鳥から離してしまう行為を
誘拐(kidnapping)に例えて
バードナッピング(birdnapping)と呼ぶそうです。



基本は野鳥には手出し無用ですが
鳥種や猟期によっては
保護してのリハビリ&リリースや
保護飼養が可能になるケースもありますし
傷病鳥獣保護飼養ボランティア制度や
野生動物リハビリテーター制度があり
そういった制度が稼働している都道府県もあれば
あっても募集をずっと休止(事実上廃止?)している都道府県もあります。


鳥獣保護に関わる担当部署は
名称というか管轄がまちまち(自然環境課とか農林水産課とか畜産課とか農業振興課とか)なので
『住んでいる都道府県または市名+野鳥保護』で管轄の検索を。


傷病個体の飼養に関しては
約30日以内にリリース可能であれば
特に許可は必要ないけれど
担当部署に連絡はしておくようにと
野生鳥獣保護ハンドブックには記されています。
あくまでも傷病保護での30日であって
誤認保護は含まれません。

ここらへんがもしかしたら
「電話で申請して許可をもらえた」「申請済み」
みたいな解釈のされ方になるのではないのかなと想像。

30日というのは
許可を申請したとして
飼養する許可がおりるまでにそのくらい要することが目安だそうで
私も飼養登録が完了して許可を証明する文書が返送されるまでに
ひと月程かかっています。

このひと月ルールも
もしかしたら都道府県によっては
30日以内の一時保護であっても
容認しないというところもあるかも知れませんが


👆黄ラインの部分からきているのかな?

リリースに30日以上かかる
またはリリース不可能となった時に
飼養登録が必要な場合が出てきますが
これも都道府県により
飼養登録も許可しない場合もあります。

愛知県では保護治療期間中は 短期保護飼養の連絡票 を発行しているようです。


メジロの飼養登録票(規制前登録済の更新のみ、新規登録不可)
有害鳥獣捕獲や駆除をする際に受けている許可証
学術研究の為の許可申請等とは異なり
愛玩目的であっても
保護目的であっても
「飼育許可証」という名称のものは存在しないので
ないものを正式に書面で許可しようがなく。
=飼育不可ということになると思うと解釈しているのだけど
=許可不要=飼えると解釈している人もいるようです。

なるべく許可、飼育許可証という存在しないものの言葉を使わないよう本記事を書こうと思っても、ハンドブックにはそう書いてあるという💧

自分もついそう言ってしまいがちですが
「飼育許可あり」「飼育許可証がある」と言っているのは
何らかの別のものを伝わりやすいよう
広義でそう呼んでいるのかなと推測します。


保護対象の鳥獣であれば
行政へ連絡して指示を仰ぎ
保護施設へ持ち込みか引き取りかで
該当施設や協力病院、NPO
または保護ボラ等に託されます。
交通事故等の状況や状態によっては
野生鳥獣救護ドクターの診療が受けられます。
指定病院や野生鳥獣を診ますよと公言している病院では
診察も治療も受けられるし
そのまま受け入れをしてくれる場合もありますが
野生鳥獣を診ますよと公言していない病院
特に鳥を専門的に診ている病院では
野鳥は診てもらえない場合が多いです。
鳥インフルエンザの季節以外であったり
飼育して数年経過している等
例外的に診てもらえる場合はあります。

「野鳥はタダで診てもらえる」というコメントもたまに見かけますが
今後も保護していくかまだ決めかねている初診のみであったり
あくまで獣医さんの好意であったり
指定病院だからであったり。
野鳥であっても通常の診療料金と変わらない場合の方が多いかと思います。

駆除対象である害獣、害鳥は
基本的には救護保護の対象外なので
傷病鳥獣保護施設への受け入れも基本的には対象外です。もちろん動物園も。
※税金をかけて(有害鳥獣捕獲の許可があった上で)駆除しているものを保護するのは矛盾が生じるため。
施設によっては
預けることが出来なかったり
預けることが出来ても
元いた場所とは無関係な場所に放される可能性もあったり
駆除対象の有害鳥獣であれば
そのまま捨て雛や駆除コースの可能性もあると聞きます。

有害鳥獣なので
そのまま焼却炉コースという地域もあると保護員さんから聞いた事がありますが
さすがに今の時代にそんな非人道的な事はないと信じたい…けど
やっぱり地域によっては役所へ連絡したばかりに
捨て雛や即駆除とも聞きます。
もちろん適切に放野されている例もあるでしょうし
保護対象でなくても引取ってもらえた例も聞きます。
施設によっては保護対象でなくとも
人間活動の影響で傷病を負った場合は
野生に戻すための
一時的な救護治療をしてくれることもあるよう。

希少種の保護となると
別途法的な手続きも更に色々とありますし
保護ではなく捕獲となると
狩猟許可証や猟期も関係してきます。

どこの都道府県でもだいたいは
イノシシ・ニホンザル・ツキノワグマ・ニホンジカ・ハクビシン・タヌキ・アナグマ・キツネ・アライグマ・アメリカミンク・カルガモ・スズメ・ムクドリ・アオサギ・ハシブトガラス・ハシボソガラス・ノイヌ・ノネコ等は救護対象外と挙げられていますが
リハビリテーターの施設では
上記の鳥獣の一部も受け入れているようです。

施設によっては
鳥インフルエンザのリスクがある種(カモ類・サギ類・カモメ類・カイツブリ類・クイナ類・フクロウ類・タカ類・ハヤブサ類・カワウ)の受け入れはしていない場合や
都道府県によっては
その地域で保護された鳥獣しか受け入れていないこともあります。


「野生は野生のままに」を基本的な考えとした
対応マニュアルや返答ベースはあるものの
体感では実際の対応は都道府県や
応対した人によって
かなりバラつきがあるように思います。

ろいろいは
駆除対象であり狩猟鳥獣の
害鳥ハシブトガラスなので
本来なら行政による救護保護や飼養登録制度の対象外です。
保護当初はリリースを前提に
基本的な世話以外は
極力関わらないよう
名前もつけないようしていましたが
治療も通院も長引き
30日も過ぎつつあるし
怪我が治らないとリハビリまでいかないし
食餌の自力摂取がしっかり出来ていなかったり
飛ぶことができなかったりで
複数の獣医さんの
リリースは不可能または厳しいとの見解等もあり
紆余曲折あり
月日もかかりましたが
放野不可個体として行政への飼養登録も出来て
終生飼養する事が認められています。


保護してからは電話でのやりとりで
現況や受診歴等の報告は時折していました。
その期間は「申請済」としていました。
申請とは許可を求める事であって
許可が出ているという事ではないので。
ネットでよく見る「飼育許可証」についても聞いてみたことはあり
その際はあちらも
「そういったものはないはずですが、調べて折り返します」と連絡をくれたり(飼育許可証という名称のものは存在しないとのお返事でした)
最終的には年月も経ちこちらの状況も変わり
電話の向こうの人も変わり
他にも色々条件はあるのですが
「飼養登録出来るのでしましょう」とお話をもらい
登録用紙を送ってもらうこととなり
何度か書類のやり取りをしました。

登録用紙には個体の情報と共に
リリース不可能という獣医師の診断や見解
かかった病院名等も記入します。
動物取扱業を申請する時のような
飼養施設の平面図も書きます。
現在は施設写真が必要になっているそう。

繰り返しますが
「飼育許可証」という名称のものは存在しないと行政にも確認済で
私が受けているものは
保護飼養登録が完了しましたという決定通知書と
これは違法飼育でない証明となるので失くさないようという通知書の2つの文書です。
ついつい言いやすいように伝わりやすいように言ってしまいますが…

飼養登録された狩猟鳥獣のスズメやタヌキにも
更新の必要な登録票が発行されている場合もあります。
ろいろいは登録票という形ではなく
終生飼養登録なので更新もありません。(後日、口頭でも確認済)
放野、死亡したら届け出なければいけないので
その際に提出する用紙も同封されていました。

「申請」という言葉も保護関連でよく見聞きしますが
こちらの行政では
登録は申請という制度ではなく申立てなので
保護飼養に関する申請書類というものもありません。



一部抜粋


全書類や全文は載せませんが
許可に関わる文言も【基本的な考え】がベースとはいえ
自然の多い土地柄からくるものなのか
やや愛護寄りな気がします。
大都市の方が厳しいような気もするし
本当なら田舎だから都会だからで
ブレがあっていいことではないのだろうけど
多少それもあってのことなのかなと思われます。



自治体で役所の対応が違ったり
許可が出たり出なかったりするのは
こういうところからなのかな




終生飼養であっても
野生動物は野生動物として接するという人もいますが
我が家では屋外禽舎ではなく 
生涯ヒトや他の愛玩鳥の住まう家の1室での飼育なので
屋内飼育の満足度を上げる為
ストレスなくお互いつき合っていく為
愛玩飼養の接し方
「うちの子」の接し方をしています。


現在、私の住んでいるところでは
【目の前で傷つき苦しんでいる動物を助けたいと思う、人としての自然な心を大切に】
という考えの元に
【「野生は野生のままに」と、愛護よりも保護の立場を優先する】
けれど
【人との関わりで傷ついた傷病鳥獣は救護保護の対象、自然の営みの中で傷ついた傷病鳥獣は「野生は野生のままに」を適用】
という【基本的な考え】を強く示しています。

なので
巣立ち前頃と思われる週齡でありながら
交通量の多い横断歩道脇で骨折衰弱していたろいろいは
保護時の状況(写真記録してあります)も多少含めての許可と解釈していますが
本来は人との関わりで傷ついた傷病鳥獣にも
害鳥・害獣はとされる鳥獣は含まれません。



こちらは和歌山県のやまうえ動物病院のHPですが


とてもわかりやすいですね。



野生鳥獣の保護は
個々の気持ちや感情よりも
個体よりも種としてを
種だけでなく生態系ベースを
優先に考えて対応していくようにすべきなのだろうし
今後はそう法整備されていくのかなとは思います。

傷病に限っては飼養登録と終生飼養が
保護したものの原則にならないかと思いもしますが
家畜化されたペットよりも扱いづらい野生動物の飼養にも
ペットでも多い「捨てた」「逃した」等が出てくるだろうから
そこを固定するのは難しいのだろうな。


日本獣医学会 Q&A のタヌキの項ですが
放野についての問題にも触れられています。




本記事はあくまでも我が家の一例
私の知っている事であり

狩猟鳥獣の飼育許可の要否を問うものでもなく

必要ないものの保護を推奨するものでもありません。


傷病鳥を一定期間内の一時的な保護にとどまらず
生涯保護飼養をするならば
飼養登録をすれば可能だけれど
何の問題もない個体を
ただ飼いたいだけ(愛玩目的)で飼養登録はできません。

保護や捕獲、許可や登録等に関しては
お住いの地域の担当部署とやり取りなさって下さい。




↑とてもわかりやすくて良かったのですが

ページが変わって内容も少し変わっています💧

傷ついた野生鳥獣を見つけたら/新潟県 






カラスに関してはまずここを見て下さい‼ /カラスのクッピさん



カラスを保護する勇気と葛藤 /NPO法人札幌カラス研究会