それは 大根 と呼ばれた男の人情活劇
(…というテーマらしいです)
「帰ってきたバスジャック」
あらすじ
バス会社に勤務する小宮(遠藤章造)は
仕事のミスにより、クビの危機になるも
同僚の提案で、ツアー演出を盛り上げる
役割を与えられ、ワンチャンでバスジャック犯に
なりきる役割を与えられるが
…ところで本作、続編なんですね
前作パート1あったんすね
主演 遠藤章造(ココリコ)
出演 森三中黒沢
フットボールアワー岩尾
その他 小沢仁志、ジミー大西
荻野崇、ほんこん
監督・藤原健一
前降り
「帰ってきたぞ~🎵帰ってきたぞ~
ウ ル ● ラ ● ン~🎵」
一度聞くと脳内で流れる昭和の特撮歌を
彷彿とするネーミングなんでしょうか
…というのも作品自体2014年に前作が一応存在し元が単館一週間上映且つ、当時が記録的大雪だったとはいえ、蓋を開けたら関係者以外観客が居ない何とも不吉なガランガラン
同年「笑ってはいけない」内でDVDランキングが完全な圏外と自虐ネタで弄った結果、知名度がうなぎ登り、年明け頃には急激に順位を延ばしたとか(でも圏外)
この怪我の功名により2016年に続編が製作、翌年17年公開、まさかの2作目こと今回の上記↑ですが、蓋を開ければあっ察しな結果(上述の様なハプニング無しにも関わらずですが現実ですハイ)。
…そんな本作、今になって観るきっかけとなったのは数ヶ月前ガキ使「佐藤次郎に聞く100の事」クイズ企画内にて
「ガキメンバー中一番大根※1なのは?」
と次郎さんに質問した際
「ダントツで遠藤さん」と公言
佐藤次郎さん本人の経歴上、出演作品を
モノにしかねない存在感がある故
「怒りを覚える程」※2とここまで言わせるとは…という検証の元、糞大根の肩書を持つ陣内智則と
大根役者決定戦と称した演技対決にて
どうみてもトイレで気張ってる様にしか見えない遠藤さんや🈲玉を蹴りあげられ悶絶する陣内さんの表情とかは腹筋トレーニングに最適
※1.逆に好評価は浜田&田中、残り三人は本人曰くひざまづけ
※2.御氏曰くバスジャック観てない為、別の作品を示してる説
只、芸人さんをドラマや映画で役をやらせると案外他の出演者に負けず劣らずの演技を披露される事が多く、タレント声優なんて言われてもいざ耳にすると案外悪くない等、「二時間ドラマあるある」本にも触れられてる。
…しかし不思議な事に陣内さんや遠藤さん等例外が要ることが証明されたが
遠藤=大根と結論付けるには、上述と「ガキ使鑑賞会」で定着したイメージによる前提だけでは極端なので、今回のレポートの本題。
「果たして遠藤は言う程
大根なのか?!」
…というテーマを踏まえながら本作共に自身の目で検証する為、DVDをレンタルしましたよ。
お笑いではなく邦画コーナーに紛れてスッゲェ見つけにくかったけど(因みに前作は地元のTSUTAYA棚に置いてませんでした)
本編
さて本作、二作目という体ですが、正直前作を観てなくても単体だけで成立する作りになってます
開幕早々、上司から叱られる小宮(遠藤)のくだりですが、何処にでもあるありふれた日常光景で、仕事でヘマをして崖っぷちに立たされる冴えない会社員の立場を描く場面として機能しています。
本作の流れを述べると、失態によりクビの危機に陥った小宮が教育係からの助け船でドッキリミステリーツアー企画※の主役に抜擢されるワンチャンに恵まれるも乗り込んだバスでトラブルがあったのだからさぁ大変
※題名バスジャックの事
本作のジャンル「なりすまし」型のコメディで
オープニングから目的も提示される導入部としては機能されていますが、あらすじから解る通り話はシンプル且つ定番のストーリーパターンに乗っかった作りで一応、ミステリーツアーという名目と一癖二癖のある観客等の設定は「オリエンタル急行殺人事件」を連想させますが
舞台が映画的だった豪華列車のアチラとは違い
コチラは一台のバス🚌内で起こる対比から語ろうとしている事は非常に小さな話。
映画としてスケールが小さな印象が正直拭えず
TV向けだったりしますが、結論を先に言うと単体の作品としては悪くはなく、まとまりのある作りにはなっています。
…只、主人公の小宮扮する遠藤さんの演技プランが冒頭から早くも違和感を感じさせる作りとなっており、まず主人公の特異体質である歯痛の設定
。
コレは前作から引き継いでる設定みたいですが
「なりすまし型」プロットを成立させる以外の役割を機能しておらず、虫歯でもないのに何故歯痛が起こるかは最後まで見ても解明されませんが、あくまでバスジャックが来た!と周囲に認識させる為で顔が本物に見えて怖い故の歯痛設定みたいです。
…只、開幕早々出落ちといいますか…遠藤さん本人の演技プランもあるやもな歌舞伎(又はミュージカル風とも)風を意識されてるのか
喜怒哀楽のリアクションが度を越えて誇張した感じになっており、具体的には「ワザとやってんの?」的な画でどうぞ物真似して下さいといわんばりに芝居がかってます。
恐らく本人なりに役をシミュレートとしての
ゾーンに入った結果とも言えますが、無論演技の世界において役に没入する必須なテクですが
見方を変えるとソレを通り越して自分に浸り過ぎて現実と理想のギャップに気付けていない陥りがちな状態になってる節があり、後にガキ使内でクサイと弄られた要因とも言えます…
…しかし、この一見とってつけた感じが
主人公小宮のうだつの上がらない社会人の人物像に上手く収まっており、前述の冒頭で上司に叱られわしどろもどろになる様があるある式にリアルに居ても不思議でないバランスで
中盤「このバスは俺がジャックした!」と言うと、貴方本当にバスジャック犯なの?と疑われて焦ってしまう等、演じている筈が演じ切れず素の自分が出てしまう
要は性能は悪いけど真面目でいい奴感が出て
上述した一見マイナス的印象は実は敢えての物だとプラスに変換させます。
余談ですが、ロボコン的駄目ダメ主人公が好きな人には共感させる要素は強く、特に終盤のある人物を説得させる場面は、冒頭で叱られた小宮自身の立ち位置の対比となっており、ガキ使で最近方正さんより移行してきた節のある遠藤さんならではのダメ人間的な弄られ属性が強く反映されてるので、遠藤さんを二作連続でチョイスした意味があると確信。
…なんですが、例の歯痛に関して正直とって付けた様な印象が拭えません。具体的に顔の筋肉がシャクレ過ぎて逆に嘘臭い印象を与えるあからさまな仮病感
例えると、嘘ついてまで蝶野ビンタを回避したがる月亭方正的な感じ(^-^;
あと歯が痛いというよりは
異性からビンタを喰らった様にしかみえない(^-^;
コレは演出=作り手側の問題なので、遠藤さん一人の責任とは 証明出来ません(もっと言うとこの顔になる際の効果音&演出が恐ろしく滑ってて恥ずかしいですが)。
一番問題なのはバス内という撮影環境が限られたシチュエーションというのもありますが、カメラのアングルが全体アップの一人称視点に偏り過ぎてる点があり、例えば人物同士が会話する緊迫な場面にも関わらず画面に映るのは一人アップの表情だけで向き合ってる筈の相手の顔が見切れて、喋る人物が変わる度に顔面アップをいちいち切り替わるカットアングルは正直クドい印象を与えます。
そのくせ会話の内容と直接関係のない人物が棒立ちのまま映り混む等、緊張感のある筈がまるでNGシーンを観てるかの様な間抜けな要素も混ぜ合わりになります(因みにバックに映り込んでる遠藤さんの表情のカッコつけ具合は確かなクサさはあります)。
ここはアップの合間に対話してる人物同士のみに視点を集中させる様、横から撮るべきだったのと一番の見せ場である、ある人物…というか真犯人を説得させる際に発する小宮の一声は犯人の全身からカメラが徐々に小宮の姿を映していけば場面の説得力は成立出来た筈なので、その辺は惜しいと言わざるを得ませんでした。
割りと豪華面子に馴染むゲスト達
本作は割りと経歴の長い役者も出演されており
本文では全員を紹介仕切れない為、紹介はいくつか抜粋になりますが
カメヲ出演でヤクザ風の男役が小沢仁志さん
龍が如く0での久瀬役の印象が強く役所はまんまな印象(^-^;
同じくカメヲ出演であるジミー大西さんと絡むシーンがありますが、実は元々ダウンタウンのお二人が出演予定だったもののお蔵入りとなった為
ひとし+筋肉💪繋がりで松本さん代理→小沢さん
顔のパーツ繋がりで浜田こと浜ちゃん→ジミー
…との図式なので、小沢さんの役割は昔、浜田雅功主演「明日があるさ」での松本さんの本筋と関係ないけど妙に印象の残るアレのオマージュなのと
二人がヤケに絡むのはダウンタウンとしての
組み合わせが予定されていた場面故の名残ですがその結果ある伏線以外のミスリードとしての意味がなくなってるし、そもそも論ポスターにドンッとキーキャラ風に出しといて本編で二人をあんだけしか使わないのも如何かと(^-^;
それとヤクザの組長役ほんこんさん※の部下役が荻野崇さん仮面ライダー王蛇こと浅倉威の人であの強面のビジュアルをそのまま持ってきてるので台詞こそ少な目ながら存在感でいえばほんこんさんよりも本物でした(^-^;(シャンゼリオン時の面影はなかった)
※ルックスはヤクザというより一昔前のマフィア
あと本作でヒロイン役に設定されてる
小宮こと遠藤さんの教育係役が森三中・黒沢さんは芸人時のイメージからネタ的印象がまず付きましたが、蓋を開けるとリアルな職場に居そうな面倒見の良い先輩として演技をされて人間見た目でなく中身だと機能され
同僚役のフットボールアワー・岩尾さんは
あの独特なダミ声から正直遠藤さんやほんこんさん以上に難を感じる演技ですが、堅い印象の強い社会物のドラマでは以外と憎めないキャラとしてハマってる(個人的にうっかり八兵衛を連想しましたが、水戸黄門の名を出して通ずる世代ってどのくらい?)印象でした。
その他、ガキ使プロデューサーでお馴染みだった菅賢治さんの息子、菅裕輔さん初めて観ましたがお父様そっくりの顔付きでした(^-^;
まとめ
映画としてのスケール感が小さな印象と
後半一人称アップに依存したカメラアングルや一部演出を除けば、起承転結の作品としては成立している作りで、結果として失敗作扱いのレッテルを貼られてるものの作品単体としてみた場合、そこまで悪くは感じませんでした(宇多丸師匠の影響で中身が酷い作品も観て慣れたのもありますが)。
というのも、一時間弱だった尺の潔さにあり
コレで90分、最悪2時間だったら水増し作品として終わってたやもな
バスの乗客役を演じた役者様方の一癖二癖のある面子に異物として放り込まれた遠藤さんのキャラ設定にも以外とマッチされてツアー旅行の雰囲気はそれなりに再現されていた方
雰囲気としては松竹映画を意識しつつ、吉本新喜劇的でもある、けども映画的などんでん返し的な事件が起きないカトちゃんケンちゃんでもある
地味な作品ではありますが、私個人評価とは別に嫌いになれないし割りと好きだったりします(個人的にBGMはどれも好みの類なのでサントラがあれば買い取りたい程(^-^;)
何より、ネタにされたガキ使映画観賞会を本編後に観ると数倍楽しめますし、もし禁断の三作目があれば、DVD又はBD用の特典に…
結論
押すと「クサッ」と鳴る
クサイボタンを付属してくれたら
喜んで定価で買いますとも!
お勧め度 ★★
お気に入り度 ★★★★