立川再訪 | JOKER.松永暢史のブログ

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16日午前また立川へ。

通勤快速がない時間帯で、一度も通過待ちすることがなく、およそ20分で到着。

出たところのロータリーの上に、赤川BONZEの「風に向かって」の銅版彫刻作品がある。

大きな飛行機の模型を両手で掲げた少年が今にもそれを発進させようとする姿。なぜ立川駅前は飛行機なのか。誰がこれを依頼したのか。

階下に降りて、駅舎西側の高層ビル「タクロス」1階の市役所サービスカウンターで「ファーレ立川アートガイド」と「ファーレ立川アートマップ」を入手。

立川駅北口の100以上の彫刻作品のある場所を示す地図である。

予め用意した肩掛けバンドを鞄に装着して、ズボンの右ポケットに老眼鏡を、左ポケットのサングラスを入れる。

地図を手に歩き始めるが、これは「順路」はなく、至る街角に点在していて、中には作品かどうかわからないものもある。

地図の字は小さく、いちいちメガネをかける必要がある。地図に番号はついているが、番号欄には作者名しかない。そして、実際作品前にはなんの表示もない。これは一種の「ポリシー」らしい。確かに題や名札があるとダサいことが多い。

だが楽しい。いったいどこのヒマ人がこのようなものを造るのか。作者の顔を想像するだけでも楽しい。

いくつか見ているうちに不思議なことに気づく。それはほとんどの作品がダサくなく、そこにあって然るべきであると感じられることである。

実はこういうことは結構難しい。よく駅前の植え込みなんかに造形作品があるが、なんのためにあるのかわからないものが多い。彫刻作品も平凡なことが多い。これはこれを選択した者の芸術眼が低いかテキトーであるためであろう。

でもここでは違った。不思議なくら「ダサい」と感じられるものが少ないのである。誰が選んだのか。それが気になる。

なんとラウシェンバークの自転車もどき作品もある。

10人ぐらいの小学生を連れた先生かガイドさんが、一つ一つの彫刻の味わいを楽しませて教えている。素晴らしい光景だ。この子どもたちは幸福、いや幸運である。

そして、頭上モノレール下2階部分にある「Green Springs」へ上がって見ると、そこは驚きの緑とレストランの広々とした空中庭園で、池や「川」もある。いったい誰がこんなことを考えたのだろうと驚かされた。北向きイケヤのある方へこの空中庭園をずっと歩いて行くと、最後にカスケードの長い階段があり、それを上り切ると、そこにも植え込みがあり、その向こうは道路を隔ててイケヤの建物。おそらく目的物はその壁下にあると思われるが当然見えない。さらに西に向かって歩くと、昭和記念公園の緑と多摩の山々が見渡せる絶景スポット、「スカイデッキ」があった。階段状のベンチでゆっくりしている人たちの前を通り、景色の良さそうなフレンチバーの前を通ってエレベーターで地上に降りる。ともあれこの「構想力」は並々のものではない。

最後に目的のイケヤ向かいの道路沿い植え込みの中にある、赤川BONZE作品『3人の楽士』の前へ。

木の切り株の上で、クラリネット、オーボエ、ファゴットの3人の楽士が演奏する姿。

これは素晴らしい。「芸術の勝ち」である。

演奏者の顔と構えが良い。そして楽器の精密さ。おまけに靴の紐はまるで本物のようだ。思わず手で触るともちろんそれは硬い銅の針金だった。

具象であるが何度も見て見たい。その魅力の秘密は何か。強い興味を持ってしまった。