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1. The Hut On Staffin Island/Sandy MacLeod Of Garafad/The Soft Horse Reel
2. There Was A Lady
3. Gile Mear
4. Gracelands
5. When Barney Flew Over The Hills
6. Leaving Brittany/The Pernod Waltz
7. An Seanduine Doite
8. John Cunningham's Return To Edinburgh/Heather Bells/The Bell Reel/The Limerick Lasses
9. Ur-Chill An Chreagain
このグループはスコットランドの「シリーウィザード」と以前アルバム紹介をしたアイルランドの「ボシーバンド」の2人づつがメンバーである、いわゆる汎ケルティックとも言えるバンドです。
但し、純粋なトラディショナル・バンドではありません。そこから派生したコンテンポラリー・ミュージックととらえないと失敗します。
さて、メンバーは次の4人・・・
ジョン・カニンハム(Johnny Cunningham) - Fiddles
トリーナ・ニ・ゴーナル(Triona Ni Dhomhnaill) - Vocals, Clavinet
ミホール・オ・ドーナル(Micheal O Domhnaill) - Vocals, Guitars, Keyboards
フィル・カニンハム(Phil Cunningham) - Accordion, Keyboards, Whistles, Bodhran
メンバーのうちトリーナとミホールは兄妹です。また、なんとジョンとフィルも兄弟!
なお、名前の日本語表記には賛否両論あってどれが本当に正しいのか良くわかりません。兄妹でも男女、結婚している・してない等で冠詞や読み方が変わるようなのでむずかしいです。恐らく発音に一番近い形でのカタカナ表記が正解!という事になるのでしょうが文字とはかなり異なる読み方になったりするので ・・・とりあえずお手上げでございます。
本アルバムは1984年制作の1stアルバムですが、そもそも彼らは「レラティヴィティ」というバンド名を名乗っていたわけではなく、付けたアルバム・タイトルがそのままいつの間にかバンド名になってしまった、というのが実情のようです。
収録されている曲はトラディショナルを原曲としたものからオリジナル曲まで様々ですが、彼らの血がそうさせるのかオリジナルにもどこかトラディショナルに通じる響きが感じられます。曲を並べてみると違和感なく並びます。
但し、ボシーバンド等のサウンドと比較すると、よく言えば洗練された、また悪く言えば個性的な毒が抜けたややポップス的な感じがあります。
この手のバンドでは一般にも受け入れられやすいサウンドを持っていると言えます。
その分、アイリッシュの持つアーシーな感じは薄まってしまっています。録音も大変クリアなので余計にそう感じるのかもしれません。
最初のリールなどでは割と正統派のサウンドをきかせてくれます。2曲目は女性Voもの。この曲(原曲はアイルランドのトラディショナル)がまた美しい。拍子にとらわれないトリーナの歌声は素晴らしい。
そしてこの曲でバンドの最たる特徴が現れます。それは「クラビネット」の使用です。私の知る限りではクラビネットをトラディショナルものでここまで前面に出して使うバンドは他にはいないのでは?と思います。
実は彼女(トリーナ)はボシーバンドにいる頃からこの楽器を使用していましたが、当時はあまりにアクの強いメンバーの陰に隠れてそれほど効果的でも印象的でもなかったように思えます。
レラティヴィティにおいてクラビネットはある意味サウンドの中心にいます。作曲能力等を含めてこのバンドのトリーナの立ち位置を象徴しているようでもあります。
フィドルとアコーディオンは基本的にはアイリッシュ・ミュージックの定石通りユニゾンで演奏されており、それをギターやバゥロンが支え、と、ここまでは良くあるアイリッシュバンドの形態ですが、そこにきらびやかなクラビネットの音が加わる事でよりモダンな感じが強調されています。これがもしピアノだとまたかなり印象が異なるのだと思います。クラビネットだからこそ余計にリズムが強調されている。しかも彼女はプレイヤーとしても上手い・・・
ゲール語で歌われるナンバーも非常に味わい深いです。ゲール語の持つ独特の響きは他に代え難い気がします。男性陣も交えたコーラスワークもお見事。これらがトラディショナルの演奏なのか?と言われればそれは違うのですが、間違いなくアイリッシュ・ミュージックを基盤としてそこから派生した次世代の音楽と言えるでしょう。
#6のワルツもリズムが生き生きとしています。バックのギターが非常に面白いサウンドを奏でています。何しろ良い旋律です。
また、彼らは流行もののように、むちゃくちゃスピードの速いリールを演奏する訳でもなく、プレイスタイルにも余裕を感じます。随所にテクニカルな部分は見受けられますが一生懸命感を感じさせない所がプロですねえ。
そんな彼らは87年に「GATHERING PACE」という2ndアルバム(これがラストアルバムでもある)を発表します。が、実は個人的はこのアルバムはエレクトリック楽器が鼻につきすぎてあまり好きではありません。以前は所持していたのですが今は手元に無いため、詳しく内容を再確認できないのですが、そう言った理由で手放してしまった記憶が残っています。1stにあった瑞々しさが失われてしまい、中途半端な印象。
私にとってはペンタングルの「リフレクションズ」と同じでエレクトリック系の楽器をそれほどうまく使いこなせている感じがしませんでした。
さて、このグループはやがてアイリッシュ・ミュージックの外套を更に脱ぎ、一旦ウインダム・ヒル路線に乗り、更にその先に行くこれまた素晴らしい「NIGHTNOISE」というグループに繋がって行く訳ですが、それはまた次の機会に。