- The Stone Roses
- The Stone Roses
このアルバムとの出会いは忘れもしない。アルバム発売当時、CD店で何かめぼしいCDはないかと探していたところ、突然これが店内BGMでかかった。まだ発売されたばかりの新譜として。
「I wanna be adored」から始まったそれを店内で「Bye Bye Badman」まで聴いた時、もうたまらずCDを持ってレジへ走ってしまった。
「切ない!」とにかくなんて切ない音楽なんだろう、というのが第一印象だった。胸が痛くなるくらい切なかったな。何故なんだろう?感情のかけらもない妙にヘッタくそなVOと、カラフルではあるけど別段テクニカルでないギター、妙にはねていてそこだけタイトなバンドをひっぱるドラム、で、印象の薄いベース。
こう考えるとこのバンドは圧倒的に「曲」なのである。
このローゼスの持つ瞬間的なとも言える「ナイーヴな感性」を考えるにつけ、クラッシック界で言うところの「ボーイ・ソプラノ」を思いだした。やがて失われる事が確実なボーイ・ソプラノはそれまでの時期にどれだけ録音できるかが勝負だ。(アレッド・ジョーンズなんて必死に録音してたもんな。)
そしてローゼスにも全く同じものを感じた。この感覚!今だけのこの感覚の維持!従って一刻も早くこの感覚での次のアルバムを聴きたかった。
ところが、事件を起こし数年待たされた上届けられたそれには最早この「切なさ」は無かった。数曲で「演じられている」切なさを少しだけ嗅ぎ取れる以外はもうすっかり別のバンドになっていた。バンドが成長する事が悪い事であるはずはない。・・・・・・・が、しかし。
武道館も見に行った。しかし、そこにはロックのダイナミズムこそ芽生えてはいたけれども触れれば切れるようなふるえるような切なさはもう無かった。
ローゼスのメンバーがどうあがこうとも、この時期にしか出来なかった仕事だった。従って私にとってのローゼスとは即ちこのアルバムそのものである。
しかもオリジナルどおり「I am the Resurrection」で終わる。余計な曲は一切なし・・・