- Yes
- Relayer
一般的にはYESの代表作品と言えば、「危機」、「こわれもの」が上げられる。私もモチロンそれらは好きだが(特に危機は良い!)何と言っても「Relayer」、中でもこのアルバムのほとんどを占める大曲「The Gates of Delirium」(錯乱の扉)でのYesが好みである。
前出の2作品時とはドラムスがアラン・ホワイトに、キーボードがパトリック・モラーツに変わっている。ホワイトが加入した直後のツアーの様子を収めたライブ盤「Yes Songs」(一部、前任のビル・ブラッフォードがドラムス担当の曲もあるが)はどうも音がクリアではないし、全体的にリズムが粗く鈍重な感じがしてあまり好きではない。この時点ではまだホワイトのいかにもロックっぽいドラミングがバンドと一体になっていない事が原因かもしれない。
これに比較すれば1975年のライブ(映像付きで発売になっている)の方が遙かに緊張感に満ちておりスリリングである。
「Yes Songs」に続くスタジオ盤「海洋地形学の物語」も散漫な印象がある。ホワイトがバンドに慣れつつある中、散漫な印象の原因は曲があまりにも長すぎること(1面に1曲、2枚組で4曲だけ)と、当時のキーボードのリック・ウェイクマンのやる気の無さにある。この人は「ヘンリー8世・・・」を初めとするソロがかなりヒットし、単独での活動を見据えつつバンド脱退の時期を伺っていたのではないだろうか?手抜き仕事の極みである。(同様の事はスティーヴ・ハウもインタビューで語っていた)
そしてモラーツの登場となる。モラーツのプレイはウェイクマンの様な華やかさや前面に押し出ようとする派手さは無く、割と点描的なプレイが多いがとにかく音色が多彩!従ってこの時期のYESにははまっている様に思える。同時期に発売されたモラーツのソロも素晴らしい出来だし、ウェイクマンの様な「華」は無いけど良いキーボード・プレイヤーだと思う。
「錯乱の扉」は散漫な海洋地形学から良い部分だけを凝縮したような印象で、危機を凌ぐ展開の激しさで、特にスティーヴ・ハウのギター・プレイが目立つ。セミアコを使ってあんな音を出す人って珍しいのでは?クリス・スクワイアのベースもうねっている。全員が緊張感ある点描的なプレイで高揚感を煽っていく。で、終局部分の「Soon」に繋がり、聴き手側もどっとカタルシスを味わう訳である。
モラーツ入りのYesをもう1枚でも良いから聴いてみたかったのは私だけではなかろう。