打倒蜃気楼ボールに燃える花形
星一徹の協力もあり、ついに必殺の
ツバメ返し打法を完成させた
しかしこの打法は、花形に肉体に重大な
ダメージを与える禁断の打法でもあった
花形も一徹もそれを承知のうえで、最終戦で
飛雄馬と対決する事を選んだ
そしてついに運命の試合が開始された
花形はスタメンではなく代打
飛雄馬はこれに一抹の不安を覚えるのだった
試合は1-0と巨人リードのまま9回表に
飛雄馬はここまでパーフェクトである
『星投手、史上初の2回目の
完全試合達成まであと2人ですっ』
「アウトーーーーーッ」
『さあ、ツーアウトだ
2回目の完全試合まであとひとりっ』
「飛雄馬くーーーーん
あっとひっとり!
あっとひっとりっ!!」
「おそらく花形が出てくるじゃろう・・・・
しっ・・・しかし」
「あなた・・・正直気が遠くなりそうだわ・・・
でもこの勝負を見届けるのが私の義務なの」
『スワローズ、9番ピッチャー
王選手に756号を打たれた鈴木に代わり
まして、ピンチヒッター・・・・・』
だが・・・・
『?
おかしい・・・なんだかいつもの花形と
雰囲気が違うぞ・・・・』
『さあここで、花形が登場
星投手パーフェクトなるか?
それとも花形がこれを阻止するか!??』
「花形君・・・・まさに特攻の覚悟じゃ・・・・・
わしとて震えが止まらんわい」
『素晴らしい・・・よくぞこんな球を
生みだしたものだ・・・・』
『この花形をここまで追いつめたのは
飛雄馬君っ、君だけだよ!
僕はこんなライバルを持てて幸せだ』
『花形・・・・笑ってる?
余裕なのか・・・・それとも・・・・』
『星投手、蜃気楼ボール2球で花形を
追い込みました
パーフェクトまであと1球です』
「花形・・・・何の反応もなしか・・・」
「楽しんでるんだわ・・・・この瞬間を」
「私にはわかります・・・・
同時にもう永遠に来ないこの時を
惜しむ気持ちも・・・・」
「あんた花形の抱える秘密の事を・・・・」
「悔いはありません!
あの人間最後の雄姿・・・この目に焼き付け
ますわ」
『なんだ・・・・この澄み切った感じ・・・
ま・・・まるでっっっっ』
『はっ!
もしや医者が再起不能宣告をしたあの
特訓をやったのかっっっ』
『おっと、どうしたんでしょう星投手
3球目を投げられず、ボールを落としました
丸目捕手が駆け寄ります』
「いや、まだ1球残ってますぜ・・・
集中力途切れさせちゃマズイですよ。。。。」
「なっ・・・なんでもないんだ
眼にゴミが入っただけさ」
「そ・・・そっか!
よーし、とっとと花形を三振に打ち取りましょう
完全試合達成して祝賀会やりましょうぜ」
『花形・・・・あの時の俺のようだ・・・・
大リーグボール3号で、俺の左腕が死んだ
時の・・・・』
蜃気楼ボールっ
絶対に打たさんっっっっ』
これにより起こった空気の壁が
蜃気楼ボールをひとつにしてしまう
急激な寸止めは、花形の両腕に
恐ろしい負荷が加わり
軋みをあげる
青春っっっっっ」
カッ
『花形っ、パーフェクトの夢を打ち砕く
同点ホーーーーームランっ
蜃気楼ボール破れるっっっっ』
「くそーーーっ、花形のヴォケーーーーッ
なーんでホームランなんか打つんだよっ
キーーーーーッ」
両腕が痙攣を起こし、変な形のまま
ホームベース直前で倒れ込み
「そうですっ、にいさんの完全勝利ですっ
負けましたっ・・・・でも打たれて本望ですっ」
「飛雄馬君・・・・・」
「俺の球を打つために・・・こんな・・・・
あなたこそ偉大なライバルですっ
悔しさなんか全然ありません」
「ありがとう飛雄馬君・・・・
僕の方こそ君にお礼を言いたい」
「花形さんっっっっっ」
「くーーーーっ、なんだよチクショー
涙があふれ出て来やがるっっっっ
デカイゴミが目に・・・チクショーーーーッ」
巨人ファン、ヤクルトファン両方から
物凄い拍手が巻き起こった
「は・・・花形・・・・あんたサイコーだよ・・・・
飛雄馬君も・・・・」
「ひぇぇっ、なんか感動するでヤンス」
「おめでとうあなた・・・・・
これでやっと私の元に帰ってきてくれるのね」
ちなみに原作では、元気ハツラツで
蜃気楼ボールを打っていたが・・・・
「また一人の有能な若い選手を散らせて
しまったわい・・・・これもわしの業じゃな・・・・・」