打倒蜃気楼ボールに執念を燃やす花形
しかし特訓するも思うような成果が得られず
途方に暮れていた
そんな中明子に相談を受けた一徹は、明子の妊娠を
聞かされて花形に手を貸す決意をする
一徹は花形と共に山奥の滝で猛特訓を開始
一徹の作ったギプスを付けさせ滝の流れを
断ち切るつばめ返し打法を伝授させる
花形は苦難の末、ようやくこの打法をマスター
だがこれは同時に花形の破滅をも予感
させるものだった
「蜃気楼ボール破れる!!」
そこにたまたま来ていた伴も出てくる
「なんだ、お前も来ておったのか
花形君を頼む」
「ど・・・どうしたんスか親父さん・・・」
「蜃気楼ボール打倒の特訓やっちょるとは
思っちょったが・・・一体どんな特訓したら
こんなになるんじゃ花形?」
「ふふっ・・・それは秘密だ・・・」
「なあ親父っさん・・・明子さんがおめでたなのは・・・」
「ああ、知っとる」
「なんだか久々に酒を飲みとうなった」
「えっ・・・ああ、じゃあ付き合いますよ」
「親父っさん、例えそうだとしても
野球の鬼はもう卒業したはずじゃあ・・・」
「花形が蜃気楼ボール打倒に燃えるのは
わかりますが、親父っさんが乗り出すとまた
骨肉の争いが再発じゃ!
なんでまた・・」
「花形という野球に燃える男の執念に押された・・・
ただそれだけの事じゃ」
「わしゃなんだか左腕時代の星の
最後の登板の事思い出しましたわい・・・」
「あの時の星は、自分の野球生命が終わるの
知りつつ覚悟のうえで大リーグボール
3号を投げ続けちょった」
「わしはあれを打つ事に必死で
そんな事とは夢にも思わず、後で考えると
恐ろしい・・・たまにアレの夢を見て
うなされますわ」
「なんだか今の花形はあの時の星とかぶって
仕方ないんじゃが・・・・」
「・・・・・・・」
「まさかあの時の悲劇が明日のヤクルト戦で再現
されるような事はないでしょうな?
だとしたら、あんたはとんでもない死神ですぞ」
「死神?」
「それは違うな・・・・
たとえどんな結果に終わろうと、それは
宿命のライバル飛雄馬と花形にとっては必然
わしが関わろうが関わるまいが、そうなる!」
「星と花形は今やあんたの息子たちですぞいっ
よくもそんな事が言えますな」
「・・・・・・・・」
そんな壮絶な死闘になるとも知らず、サチコは
丸目に翌日の巨人ヤクルト戦のチケットを
ねだりにやってきた
「ごめん、チケット無理だったわ、、、」
「そう・・・じゃあ今までの丸目のツケ
ここで耳を揃えて払ってもらうわよ」
「もういいわ!
アンタじゃ話にならない
飛雄馬君呼んで!!
飛雄馬君に頼むから」
「まさか居留守使わせてるんじゃないでしょーね」
「いや、本当にいないんだってば。。。。」
その頃飛雄馬は病院にいた
別に自分の診察に来たわけではなく
ある特訓の人体にに及ぼす影響を聞きにきたのだ
「星さんの今言われた特訓を仮に誰かが
やったとしたら、おそらくその選手は再起不能に
なるでしょうな・・・」
『もし蜃気楼ボールが打たれるとしたら
俺が想定したあのバッティングしかないが・・・・』
『やれば再起不能か・・・・・
子供もできた花形さんがそれをやるとは思えん・・・
俺の思い過ごしか』
『これが僕の最後の試合かもしれない・・・・
しかし悔いはないっ』
「私、今日球場にまいります・・・・
あなたが何と言おうが、何が起ころうが」
「・・・・・・・・」
「お腹の子に、あなたの姿を見せてあげたいの
お義父さんはこんなに立派な選手だったのよ・・・
って」
「へへっ、ゼッコーチョーだぜ!
これなら例え花形でも打てねーだろう」
『花形さん・・・父ちゃんとどんな特訓
したかは知らないが、俺は必ず勝つぜ』
「花形、希望通りお前は代打で出すが・・・・
スタメンで使ってもよかったんだぞ」
「いえ・・・代打でいいんです」
「打てますっ!
この1打席に僕の野球生命の全てを賭けます!!」
「そ・・・そうか
ならチャンスが来たら出すんで、準備してろ」
「はい!
今までお世話になりました、広岡監督」
「わしらの息子たちの最後の勝負じゃ・・・・
しっかり見守ってやってくれ」
『さあ、いよいよ巨人ヤクルトの最終戦
プレイボールです
巨人の先発は蜃気楼ボールの星
ヤクルトは王選手に756号を打たれた
鈴木康二朗投手です』
『飛雄馬君っ、僕がスタメンじゃなくて
がっかりしてるだろうが・・・・』
『しかし・・・・今の僕の体は1打席勝負が限界だ、、、
僕に残されたチャンスはそれしかないのだよ・・・』
『3番マニエルも三振っ
星、初回は蜃気楼ボールで三者三球三振ですっ』
「常務、球場には入られないんですか?」
「ああ、後楽園の周りを走ってくれ」
「あんた身重のはずじゃ・・・・
まさか試合を観るつもりですかい?」
「ええ・・・・花形の妻として
観なければならない気がするんです」
『また三振っ!
ヤクルト打線ここまで星投手から
14個の三振を喫しています』
「なんとランナーはここまで1人も出ていませんっ
星投手の前にパーフェクトに抑えられています」
「まっ、あたしが来たからには飛雄馬君が
打たれるわけないのよ」
「なんたってここまで完全試合でヤンスからねえ」
「おい丸目っ、さっきから水の飲み過ぎだぞ
少し落ち着いたらどうだ」
「落ち着けったって無理っスよ」
「なんたって完全試合がかかってるんですからね
緊張するなという方が無理っス」
「完全試合?
そんなもん気にするな!
それより俺たちが警戒しなけりゃならんのは・・・・・」