飛雄馬の蜃気楼ボールに手を焼く横浜大洋は
ついに球団一丸となって打倒策に乗り出す
「蜃気楼ボール打倒プロジェクト」
この刺客に選ばれた左門
だが大洋球団が収集した情報とデーターから蜃気楼
ボールを徹底分析するが、まだ不明な部分は
多かった
蜃気楼ボールの正体は残像現象
これは解明したものの、左門は蜃気楼ボールが
キャッチャー捕球直前に分裂を止める謎にこだわる
しかし上空を飛ぶジェット機のソニックブームから
その謎をついに掴むのだった
「え・・・でもお料理が冷めちゃうわ」
「とにかく重要な会議らしいんだ」
「そうです、蜃気楼ボールが捕球直前に
ひとつの球に戻るのは、ソニックブームが原因
ですたい」
「飛行機が音速を超えられない時代には
ソニックブームなどなく、これが知られたのは
ここ数十年の事です」
「音速より遅い速度の飛行機は、空気抵抗は
それほど強くなく空気の流れは緩やかですが
音速を突破すると空気の壁ができます」
「この時の衝撃波はものすごく
とてつもない爆発音と振動がきます」
「蜃気楼ボールがひとつになるのは
この空気の壁にボールが衝突するからなんです」
「しかし蜃気楼ボールはそんな爆音しないぞ
第一蜃気楼ボールって飛行機と同じ速度なのか?」
「そうだよ!
音速って時速1200キロくらいだぞ・・・
星のストレートはせいぜい160キロ台だ
それでソニックブームなんて変じゃないか!?」
「別に星君の蜃気楼ボールが音速を超えてるとは
言うちょりません、ボールがひとつになる
原理はソニックブームと同じだと言っとるのです」
「ま・・・まあ理屈としてはわかるけど
それちょっとムチャじゃないか。。。」
「ムチャだろうがなんだろうが、蜃気楼ボールに
実際その現象が起きてるのは事実ですたいっ」
「おい待てよ、、、なんかわし付いて行けんわ
もはや野球屋の管轄外だぞ、、、」
「あの妙な光弾撃てる機械の方がわしは
ついて行けませんがのう・・・」
「はぁっ、全くうちを貸し会議室みたいに
使いやがってさぁ、、、
うちは老舗の料亭だよ」
「この笹船が分裂したボール
川の流れを球道と思ってくんしゃい」
「このように板で川幅を狭くしてあります
この板が空気の壁です」
「おおっ笹船がひとつになったぞ
蜃気楼ボールがひとつになる理由は
こういう事か」
「そうです
何らかの方法でボールに振動を与え
残像現象を起こした後空気の壁にぶつかり
ボールがひとつになる・・・・」
「この際ボールにあんな振動与える方法とか
ボールが平べったくなる理由は考えんでくんしゃい」
一方左門の末っ子ミチは、近所のガキンチョたちから
左門欠場の事でいじめられていた。。。
「敵前逃亡さーもん、給料ドロボーさーもん
弱虫弱虫さーもん」
「お前の兄ちゃん大洋の恥さらしだ」
「なーにが星のライバルだ」
「そーだそーだ、給料ドロボーの芋にいちゃん
じゃねーか」
「おんどりゃー、うちのミチになにするでごわすっ」
これ四男のサブなのか?
「ミチ、大丈夫たい?
あいつら今度見つけたらボコボコにしてやるけん」
「・・・・・・・」
「ジローあんちゃん、豊作にいちゃんは
弱虫なんかじゃなかとね?」
何故かジローあんちゃんと呼ぶミチ
しかしジローなら、身長がミチと変わらんのが
おかしい・・・前より縮んだのか?
「ようサッチーっ、今日も祝杯あげっから
巨人寿司貸し切りな!
おやじさんに言っといてくれ」
「三振ばっかりのやつがなーに言ってんの!
少しは飛雄馬君の援護しろっ丸豚っ」
「う・・・うるせーよドプスチビっ
星先輩の女房役やってんじゃん、、、、、」
「ははっ、そうだぞ丸目
少しは打つ方で援護頼むぜ」
「ほ・・・星先輩まで、、、」
「左門さん今日はベンチ入りしてるらしいのに
一向に姿見せないな・・・・」
「どーせ出て来ても打てませんよ!
こっちはそにっくぶーむなんだっ」
『とにかく今やれる事は全てやったですっ
あとは全力で挑むのみですたいっ』
「あんちゃんが出ない大洋の試合なんか
みとうないけん、、、」
『おおっと、代打は左門です
大洋ファンから大きな声援が飛びます』
応援する2人が次男ジローと三男マサヒロ
だとしたらやはり黄色いシャツはサブという事に・・・
特訓の成果か、ボールがひとつになった時に
素早いスイングで対応
しかしやはり振り遅れてファールに
「やはり秘密特訓してたな・・・・
スイング速度が見違えるくらい速い」
『バットには当てられるとですっ
後はどうフェアゾーンに運ぶか・・・・』
「頑張れあんちゃんっ、ホームランだっ」
長女のチヨもなんか昔のお京さんの手下
みたいになってるぞ(苦笑)
『今のはたまたまボールがひとつになるのが
早くて打てただけばい、、、、』
『つまり蜃気楼ボールは強風には弱いとですっ
し・・・しかし・・・』
『後楽園でもハマスタでも空調は
使えんとですよっっ』
つづく
次回
「激烈!!ツバメ返し打法」