ついに大リーグボール右1号を引っ提げて
一軍に戻って来た飛雄馬
その最初の相手は、飛雄馬を二軍に叩き落とした
ライバル左門だ
この魔球は打者以外には普通のストレートにしか
見えず球場は騒然とするが、左門が三振したのは事実
2度目の対決時、左門はバントで右1号の
正体を暴こうとするもバントは失敗
飛雄馬のリベンジは成功した
大洋戦で左門との対決時にベールを脱いだ
大リーグボール右1号
飛雄馬が先発ならそれは捨て試合として計算
リリーフ登板が予想されれば、飛雄馬が出る
前までに勝ち越さないと絶望・・・
もはや手も足も出ない状況だ
『星投手の魔球は王選手が蜃気楼ボールと
名付けました!
恐るべき魔球ですっ』
アナログのフィルム映像の左門と違い
金持ち花形は当然ビデオデッキを所持w
「あ・・・・あなたっ」
花形のあまりに恐ろしい形相に
明子ねーちゃんも怯える
「丸目、ちょっと親父のとこに入って来る」
「おっ、早速蜃気楼ボールの報告ですかい?」
しかし寮の前には蜃気楼ボールの秘密を聞こうと
記者たちが待ち構えていた
「星さん、行くんなら裏口から行った方がいいぜ
マスゴミは俺が引き留めとくよ」
「丸目・・・・」
「ねえ、星投手にちょこっとだけ話を聞かせて
くださいよ~」
「ダメだダメだっ!
どーせ蜃気楼ボールの秘密をしつこく聞く
つもりだろ」
「蜃気楼ボールを球界で唯一捕れる
キャッチャーの俺が質問に答えましょう!」
「くそっ、裏から逃げたなっ」
「まだそのへんに入るかもしれん」
「・・・・・あの・・・・この丸目が・・・・」
「くーっ、なんだよマスゴミのやつら!
俺はガン無視かよ~~っっっっ」
「蜃気楼ボール、見事な魔球じゃの
よく頑張ったぞ」
「あ・・・・ありがとう」
「ええ顔になったわい
おっと、茶でも入れよう」
「べ・・・別に客じゃないよ・・・・・
息子が顔見せに来ただけだぜ」
『父ちゃん・・・・前はあんなじゃなかったのに・・・
年取ったなぁ、、、』
『なんか父ちゃんとやっと本当の親子に
なれた気がするぜ・・・』
『少し前は中日のコーチとして俺の前に
立ちはだかった鬼の父ちゃん・・・・』
『子供を谷に突き落とす親ライオンと
突き落とされる子ライオンの関係に
やっと終止符がついたのかな』
『しかしなんか今の父ちゃんがちょっと
気持ち悪い気もするぜ・・・・』
「ねえ、蜃気楼ボールの秘密
ちょっとだけ教えてよ~」
「へへっ、ダメダメ
それだけはサッちゃんにも言えねーな」
「サチコ、無理言うんじゃねえぞ
丸目さん困ってるじゃねえか」
「こっちだって必死なのよ!
蜃気楼ボール覚えて、あのクソ憎らしい
隣町のニセ花形抑えたいんだから」
「だからさー、いいでしょー
ま・る・め君っ」
「やめろよ!
色気も何もねえおめえに言われても
なーんにも感じねーぜ」
「なーに偉そうに言ってんのよ!
あんたただ飛雄馬君が蜃気楼ボール作るの
指くわえて見てただけじゃん」
「なっ・・・なんだとっドプスチビ
蜃気楼ボール捕れるまで俺がどれほど
苦労したか・・・・」
「ま・・・確かに何でボールがいくつにも
分かれるのかよくわかんねえんだけどよ、、、」
「えーっ、なによそれぇぇぇ」
「知らないのにあんな偉そうに言ってたわけ?」
「いや、蜃気楼ボールのきっかけはわかって
るんだよ・・・」
「最初は飯食ってる時飛んできたハエだ
そうだ・・・・
その後サッちゃんも知ってる紙飛行機だよ」
「ああ覚えてるわ
飛雄馬君突然あの紙飛行機丸目君に打て
って言ったんだよね?」
「なんかテレビでF1のアニメ見て、次の日
本当のF1レース見に行ったんだ」
「そしたら突然花形のチームのマシンを
運転させろって言いだして・・・・」
「で、駆け付けたら
大リーグボール右1号が見えたとか言い出して」
「何よそれ・・・・・なんで紙飛行機から突然
F1になんのよ・・・」
「さっぱりわかんねーな・・・・」
「親父さん、勘定ここに置いとくよ」
「へい、毎度ありがとうごぜーやす」
そこにやって来る伴とその客が鉢合わせに・・・
「おっ、こりゃ失礼」
突然逃げ出すように店を離れる謎の客
「なーんじゃあれ?
しかしなんか覚えのある顔じゃ・・・・・
気のせいかな」
「ほう、星は親父さんのとこに
行っとるのか」
「ああ、蜃気楼ボールの報告に行ったんだ」
「それでね、丸目さんから蜃気楼ボールの
完成までの秘話を聞かせてもらってたんですよ」
「おい待てよ、さっきここに客がおったじゃろ
もしブンヤじゃったらそりゃマズいぞい」
「いいじゃん別に・・・・
たいした事しゃべってねーし」
「バカっ、お前産業スパイってどんなものか
知らんからそんな事が言えるんじゃ」
「プロのスパイはな、たとえ車のネジ1本からでも
大まかな車の設計図が書けたりするんじゃ
甘く見るなっ」
「だいたいお前星の女房役のくせに
調子に乗ってペラペラしゃべりやがって」
「・・・・ゴメン先輩・・・・」
「い・・いや伴さん
あっしたちも悪いんでさぁ、、、
散々秘密を聞こうとしてたし・・・・」
「いやっ、こいつはなっちょらん
例え無関係な一般人でも第三者に聞かれる
ような迂闊な事を・・・・・」
「あいつはハナガタモータースの社員じゃっ」
「えっ、マジで?」
「ちょっと来い丸目っ」
「えっ・・・どこに行くんだよ、、、、」
「また投げ飛ばすつもりか。。。
そんな事したって聞かれちまったもんは
仕方ねーじゃねえか」
「な・・・なぁ伴先輩よ・・・・
たかがハエや紙飛行機の話聞かれたとしても
蜃気楼ボールの秘密なんて花形でもわかんないよ
俺だって全然わかんねえんだから・・・・」
「アホのお前と花形を一緒にするなっ
あいつは天才なんだぞっ」
「て・・・天才・・・・?」
「父ちゃんの背中流すのなんか何年振りかな?
なんか昔思い出したよ」
「ほっほっほっほ、懐かしいのう」
「なんだ伴か・・・・いつも騒がしいのう」
「ああっ、おやっさんしばらくぶり・・・・・
星っ、ちょっと大変な事になった」
「大変ってなんだよ?」
「そっ・・・・それがのう・・・・・・」
「このバカが事もあろうに花形のスパイの前で
蜃気楼ボールの秘密をしゃべって
しもうたんじゃ」
「こ・・・このバカって、、、、」
「花形の野郎、蜃気楼ボールの秘密を
スパイを使って探っておったんじゃ」
「花形がスパイじゃと?」
「いや、わしも巨人寿司でちょっと顔見たんじゃが
あれは間違いなく花形の秘書じゃった」
「ふふっ、たかがあのデブの話ごときで
慌てるような魔球なら蜃気楼ボールも
たいした事ないのう」