大洋戦に先発した飛雄馬
しかしライバル左門に、飛雄馬の投球時のクセを
見破られ滅多打ちを食らう
試合後長嶋監督から二軍行きを命じられ
途方に暮れる飛雄馬
だがいくら考えても打たれた理由が飛雄馬には
わからなかった
そして飛雄馬は失踪してしまう
『思い当たるところは全て捜した・・・・・・
星よ・・・どこにおるんじゃいっ』
「あっ、まだ一ヵ所見逃した場所があったぞい!
おいっ、そこを左に曲がれっ」
「は・・・はいっ」
『そうじゃ・・・星が最後に頼るとしたら
あそこしかないっっっっ』
「あっ、星さんなら留守ですよ
帰って来たら伝言伝えましょうか?」
「・・・・・・・・」
「伴・・・・・」
「いやぁ、心配したぞいっ
東京湾に浮いとりゃせんかとヒヤヒヤもんじゃったわい」
「いや、俺の思い過ごしかもしれんが
そうとしか考えられなくて・・・・」
「そうか・・・いや、わかった!
わしも昔はお前の女房役じゃったからの
そのクセとやらを見つけてみようじゃないか」
「な・・・・なんのこれしき・・・・・
しかし巨人入りして以前より凄くなったぞい
これが打たれるなんぞあり得るのかのう・・・・」
「なぁに、僕もちょっと星の手助けしようと
思ってな」
「て・・・手助け?
王さんが・・・・・」
「すみませんじゃないぞ!
勝手に姿くらまして、監督やコーチは
カンカンだぞっ」
「まあそれはいい・・・・・
それより僕がバッターボックスに立つから
ちょっと投げてみろ」
「勝負じゃない・・・・お前が投げる前に
バッターボックスから球種とコースを
言い当ててみよう」
「えっ、そんな事ができるんかのう」
「とにかく投げろ!
マウンドへ行け!!」
「はあ・・・・・」
『きっと王さんは、左門に俺のクセが見破られて
いるというのが思い過ごしだと言うつもりなんだ・・・
俺を励ますために』
「念のために言っておくが、僕はお前を変に
励まそうとか、そんな気は毛頭ないからな!
ガチで言い当ててやる」
「お・・・王さん・・・それ本気なんですかの?」
「僕は世界の王だぞっ」
「さあ、早く投げろっ!
僕もそう暇じゃないんだ」
「は・・・はいっ」
「まさに外角低めのストレート・・・・
なんでわかるんじゃ?」
「バ・・・・バカなっ
はっ、もしかしたら表情で読まれたのかも
今度は変顔でなげてやるっ」
「ど真ん中ストレートっ!
顔を変にしても同じだぞっ」
「・・・・・・・・」
スライダーっ!
サイレントピッチも
関係ないっ!!」
アウトコースシュートっ!」
ストレートっ!」
次々と球種とコースを言い当てられる
「ウガガガガーーーーッ
もうやめてくださいっっっ!
俺の球筋を言い当てるなんて恐ろしい事はっっっ」
「俺が・・・俺が悪かったです、、、、
ナマ言いました。。。。
もう許してください、、、、」
『何故だっ、、、、何故なんだっ、、、、
微妙にテンポ変えたり、足の上げ方や
目線も変えたのに、、、、、』
「左門が気付くはるか前から僕はお前の
欠点を見抜いていたんだよ」
「同じチームだったし、対戦する事もないからな
でも左門もとうとうそれに気付いた・・・
それだけだよ」
「教えてください・・・俺にどんなクセがあるんです?」
「投球モーション全てだ」
「なっ・・・何ですとっ!?」
「プレートを踏む位置、腕の筋肉の動き
それら全てにクセが出てしまう・・・・
それを少し変えたらそれがまたクセになり
球種や球筋がわかってしまうんだよ」
「例えば長年バッテリーを組んだキャッチャーなら
ノーサインでも何を投げるかわかるという
そのクセはかなり微妙なものだが、お前はもっと
単純、あえて言うならド素人だな」
「ド・・・・ド素人?」
「そうだ!
つまりこれを相手に知られたら、もはや
球種が固定されてるバッティングセンターの
マシンと変わらんという事だ」
「左門が気付いたからには、花形、ロメオは勿論
いずれはセ・リーグの全選手がそれに気付くだろう!
そうなったらお前はもう終わりだ」
「実はチョウさんにお前の二軍行きを提言したのは
僕だ!
このままではお前があまりに惨めだからな」
「王さん・・・えらいはっきり言いよるわ、、、
そこまで言わんでも。。。。」
「・・・それ二軍に行ったら治るんですか?」
「星・・・お前左腕時代に球の軽さから左門に打たれた時
どうしてた?」
「俺はやるっ、絶対やって見せるからねっ!」
「何をやるの?」
つづく