1978年(昭和53年)のペナントレースは
巨人、ヤクルト、横浜大洋が熾烈な首位争い
そんな中、巨人はダントツ最下位の阪神と後楽園で3連戦
初戦は9回二死まで巨人がリードし、飛雄馬も
完封目前と迫ったが、ここでロメオ南条に
逆転スリーランを浴びてしまう
ロメオのリズム打法に屈した飛雄馬
だがバレーボールの試合で、ロメオのリズム打法の
秘密のヒントを掴んだ飛雄馬は
二段モーションで、ロメオに見事リベンジを果たした
スタンドから飛雄馬の投球を
あり得ない角度で隠し撮りするカメラ
このカメラ、実はビデオカメラではなく
なんとアナログの8ミリフィルムカメラなのだ!
「我慢しろ、あんちゃんが風呂から
上がるまでばい」
ここの兄弟もすっかり成長して都会の子になった
「しっかし、あんちゃん長風呂ばいねえ、、、」
「文句言わないで、豊作さん明日から
巨人戦でしっかり疲れを取ってもらわなきゃ」
『明日から巨人戦・・・星君との対決が
待っとるばい・・・・』
『しかし今のわしには星君ば打てる秘策がなかっ!
今の星君ば昔のようにストレート1本じゃないのが
厄介じゃ、、、、』
『だが何としてでも仕留めたかっ・・・・』
この年、横浜大洋と名称変更の大洋は
ヤクルト巨人と首位争いできるくらい調子は良かった
「よう、待っとったばいっ」
この男が飛雄馬を盗撮していたカメラマンで
横浜大洋の関係者らしい
「あ・・あんちゃん飯は?」
「わしにかまわず食っててよかっ!」
「・・・・あなた・・・」
「えへへへ、今のきっとエッチなフィルムばいっ
姉ちゃんやることやらせないから・・・」
カタカタカタカタ
ちなみにこの当時でも家庭用ビデオデッキはあったが
ヘタな車一台買えるくらい高価だったので
左門には8ミリ映写機が精一杯の投資だった
しかしスタンドからこの角度で
一体どうやって撮影したのだろう・・・・
スローやストップモーションで見ているが
当時の8ミリフィルムは、映写機止めたままだと
たちまち溶けてしまうのだが、、、、
「うむむっ・・・攻略のヒントすら見つけられんっっっ
何かつけ入る隙があるはずなんじゃが・・・」
「えーーーっ、そうなの~
また左になったのかと思ったばい・・・・」
「・・・・ちょっと待てよ!」
「うむむむっ、確かに左投の星君ばい・・・・」
「そりゃ裏側から見とるばってん・・・・」
「なんかなつかしかねーーーーっ
昔ば思い出すこつある・・・」
「んっ?
しかしこれはっ・・・・・・!?」
何かに気付く左門
「わーーーーん、京子ねーちゃーーーーん」
「どうしたのミッちゃん」
「あんちゃんがぁ~あんちゃんがぁ~」
「や・・・やっぱり叡智なフィルムだったばい?」
「そんなはずないばってんっ」
「あんちゃんが怖かぁっ
星の映画裏から見たら急にものすごか
怖い顔するばってんっっっっ」
「これを知ってしもうたら、星君ば
もう終わりですばいっっっっ」
そんな事とは知らない飛雄馬は巨人寿司で食事中
「星さん、なんでも左門の嫁さんは、星さんが
紹介したとか聞きましたけど、そうなんですか?」
「ま・・・まあね
でも必死にプロポーズして射止めたのは
左門さんですよ」
「そんな事より明日は星君投げないの?」
「明日は多分堀内さんだよ」
「えーーーーっ、またあのおじさん
なんか負ける気がする、、、、」
「おいおい・・・・そんな事言うなよ
まあ最後は俺がリリーフで出るかもしれないけどね」
先頭打者を三振に打ち取り
四番の松原もツーストライクと追い込んだ
『さあ、いよいよ大詰めツーアウトランナーなしで
打席は左門ですっ』
「あんちゃん・・・打ってくれよ」
『星君っ、わしはとうとう君の弱点ば
知ってしもうたとですっ』
『おおっと左門、今のはど真ん中
かなり甘い球でしたが・・・・』
『ついて行けてないんでしょうな』
『どうしたんだ左門さん・・・・・
なんかまるで打つ気がかんじられなかったぞ』
「あんちゃん・・・・なんで打たないと、、、、」
「昨日で何かヒント掴んだんじゃなかとかっ」
『左門っ、星に全く手が出ないか!?
球場内では大洋ファンからもヤジが飛んでいます』
「うるせーっ、あんちゃんには秘策があるとっ」
「・・・・・・・・」
「おらーーーーっ左門っ、やる気あんのかぁ」
「花形やロメオの方がマシだぞっ」
『・・・・・・・・・』
『わしの気持ちば知らんと、勝手な事
言わんでくんしゃい・・・・・』
『これが・・・これがわしのライバル最後の
雄姿とですっ・・・・わしはそれが悲しかとですっ』
「ストラックアウトーーーーーッ
ゲームセット」
結局大洋は敗戦した
「みんなはもう寝たとか?」
「ええ・・・悔し涙でふて寝です・・・・・
今日はどうしたんです?」
「どうもしとらん・・・・ただ
星君ばお前と引き合わせてくれた恩人ばい・・・
ちょっとそれが頭ばよぎったばってん」
「そ・・・そうですけど、勝負の世界に生きる
あなたらしくありませんわ、、、、」
「・・・・・・・・」
チャリリリリリーーーン
「あら、こんな時間に誰かしら?」
「やあ、お京さん久しぶりです・・・・
左門さんはいますか?」
「もしもし、左門です」
『あ、左門さん・・・あの、今日はどうしたんですか
なんか元気なかったみたいでちょっと心配になって・・・』
「星君っ、人の心配より自分の心配ばした方がよかとです
ライバルの心配なんて、君は甘か人です!」
『えっ・・・俺の心配ってどういう・・・・もしもし
もしもーーーし』