大リーグボール3号で5連勝を飾った飛雄馬
そんな時、ひょっこりあのオズマが現れた
オズマは帰国してメジャーに復帰すると見えないスイングで
大活躍
ついに新人で三冠王を獲得したという
だがそんな時、オズマにベトナム戦争への兵役カードが
送られて来た
「ご・・・ごめんなさい・・・なんかああいう場所
入り辛くて・・・私、オズマの試合のチケット送って
くれるだけで満足なの」
ここから当時アメリカが抱えていたベトナム戦争の
闇の話になってゆく、、、
「あっ、ジョンにビッグボウイにサンダーじゃないか!?」
どうやらオズマの幼馴染らしい
「なにっ、本当か!?
じゃあお前たちと一緒に行けるんだな!
また昔みたいに楽しくやろうぜ」
「お前バカか?
ピクニックに行くんじゃねーんだ
戦争だぞ、戦争」
「おりゃ戦争なんてまっぴらごめんだぜ
だいたいこの国の政府が俺たちに何かしてくれたか?
そんなんで命落とすなんてアホらしいよ」
「教会じゃあ牧師から、人は絶対殺しちゃいけねえって
教わったんだ・・・・・
それにボクシングのモハメド・アリも戦争行かなかった」
「悪い事は言わねえ、オズマお前も戦争に行くな
ベトコンに恨みがあるわけじゃないだろ?」
「嫌だっ、俺は戦争に行くっ!
兵役拒否したモハメド・アリがその後どれだけ世間から
叩かれたか、お前らも知ってるはずだ」
「俺は三冠王を獲った!
今や全米が認めるスーパースターなんだっ
今の名誉と生活を失いたくないっっっっ」
「オズマよぉ、てめえ自分の事しか考えられなくなったのか?
お前みたいな有名人が戦争に行く事で国はそれを
プロパガンダにして、行きたくもない戦争に大勢の黒人が
行かされるんだぞっ」
「黒人も白人も関係ないぜ!
俺はこの国の国民だ、国民なら義務を果たさなければならん
俺は名誉あるアメリカ国民なんだ」
「しかも一流国民だ、一流のアメリカ人なんだっ
子供たちも俺に期待してる!俺はあいつらの夢なんだ!!
その期待を裏切ってどうするっ」
「オズマ・・・・何も知らない子供たちはいいとしても
大人たちはあんたを良く思ってないのよ、、、、
白人に黒人の魂を売った犬だって言ってるわ」
「魂を売るだと?
確かにそう見えるかもしれんが、そう見せかけてるだけさ
一時的に魂を売ったふりをしているだけだ」
「みんなはそうは思ってくれないわ!
仲間から非難されるオズマなんか見たくないの」
「ジェニー、もし仮に俺が魂を売るふりをせず
自分に素直に生きてたらどうなってたと思う?」
「えっ!?」
「一流のアメリカ国民としての責任と義務を果たすんだっ」
「オ・・・・オズマ、、、、、」
オズマと仲間たちの間に大きな溝ができ
そこに隙間風が吹きだした
「ジェニー、許してくれ・・・・・
お前と一緒に暮らせば幸せだろうな・・・・だけどジェニー
あばよジェニー・・・それが男にはできないのだよ・・・・」
↑このセリフに聞き覚えある人は俺と同世代のおっさんwww
「一流国民として、国の英雄として
戦場でも三冠王獲ってやるぜ」
元々のタフな肉体は、戦場でも通用
見えないスイングをどう活用したかはわからないが・・・
オズマの胸には
軍服の下地が見えなくなるくらいの数の勲章が輝いた
しかしある時、爆風に巻き込まれた戦友をかばい
負傷してしまう・・・・
この傷がやがてオズマの選手生命にどす黒い影を
落とす事など、勿論オズマは知らない
「へへへ、これでまた勲章が増える・・・・
もう飾るとこがない・・・・・ぜ」
「ヘイオズマ!
ユーの活躍が新聞に載ったらしいぞ
ヒューヒュー」
「へえ・・・なんて書いてあるんです・・・・・
ちょっと読んでください・・・」
「オーケー!
オズマは戦地で勇敢に戦い、傷を負ったが彼は不死身だ
今後日本経由で母国に凱旋帰国するだろう」
「消エル魔球デヤラレタヒューマ・ホシニ
復讐スルタメニナ
ハハハハハハハハ」
「そうか・・・俺の父ちゃんも昔似た経験したらしいが
野球だけに集中できる俺たちって実は恵まれてんだな・・・」
「ヒューマ・ホシッ!
ゆーハ大りーぐぼーる3号トイウノヲ完成サセタヨウダナ
みーハソノ3号ニ挑戦シタイ!!
受ケテクレルナ」
「大リーグボール3号というのがどういう球かよくわからん
しかしアンダースローからのスローボールらしいな・・・」
「だがそんな球はメジャー三冠のミーには通用しないっ!
必ず打ち崩してみせるっっっ」
「あの戦闘機よりも高く飛ばしてやるぜ
覚悟しておけ、ヒューマ・ホシ」
『あいつ自分は野球ロボットから卒業したつもりらしいが
あんまり変わってないな・・・』
『インプットされたプログラムが野球から
名誉とか栄光に変わっただけじゃないのか・・・・』
『ま、あいつもいろいろあるんだろうが
俺は俺でそれどころじゃないしな、、、』
『どっちにしろ大リーグボール3号は誰にも
打たれる気がしねえけどさ』
ビシュンビシュンビシュン
負傷をものともせず見えないスイングを繰り返すオズマ
『オズマのようなパワーヒッターにこそ
大リーグボール3号は有効なんだっ』
「行くぞっ、オズマっっっっっっ」
「いぇー-----す、かもんヒューマ・ホシっっっ」