ヴァージニア日記 ~初体験オジサンの日常~ -13ページ目

医療における即興

今日は写真がなくて残念だが、面白い講演会に行ってきた。

水曜日恒例のMedical Center Hourの連続講演だが、

今日のテーマは、

Improvisation: What does it have to do with practicing medicine?

(「即興 ― それは医療の実践と何の関係があるの?」)


講師は、シャーロッツビル在住の即興演奏家(ヴァイオリニスト)でFree Playの理論家でもある

Stephen Nachmanovitch 氏(名字はナッハマノーヴィチと読むらしい)。


まず最初に、ヴァージニア大学音楽学部のLoren Ludwig氏のヴィオラ・デ・ガンバと

ナッハマノーヴィチ氏のヴァイオリンとで即興演奏。

その後、「即興とは何か?」をめぐって講演と議論。


ナッハマノーヴィチはウィリアム・ブレイクについての論文で博士号をとり、

日本でも有名な文化人類学者・哲学者のグレゴリー・ベイトソンを師と仰いでいるようだ。


医療において、医師やナースは、データや一般化された人間やその身体・心理ではなく、

個別の患者と向き合っており、そこで行われていることの本質は、科学的な一般原理に

基づいた一定の手続きを個々の症例に適応するというよりは、その場その場の即興的

かつ創造的なやりとり(対話)に近い、という内容。

会場からの質問は、医師や臨床心理士からのものが多かったが、

「即興と言っても、実際にはいろんな形式(音楽の場合で言えば、クラシックやジャズ、民族音楽

などのさまざまなジャンルの形式)をふまえて、それを元に変形させているだけだろう?」

とか、

「医療ではミスは許されない。患者とのやりとりには即興という面がもちろんあるが、

それだけで両者の本質が同じだというのは言い過ぎではないか?」

というようなものであった。


それに対してナッハマノーヴィチが、

「improvisation(即興)とrandomness(無秩序)、creativity(創造性)とoriginality(独創性)

を混同しがちだが、これらははっきり区別しなければいけない。実際、クラシック音楽の

演奏などで、コンクールを受けようという若い音楽家たちは、少しでもミスをしちゃいけない

という意識にがんじがらめになっているかもしれないが、たとえ楽譜の通り弾こうとして

いても、実際には自分の弾いている楽器の音を聴きながら、それと対話しながら演奏して

いる。だから実は、そこでは即興をやっているんだ。ジャンルによって、形式へのしばりや

即興の度合いというのは違っても、そこで「何が起こっているか」はおんなじだ。

ただそのことを意識できているかどうか、の違いがあるにすぎない」

というようなことを言っていたのが印象的であった。

(これは音楽を演奏する際の私の実感から言っても大いに納得できた)


JIZAKE

こちらでは、ビールとワインに関しては、普通のスーパーにたくさんの種類が揃っているので

まったく不自由していなかったが、いつもガソリンを入れに行くスタンドの近くにワイン専門店を

見つけたので、フラッと入ってみた。


そこで、意外なもの を発見!


李白純米吟醸


 山陰の方々にはおなじみの島根県の地酒

 「李白」の純米吟醸 である!!

 (他にも、「郷の誉」「天の戸」があった)


 スーパーにも日本酒はないことはないが、

 大関・菊正宗など大手メーカーの量産酒

 のみ。


 やはりシャーロッツビルでまともな日本酒を

 手に入れるのは無理か・・・・・とあきらめかけて

 いたところの大発見。                                                   

 しかも「李白」とは・・・・

 遠い旅先で十何年来の友人に

出会ったような 気分、である。




ちなみに、

 こちらではビールとワインは安いが、それ以外の酒(ウィスキー・ブランデーなどの蒸留酒)

 はたいへん高い(スーパーには売っておらず、ABCというリカーショップに行かないとない)。


 日本酒ももちろん高い。

 上記300mlの李白・純米吟醸のお値段は16ドル99セント!

  (日本では700円ぐらいだと思うので3倍までは行かないがそれに近い)。

 この日、同じワインショップで買ったどのワインよりも高かった(泣)。。。


 次回のお刺身デーに、

 心して飲まねば・・・

朝ドラプレイバック

Johnston家外観 純情きらり  上が9月24日のブログに書いたパーティーが行われた

 Jさん宅である。

 今日はこの豪邸にまたもや夫婦でお邪魔した。


 目的は、8月28日(日本出国)以来観ていない

 NHKの朝ドラ「純情きらり」をまとめて観てしまう

 ことである。


 実はこっちに来る時、NHKぐらいは観られるだろうと

 思っていたのだが、75チャンネルが観られるケーブル

 TVの中にNHKは入っておらず、「ジャパンTV」という

 有料チャンネルを月20ドル払って観なければならない

 ということがわかった。


 そこまでして日本の放送を見ることもないか、とお金を

 ケチってジャパンTVはとらなかったのであるが、途中

 で見残したままの朝ドラは、やはり心残りであった。


  そんな時に例のパーティーがあり、J家の夫人K子さんと朝ドラの話で盛り上がり、

  「じゃあ、うちで全部HDDレコーダーに録画してあるから観に来れば」というありがたいお誘い

  をいただいたのである。


  Basementにある、下の写真の大画面テレビで、午後からぶっ続けで(9歳になる娘のMちゃん

  の遊び相手もしながら)8月29日以降の20回分(計5時間)を観たところでさすがに力尽き、

  残りはまた次回・・・ということに。

  その後は、ご主人のC・J氏をまじえて5人で夕食(久しぶりのお鍋!)。

  充実した日曜日であった。


(追記)

  シャーロッツビルに住んでいる有名人というと、法廷サスペンスで有名な作家

  ジョン・グリシャムがいるが、今日聞いた話では、

  J家の令嬢Mちゃんが通っている私立の小学校(高校まである)の高校の部に

  グリシャムの息子がいるそうだ。

  グリシャムはこの学校のPTA理事で、大の野球好きであることから、

  野球専用のグラウンドを学校に寄付 したそうである。

  さすがスケールが違うね!



有難い隣人たち

Coutney's message chocolate


昨日は、朝から身体がだるくて何をする気も起こらず、ちょっと気分もふさいでいたところ、

3時頃に玄関のドアをコンコンする音が。。。

宅配便かと思って女房が出ると、お隣のCourtneyさんであった。

「Charlottevilleのお菓子といったら、これは欠かせない」、と誰もが言う、

Gearhartのチョコレート(右)を歓迎のしるしに持ってきてくれたのだ!

Courtneyさんは60代ぐらいの一人暮らしのおばさんで、生まれた時から

ずっと隣の家に住んでいるという。

(初めて会って挨拶した時、I'm a perfect insider ! と言っていた)

                                                                         

ちょっぴり気がめいっている時に、こういう隣人のやさしさは実に身にしみる。

で、チョコレートのお味は、

もちろん great !! であった。



調律するK教授

 夜は、例のK先生が、ピアノの調律に来てくださった。

 「1時間ちょっとで終わりますから、テレビでも観ておいて

 ください」と言われたが、

 私も女房も話好きなもので、どちらかがずっと横にいて

 おしゃべり。

 博識かつアメリカ生活も長いK先生から聞く話は

 面白いもので、ついつい雑談の方が長くなった・・・

 ためか、結局調律が終わったのは、3時間近く後。

 「初回はすぐ狂うからね。また数週間たったら、もう

 一度来ますよ」と飄々と帰っていったK先生。


 そして、ピアノは・・・

 もう、「あのピアノがここまで弾けるよう

 なるのか!」 という驚きと喜びで言葉が

 出ないほどだ。


 ほんとうに、よき隣人は有難い

日本はすごい!?

バターの容器

 上の写真を見ていただきたい。

 何のことはない。 スーパーに売っているただのバターである。

                                                                                  

 しかし、ここには 何かが欠けている・・・ と思った方もいらっしゃるのでは

 ないだろうか?


 そう、あれですよ、あの バターナイフを差し込んでおける差し込み口を

 開けるところ が付いてないのだ!


 こういうのを毎日使ってると、毎日バターナイフを洗わないといけないし、

 朝、バターナイフを探して食卓に持ってこないといけない。。。

 日本でいつごろからああいう差し込み口が付くようになったのかは知らないが、

 やっぱりあれは日本人の発明なのだろう。


                                                                        

 アメリカでいろんな商品やサービスに触れて、その(日本で生活している

 人間から見ての)不便さや粗雑さにイライラするたびに、

 日本がいかに「消費者への心憎いばかりの細かなサービスを発達させてきた

 (ある意味)究極のサービス社会」であるか、がわかる。


 電気製品しかり。

 こっちの機械は、冷蔵庫であれ掃除機であれ、エアコンであれ、とにかくうるさい。

 (エアコンを切らないと電話の声が聞こえない、という家もあるぐらい)

 掃除機などは、「うるさい、吸わない、バカでかくて重い」の三重苦である。。。


 戦後の日本人はアメリカの電化生活にあこがれたのだから、

 一番最初は同じところからスタートしたはず。

 そこから、日本では製品に改良に改良を重ね、今のような便利な製品に進化を

 遂げていったのに対し、アメリカの製品は(ある面では)そのころから大して

 変わってないのかもしれない。


 それと、ガソリンスタンド。

 セルフだといえばそうなのだが、本当にただガソリンを自分で入れるだけ。

 (日本のセルフの店にあるような、静電気防止のタッチパネルもない)

 まあ、これは来る前から知っていたから、驚きはしなかったが、

 店員がほかのどの業種よりもニコニコしてて、なんでもやってくれる、

 日本のガソリンスタンドがなつかしくてたまらない。


                                                                        

 でもね、

 サービスというのは、あまりに進化してしまうと、人間の肌触りが抜けて

 いく、というのもたしかだしね。。。


 スーパーに行ったって、レストランに行ったって、日本の店員っていうのは、

 ほとんどマニュアル通りの笑顔で、マニュアル通りしゃべってるだけだし。


 それに比べると、こちらでは、

 それぞれの店員が、みな「自分のスタイル」で「自分の笑顔」で

Have a nice day ! とか言ってくれるもんなあ。


 「マニュアルどおりのサービス」が行き渡っている日本のような社会は、

 ある意味では「安心できる社会」なんだけど、

 日常生活の中で、毎日、名も知らない店員から

 マニュアルにはない笑顔や言葉をもらっていると、

 なんだか心があたたまるし、細かい不便のことなど、

 まあ、どうでもええか~、

 という大らかな気持ちになる。 ←ちょっと誇張 






スティーヴン・マイルズの講演

Rotunda0926 Amphitheater


上の写真、左はヴァージニア大学の講堂(Rotunda)。
昨日とったものだが、たぶんヴァージニア大学の案内ツアーの一行が
ガイドさんから説明を受けているところだと思う。
右はamphitheater、古代ギリシャ風の円形劇場である。
                                                                                  
昨日の夕方は、実践倫理研究所と医療人間学プログラム共催で行われた
Steven Milesとの懇話会に行ってきた。
今日のお昼にも、水曜日恒例のMedical Center Hour(前にブログに書いた
Medical Humanitiesの連続講演)でマイルズの正式な講演があったが、
昨日の会は、内部の関係者とバイオエシックス(生命倫理)を専攻する学生・院生
だけの内輪の会で、講師の話は最初の20分ほどだけ。
あとの時間はすべて質疑応答と議論。


上の右側の写真の左端に写っているのがCocke Hallという建物だが、昨日の

会はそこの一室で行われた。偶然だろうが、「古代ギリシャ」ということを考えると、

まんざら、この写真、マイルズと無縁でもない。


というのもマイルズはミネソタ大の医療倫理の教授で、バイオエシックスの方面では、
しばしばパターナリズムの名のもとに一蹴される、古代ギリシャの「ヒポクラテスの誓い」
の現代における意義を見直していることでも知られているからだ。
が、何と言っても、彼を一躍有名にしたのは、
                                                                                  
イラク戦争における米軍の拷問・虐待軍医たちが加担している
こと を厳しく告発したことによる。 
                                                                                                                                           
(下は、この6月に出た彼の著書 "Oath betrayed"(『裏切られた誓い』)
すごく売れているみたい)
                                                                                 
Steven Milesの話題書
米軍の医師や心理学者たちは、拷問の事実を知って
いながら黙っていただけでなく、
拷問で死亡した囚人たちの死因や解剖所見を
書き換えたり、さらには、
拷問で気絶した囚人に注射をして意識を回復させ、
もっと拷問を受けさせたり、
効果的に自白を引き出すための技法の開発に
協力したりもしていたということ、
しかもそれが非常に組織的に行われている
ということ 
                                                                                                    
をマイルズはこの本のなかで暴いている。



彼のインタビュー記事の中に
第二次大戦中、(731部隊のことを隠蔽し)日本軍における捕虜の扱いについて
記録した文書と、2005年のアメリカにおけるイラク戦争での捕虜の扱いに関する
文書はきわめてよく似ている(隠蔽の仕方が)ことが書かれていたので、
731部隊の問題の隠蔽と日本の医学界の現状の関係について、
終了後少しマイルズ氏と個人的に話をしたが、さすがに日本の731部隊のことも
実によく知っていた。

                                                                                 

話は突然、下世話になるが・・・
                                                                                  
昨日は午後6時から7時15分までの懇話会だったし、
案内のメールに、Refreshment will be served. とあったので、
サンドイッチとコーヒーぐらい出るのか・・・と想像して出かけたら、
                                                                                                                            
クッキーとダイエットコーク(または水)だった。。。
                                                                                                                              
やっぱアメリカやねえ・・・(笑)。


研究所・オフィスの写真

Institute1 Institute2 my office1

 今日は日曜日。

 こっちに着いて初めて、何もせず、ほとんど寝て過ごした。

 別に体調が悪いわけではないが、こちらに来てほぼ1ヶ月、

 心身とも疲れがたまっているのは確かなので、

 とにかくどこにも出かけず家にいて、身体を休めることに徹する。

 おかげで、夕方にはやる気が沸々と(?)湧いてきた。


 というわけで、今日は書くことがないので、

 私のいる研究所(Institute for Practical Ethics and Public Life)と

 オフィスの写真でも貼ってお茶を濁しておく。


 左上が、研究所の入っているビルの正面。

 右上が、そのビルに入っている研究所、センターの一覧である。

 (写真をクリックして大きくすると、文字が読めます。

 Center for Alcohol and Substance Educationなどがあるのは、

 いかにもアメリカらしい)


 実践倫理研究所はこのビルの正面入り口を入ってすぐ右手の一角で、

 研究所のドアを入ってすぐ右側が私のオフィス(下の写真)なので、

 右上の写真のブルーの看板の後ろに見える窓が、ちょうど

 私のオフィスの窓(下の写真の私の真後ろ)である。

 

 ということで、今日はこれでまた寝ます(現在午後9時40分)。

 時差ぼけで全然眠れなかった最初の1週間と違い、

 いくらでも眠れます(^^;)。

Jさん宅でのパーティー

Johnston家パーティ  

 今日は夕方からJさん宅(郊外にある豪邸!)で催されたパーティーに行ってきた。


 J氏は、ヴァージニア大学の役員で、developper。奥さんのKさんは日本人である。

 (上の写真で、一番左がKさん、その右に私たち夫婦、その右がJ氏)

 (ついでに言うと、一番前列にいる白い服の男性が私のピアノを補修してくれた

 生物学のK教授、その後ろにいる赤い服の女性が奥さん。ホストのJ氏の右に

 いる黄色い服の日本人男性が、機械工学の教授であるIさん、J氏の前にいる

 男の子を抱えている女性がその奥さん。前列一番右にいる赤い服の子どもを

 抱いた夫婦が、私たちをフットボールに誘ってくれたMさん夫妻(M氏とOさん)

 である)


 だが、上記の4組の夫婦はいわば付け足し(?)で、

 今日のパーティーの主役は、それ以外の人たち(上の写真で真ん中より

 右後方にかけて写っている若者たち)である。


 彼らは、ヴァージニア大学Japan Clubのメンバー。

 日本からの留学生(高校からの留学組、帰国子女の再留学も含む)が

 中心だが、両親とも日本人ながらこちらで生まれ育ち、日本の地を踏んだ

 ことのない日系人や、日本のことを勉強していたり、日本に興味のある

 アメリカ人も入っている。



 写真をお見せできないのは残念だが、すごい豪邸で、どの部屋も開放して

 あり、「ご自由にどこにでも入っておくつろぎください」という感じ。

 料理も多種多様な日本食のビュッフェ。


 留学生たちは、久しぶりに食べる日本食に大喜びであった。

 ここは西海岸などと違い、日本人も日本からの留学生も少ない。

 私たちのように、一軒家を借りていて、車を持っていれば、それでも

 日本食の材料を買い揃えて料理を作ることもできるが、

 学生たちのように、寮に住んでいたり、車を持っていない場合には

 それは不可能である。

 (日本食レストランで外食するのは高くつきすぎて、彼らには論外。

 UVAは授業料だけで年間300万もするようだ。これでも州立大学なので

 私立よりは安いとのこと)


 それにしても、留学生たちと話してみて、

 彼らが一様に、

 ・目標をもっており、考え方が実にしっかりしている。

 ・年齢や立場の違う人たちに対しても、きちんと自分のアピールができ、

  かつ、その人との話の中から何かを学ぼうという姿勢がある

 ・たいへん礼儀正しい

 ということに驚いた。。。


 同年代の日本の大学生たちに、彼らのツメの垢でも煎じて

 飲ませてやりたい。

 と言ったのは、私ではなく(まったく同感であったが)、

 ヴァージニア大学の教授であるK氏とI氏であった。


 同世代の日本の大学生たちの実情 

 あなたたちはどのぐらいご存じなのか?

 と

 彼らに言ってやりたかったのであるが・・・


 

ピアノのある生活

家のピアノ module moduleの中のピアノ


こっちに来るとき、気がかりだったことの一つは、実は

「ピアノが弾けるかどうか」

ということだった。


知らない人も多いと思うが、私は家にいる時はどんなに忙しくても、

ほぼ毎日ピアノを弾く。

(きちんとした専門教育を受けたわけではないので、そんなに上手くはないが)

これがある意味、精神安定剤になっているので、ほんの3~4日の出張でも

ピアノが弾けない日が続くと、けっこうストレスが溜まったりする。。。


借家を決める時に家主さんから送ってもらった写真には何も写っていなかったので、

まさか家にピアノがあるとは思っていなかったのだが、入ってビックリ!

実はピアノがあったのである(上左の写真)


Gulbransenというまったく聞いたことのないメーカーで、後で調べたところ

によると、どうも1950年代に製造されたピアノらしい。


弾いてみてまたビックリ!

まったく調律というものをしたことがないのではないかと思われるほど音が

狂っているのと、タッチがバラバラなのはさておき(さておけないが)。。。

二つの鍵盤はまったく音が鳴らず(弦が切れているのか、何かのネジが

はずれているのか)、ダンパーがまったく効かない(つまり、音を延ばす

ことができない)。。。


これでは弾いても気持ち悪くなるだけで、(なまじピアノがないよりも、

つい弾いてしまう分)余計にストレスになりかねない・・・


ここで現れたのが、オタスケマンである。

ヴァージニア大学生物学部教授のK氏(日本人)。

(前にシャーロッツビル日本補習教室の秋祭りの項で書いた、「手作りの

ルーレット」の製作者と同一人物である)


このK氏、とにかく器用!

専門は電気魚(電気ウナギとか電気ナマズとか)の研究らしいが、何でも

自分で作っちゃう、直しちゃう、という人なのである。

ピアノも弾けるようだが、本を読んだだけでなく、ちゃんと学校に通って

調律を学んだというから本格的である。


ということを、秋祭りの時に聞いて、さっそく「家のピアノ、ぜいたくは言わない

が、せめて全部の音が鳴り、ダンパーが使える程度には補修できないか」

と頼んでみた。

ひょいひょいと引き受けてくださったK氏、さっそく2日後にわが家に。


「なんだこれなら・・・」という感じで、1時間ほどかけて見事に上記の程度

まで補修完了!

「また調律は、時間のあるときに来て、してあげるから」

というありがたいお言葉もいただいた。

なんか、地獄で仏に会った、とでもいう感じ。


さらに、もうちょっとまともなピアノが弾ける場所も見つかった。

ヴァージニア大学には音楽学部があり、その練習室(moduleという防音の

部屋でピアノが1台置いてある)が借りられる、ということがわかったのだ。

(上右の写真がmodule、外の廊下が反射して映っているので広さがわか

りにくいと思うが、まあ、3人ぎりぎり入れるかというぐらい、こういうmodule

が全部で11室ある。下の写真が今日弾いた11番のmoduleにあるピアノ。

先週弾いた3番のmoduleもそうだったが、KAWAIのピアノである


ここのmoduleは、音楽学部の学生が講義や練習で優先的に使う時間

(月~木の午前11時から午後5時まで)を除いては、大学のIDカードさえ

あれば誰にでも使わせてもらえるのである。

(月~木の午前9時~11時までと5時以降、金、土、日はほぼ全日!)


まったくもって、ありがたい話である(実際、私が行った時の使用名簿

を見ると、けっこう音楽学部以外の学生や職員が使っているようだ)。

日本の音楽大学や音楽学部のことはよく知らないが、こういうことは

できるのだろうか?


このことを教えてくれたのも、先述のK氏の奥さんである。

(K夫人はシャーロッツビルの市民オーケストラでオーボエを吹いており

シャーロッツビルの音楽事情には詳しい。前に紹介したシャーロッツビル

日本補習教室の元締めでもあり、日本にいる間にメールで連絡をとった

私たちに「家を貸したいと言っている人がいるんだけど・・・」と

今借りている家の家主さんを紹介してくれたのも彼女である)


まったくもって、K夫妻には足を向けて寝られない。

州都リッチモンドへ

ワシントンと六賢人の像 ヴァージニア・ファインアーツ美術館

 今日は、はじめてシャーロッツビルを離れ、ハイウェイをドライブして、ヴァージニア州

 の州都であるリッチモンドまで出かけた。

 「これぞアメリカ」というようなほとんど一直線の道を70マイルちょっと走って、約一時間。


 リッチモンドは南北戦争の時、南軍の首都だったため、戦後は市街地は焦土となった。

 そこで一から市街地を復興したため、通りはまっすぐで、道は覚えやすい。

 (シャーロッツビルの曲がりくねった道とは大違い・・・)


 リッチモンドというと、ケイ・スカーペッタを主人公とするパトリシア・コーンウェルの

 人気シリーズで、スカーペッタの勤める検屍局のあるところ。

 シャーロッツビルとは違って、治安は悪そうで、見ただけで「昼間でもちょっと歩き

 たくないな。。。」と思う通りもある。



 上の写真、左はヴァージニア州議事堂(全米で二番目に古い)の前にそびえ立つ

 ジョージ・ワシントンと建国時代の六賢人の像である。写真ではよくわからないかも

 しれないが、向かって右側(私の立っている左上)にいる、ペンを持った人物が

 ヴァージニア大学の創立者でもあるトマス・ジェファーソンの像である。

 議事堂自体はただ今工事中で、(そもそも日曜日はダメ)見ることはできなかった

 が、まさにその名の由来(処女)の通り、アメリカ合衆国の建国のルーツはここにあり、

 というのがヴァージニア州の誇りなのだろう。


 実際、歴代合衆国大統領(43人)の中で、ヴァージニア州出身の大統領は8人おり、

 州別ではトップ(出身州をどこにするかは数え方によるが、2番目はオハイオ州で

 7人)。

 それも第12代までで言うと、12人中7人がヴァージニア州出身なのだ。

 (その後のただ一人は、第28代のウッドロー・ウィルソン)

 まさにこの州が「建国時代の礎を築いた人材」を輩出していることがわかる。



 右の写真は、ヴァージニア・ファインアーツ美術館。

 http://www.vmfa.museum/

 ポール・メロン夫妻のコレクションを中心にした美術館だが、なかなか見応えがある。

 これだけの作品を見て、(常設展示は)無料なのだから、得をした気分。