青い柔術着 | 濃密ナチュラル、そんなオシャレマガジン

柔術道場に入会したので柔術着が必要だ。

同じように見える道着だが、調べてみると空手、柔道、柔術は道着が違うらしい。空手は掴まれて引っ張ったりされないから薄くてあまり丈夫じゃない。道着がボロボロになる修行の演出をするなら空手着一択。柔道着は柔術着より太くて袖が短いらしい。太めの人が多いからだろうか、わからん。

色は試合に出れるのは白、青、黒の3色だけらしい。でも緑とか紫とかピンクとか探せばいろいろ売ってる。色の種類が多い方が対戦相手が同じ色になる可能性が低くてどっちが技かけてるか、わかりやすいのに何で色を3色限定にしているかって、わからん。

こんな感じでネットでいろいろ見てたけど、僕は細長い身体つきで標準体型から外れてるんで、どのメーカーの何サイズ買えばいいかわからん、街へ行こう。

柔術みたいなマイナー競技の道着が売っている実店舗は少ない。ワンルームマンションの1室が事業用店舗になっている。店舗といっても飾り気がなく、倉庫みたいなかんじで格闘技用品がびっしり置いてある。レジの店長に、初めての柔術着であること、やる気マンマンなこと、白い道着だと汚れが目立つので、黒か青、できればイカしてるので黒がいいことを伝えた。ストリートファイターの「拳を極めし者」、豪鬼(ごうき)みたいだし。

最初の一着だったらちょうどいいのがある、と出されたのがadidasの「ルーキー」というエントリーモデルの柔術着。道着はコットンがほとんどのなか、素材の半分はポリエステル(ジャージ素材)を含んでいて、軽い、選択してもすぐ乾く、値段も安い、要は最高だ。

しかしサイズが自分に合うのは青しかない。
サイズも商品名もわかり、ネットで買えば黒を買える可能性がある。
通い出した道場の青の道着の色が抜けて水色になっている道着を着ている人を見ている。神奈川県で一番水色が似合わない男の僕は、青色が薄れていく未来は避けたい。

店長も「昔は空手も柔術もやってて、今やってないけど格闘技が好きだからこんな店を出すまでになっちゃったよ。」って言ってた。ノリ良く切り開かないと小売店舗ビジネスなんてできないだろう店長の作った空間にいて、

なんで練習しすぎて洗濯しすぎて、みたいな未来を見すぎてるんだろう。青で結構、ポカリスウェットのような爽やか野郎になってやろうじゃないか。よく見ると、真っ青の色、肩にadidasの3本ライン、道着がサッカー日本代表のユニフォームに見えた。サッカーやる時が来たらこれを羽織ってやろう。


中学生の時、友達に「オレの声って何色っぽい? え、嘘? いや、オレの頭の中では青なんだけど・・・」

頭の中で鳴り響く自分の声は美しい青なのに茶色って言われた。機械で録音した自分の声は爽やかさのかけらもなかった。

チョコレートもカレーも小さい時からずっと好きだ。でもそれを言われた時はなんかショックだった。それ以降、自分の持ち物で真っ青を選んだことがあっただろうか。久しぶりの青だ。なんかよくわからんけど気持ちが若くなってきた。自分の声色が青色だと信じてたケツがまだ青かった頃の自分に戻った気分だ。

青いものを見ると反応してしまう。道場の青い道着を着ている人を「あの人も青い」って意識した。街を歩くと、みずほ銀行やローソンが仲間に見えた。晴れた日、空が青くて、なんか世界中に愛されている気がしてきた。そんな感じで調子いい感じ。天気予報の雨マークみても「お、傘の色、青じゃん、仲間、仲間!」ってなんだかマジでいい感じ。