心の緊張が“姿勢の筋肉”を止めていた?
―心理的ストレスとインナーマッスルの関係―
うつせみ相談室のこんどうみつこです。
身体の痛みや不調が長く続いている方の中には、
「自分は姿勢が悪いから仕方ない」
「筋力がないせいだ」と、思っている方も多いかもしれません。
でも実はその原因、“心の緊張”が深く関係している可能性があるのです。
長く続く「不安」や「緊張」は、体の奥深くに影響する
私たちの身体の中には「インナーマッスル」と呼ばれる、姿勢保持や体幹の安定に関わる筋肉があります。
その代表が、
-
お腹をぐるっと囲む【腹横筋】
-
背骨のすぐ脇を支える【多裂筋】
などの深層筋。
これらは、姿勢や内臓の安定、呼吸にも関わるとても大切な筋肉ですが…
実は、心理的ストレスや恐怖感が続くと、これらの筋肉が“働かなくなる”ことがわかってきています。
科学的にも裏付けられた「スイッチオフ現象」
ここで、いくつかの研究から明らかになっている事実をご紹介します。
① 恐怖が強いほど、インナーマッスルが働かない
-
慢性腰痛患者の研究では、痛みに対する恐怖が強いほど、腹横筋の収縮が遅れることが観察されました(Trost et al. 2012)。
-
つまり「また痛くなるのが怖い」と思うだけで、体は無意識に安定筋の働きを止めてしまうのです。
② 多裂筋は、痛みの直後から萎縮が始まる
-
腰痛発症からわずか24時間以内に、多裂筋の厚みが減少するという報告も(Hides et al. 2001)。
-
これは単なる「使わなかったから筋力が落ちた」ではなく、**神経的に“使わないようにされている”**可能性を示しています。
③ 恐怖と動作回避が“悪循環”を生む
-
「動くとまた痛くなるかも」と思うと、つい安静にしすぎてしまう。
-
そうすると筋力が落ち、さらに不安が増す…
この循環は、「恐怖回避モデル(Fear-Avoidance Model)」として国際的にも注目されています。
心の緊張は、“暴力”のような外傷でなくても十分起こる
インナーマッスルのスイッチがオフになるのは、なにも大きなケガや暴力による痛みだけが原因ではありません。
-
職場や家庭での長期的な緊張
-
幼少期からの慢性的な不安感
-
完璧主義や自己否定的な思考による心身の緊張状態
こうした“目に見えないストレス”も、身体を守ろうとする防御反応として、深層筋の抑制を引き起こすことがあります。
どうすればスイッチは戻せるの?
インナーマッスルを再び働かせる鍵は、“安心できる体験”を取り戻すこと。
-
ゆっくりした腹式呼吸をする
-
仰向けで脱力して重力を感じる
-
心地よいタッチで身体を感じ直す
-
「ここは安全だ」と体が思える環境で、優しい動きを繰り返す
こうした体験は、脳に「もう守りすぎなくてもいいよ」と伝えるリセットの働きをしてくれます。
まとめ
-
インナーマッスルは、痛みだけでなく心理的ストレスにも敏感です
-
不安や恐怖が強いほど、体の深層筋の活動は抑えられていきます
-
外から見えない“心の緊張”が、実は姿勢の崩れや慢性的なコリの背景にあることも
-
回復には、安心感のある動きと呼吸が大きなカギになります
あなたの身体が発している「小さな違和感」も、心と体の声かもしれません。
もし心当たりがあれば、少しずつ自分の“内側”にやさしく目を向けてみてくださいね。
![]()
![]()
